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ハリウッド映画をはじめとする欧米映画に登場する日本人はとにかくヘン。出っ歯に「黒ブチ丸メガネ」、やたらと写真を撮りまくる。特に、「黒ブチ丸メガネ」はどうして日本人のトレードマークになったのか? そんな疑問を抱いた著者は、古い映画を次々とたどり、なんと、映画が誕生する以前の時代にまでさかのぼって、その理由を発見する。黒船到来の時代、日本に来た欧米人の描いた絵に登場する日本人は、誰も彼もがメガネをかけているのだ。それも、どう見てもメガネが必要とは思えない赤ん坊から馬までメガネをかけている。これはいったいどうしたことか? どうやら、明治維新の頃、日本ではメガネが一大ブームだったらしい。欧米ではメガネ・ブームはとっくにすたれていたが、文明開化の日本ではメガネが大流行、視力に問題がない人まで、自分は教養があると見せかけるためにメガネをかけていたのだそうだ。そんな日本人を、当時の欧米人はどう見ていたの
目利きの翻訳家にテーマをしぼってインタビューする「この翻訳家に聞きたい」。第3回のゲストは、藤井光さん。デニス・ジョンソンの全米図書賞受賞作『煙の樹』、作者(=土星)と登場人物の奇想天外な戦いを描いたサルバドール・プラセンシアの『紙の民』など、次々と話題の本を訳している藤井さんにアメリカ文学についてお話を伺いました。なぜかダメ男の話も! 夫婦の最初の共同作業はなんと…… ――(以下、石井千湖)サルバドール・プラセンシアの『紙の民』 は、最初に折り紙外科医が紙の女を創って、それに命が宿って動きだした時点で、もう大好きだと思ったんですよ。 藤井 ガツンと来るプロローグですね。 ――そのあと、おねしょが原因で妻に捨てられた男が出てきて、自分の悲しみを上から見ている土星(作者)と戦う。すごく笑えるし、切ない小説ですけど、読みながら「いったいどうやって訳したんだろう?」ってすごく気になりました。3つ
過ぎ去った二十年代と夢の終わりを甘く気怠げに描く未完の作品。 特集 マイ・フェイバリット・フィッツジェラルド 【1】 著 フランシス・スコット・フィッツジェラルド 訳 森慎一郎 集英社 [小説] 海外 2008.05 版型:B6 >>書籍情報のページへ 『夜はやさし』はスコット・フィッツジェラルドの四作目の長編小説だ。『グレート・ギャツビー』の成功から九年経って発表された作品だが、その間にアメリカのムードも、フィッツジェラルド自身の人生も大きく移り変わってしまった。『夜はやさし』が出版されたのは1934年、アメリカは1929年に襲った大不況の傷痕がまだ癒えていない頃である。フィッツジェラルドが主役だったお祭り騒ぎのジャズ・エイジは既に終わり、妻のゼルダは精神を病んで入退院を繰り返すようになっている。 二十年代のフィッツジェラルドの作品を支配しているのが陶酔の中でふと感じる「終わりの予感」
目利きの翻訳家にテーマをしぼってインタビューする「この翻訳家に聞きたい」。第2回のゲストは『宇宙飛行士オモン・ラー』の訳者、尾山慎二さんです。ロシア現代文学を代表する作家であるヴィクトル・ペレーヴィンの魅力と、その源流にあるゴーゴリのハチャメチャイズムって? ヘンテコな小説が好きな人は、ぜひ読んでみてください。 1冊の本を読むためにロシアへ! ―― (以下、石井千湖)尾山さんは専業翻訳家でも研究者でもなく、書籍編集者なんですよね。しかも、今はビジネス書を多く作っているそうですが。 尾山 はい。 ―― どうしてペレーヴィンを訳すことになったんでしょう。 尾山 学生のころに読んでおもしろかったので、訳したんですよ。『チャパーエフと空虚』という作品を。10年くらいかかりましたけど。 ―― あっさりおっしゃいますけど、すごいことですよ、それは。ペレーヴィンという作家の存在はいつ知ったんですか。 尾
2011/03/31 掲載 著 ZUN 一迅社 [サブカルチャー] 国内 2007.01 版型:A5 ISBN:4758010633 価格:1,995円(税込) 東方Projectというジャンルは極めて曖昧な境界を持っていて、外の世界と中の世界を隔てている。 まったくご存じない方のために説明しておくと、東方ProjectとはZUNという同人ゲーム作家が、個人サークル「上海アリス幻楽団」の名において創出しているゲーム、音楽、小説・マンガなどの商業出版物のすべてを含む総称である。ZUNは大学時代からPC98版の同人ゲーム制作を手がけていたが、社会人となった後、2002年の「コミックマーケット62」で初のwindows版ゲーム『東方紅魔郷』を発表した。『紅魔郷』以前を旧作と呼び、商業出版物にはそれらの作品に関する記述は出てこない(しかし封印されたわけではなく、CD「幺楽団の歴史」シリーズでは旧
2011/02/21 掲載 著 円城塔 早川書房 /ハヤカワ文庫 [小説] [SF・ホラー] 国内 2010.02(単行本:2007.05) 版型:文庫 ISBN:415030985X 『Self-Reference ENGINE』円城塔 ★物語の複雑性の限界に挑む ふつう物語というものは、時間的な順序を追って進みます。悲劇だろうが喜劇だろうが、基本的には物事が起こった順序通りに、物語は進んでいく。ミステリーの場合は犯人や動機などが隠された状態で物語が進みますが、これは叙述の順序が変わっているだけで、別に作品内の時間構造自体が乱れているわけではない。なので名探偵が登場して話の頭を説明してしまうと、基本的に物語も終わる。 いっぽう、物語内の時間の構造自体が狂ってしまっている物語もあります。いわゆるタイムパラドックスものと呼ばれるのがそれです。この場合、時間の前後関係が狂ってしまっていて、し
2011/02/07 掲載 著 ミランダ・ジュライ 訳 岸本佐知子 新潮社 [小説] 海外 2010.08 版型:B6 ISBN:4105900854 価格:1,995円(税込) セックスは、しばしば滑稽である。そして残酷でもある。 どんな偉人だって、下半身むき出しのすっぽんぽんでは何を言っても無駄である。むき出しの下半身は、上半身の人格を否定するのだ。だから滑稽、なんとも残酷。 ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』には、そんな感じでセックスが飛び道具として使われた話がいくつもあって、ぎょっとさせられる。十六篇が収められた作品集で、中にはショートショートのような長さのものもある。「動き」はその一つだ。 死に瀕した父親から、「女の人をイカせるための指づかい」を教えられた人の話である。「父さんがお前に用意してやれる嫁入り道具はこれくらいしかないんだ」とその父親は言う。ん、嫁入り道具?
『ハーモニー』伊藤計劃 2011/01/28 掲載 著 伊藤計劃 早川書房 /ハヤカワ文庫 [小説] [SF・ホラー] 国内 2010.12 版型:文庫 ISBN:415031019X 価格:756円(税込) 『ハーモニー』伊藤計劃 ★健全育成条例と『ハーモニー』 本書はハードカバーで発売されたのが2008年、文庫で出たのがつい昨年の2010年12月で、パリパリの新刊であるにも関わらず、私が手に取った文庫本はもう三刷を数えておりました。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで売れている、今もっとも旬なベストセラーです。 なんだ、それじゃお前ごときが紹介する必要ないだろ、と思う方も多いかもしれません。けれども、ここで私がご紹介しておきたいと思ったのには理由があります。というのも本書はSF小説として書かれているにも関わらず(というかその故にこそ)、現代社会の抱えるさまざまな問題が、ノンフィクション以上に深
『ペドロ・パラモ』フアン・ルルフォ 2011/01/12 掲載 著 フアン・ルルフォ 訳 杉山晃 訳 増田義郎 岩波書店 /岩波文庫 [小説] 海外 1992.10 版型:文庫 ISBN:4003279115 価格:630円(税込) 『ペドロ・パラモ』フアン・ルルフォ ★極悪人、ペドロ・パラモの一代記 フアン・ルルフォはメキシコの作家で、生涯にたった二冊しか本を出版しておらず、日本ではちょっとマイナーな存在です。本書はそのうちの一冊で、日本では現在絶版になっています。が、これがすごい。本当にすごいんです。 物語の軸となるのは、タイトル通り「ペドロ・パラモ」という男の一代記です。この男は強欲で好色で吝嗇で嘘つきで、七つの大罪が服を来て歩いているような人物です。極貧家庭で育った彼は、まずは金を借りている家の娘と結婚して、家の借金をチャラにしてしまう。もちろん本気で惚れているわけではないので、
トップページ > B.J.インタビュー「この翻訳家に聞きたい」 > 第1回 渋谷豊さんに聞く「どうしてそんなにダメ男小説が好きなんですか?」(前編) 目利きの翻訳家にテーマをしぼってインタビューする「この翻訳家に聞きたい」。第1回のゲストは、本国フランスでも忘れられていたエマニュエル・ボーヴという作家を発見し、本邦初訳を果たした渋谷豊さんです。ボーヴといえば、ダメ男小説! というわけで、渋谷さんの好きなダメ男についてお話を伺いました。 本文中で言及される(※)を付記したタイトルは、2010年現在、未訳の作品。邦題は渋谷さんが仮につけられたものです。 ボーヴ作品との出合い ――(以下、石井千湖)渋谷さんの訳書は現在4冊。そのすべてが"ダメ男小説"です。ボーヴの『ぼくのともだち』の主人公、ヴィクトール・バトンは無職で、恋人も友達もいない。毎日、何もすることがないから、パリの街をぶらついている。
インタビュアー/石井千湖 目利きの翻訳家にテーマをしぼってインタビューする「この翻訳家に聞きたい」。 第3回 藤井光さんに聞く「アメリカ文学の"音"って?」 目利きの翻訳家にテーマをしぼってインタビューする「この翻訳家に聞きたい」。第3回のゲストは、藤井光さん。デニス・ジョンソンの全米図書賞受賞作『煙の樹』、作者(=土星)と登場人物の奇想天外な戦いを描いたサルバドール・プラセンシアの『紙の民』など、次々と話題の本を訳している藤井さんにアメリカ文学についてお話を伺いました。なぜかダメ男の話も! >>前編を読む >>後編を読む 第2回 尾山慎二さんに聞く「『宇宙飛行士オモン・ラー』とゴーゴリの子供たち」 目利きの翻訳家にテーマをしぼってインタビューする「この翻訳家に聞きたい」。第2回のゲストは『宇宙飛行士オモン・ラー』の訳者、尾山慎二さんです。ロシア現代文学を代表する作家であるヴィクトル・ペレ
○前置き:関西人の視点から 最初にレビュワー自身の自分語りをさせていただくことをお許しいただきたい。というのも、本書の書評として辛辣な意見を書かせていただく以上、その背景を明らかにしておく必要があるからだ。 私は奈良県に生まれ育ち、大阪泉州の学校に通い、難波の予備校を経て京都に下宿して大学に通った人間だ。つまり、二十数年間を関西圏で過ごしてきた関西人である。「笑都」大阪の番組を見て育ち、吉本新喜劇を見ては椅子から転げ落ちてきた。ボケ・ツッコミ・ノリツッコミはコミュニケーションの一環だ。 1986年の心斎橋筋二丁目劇場オープンは、私のお笑い鑑賞歴においても画期的なターニングポイントである。ダウンタウンを初めとする二丁目軍団(今田耕司・東野幸治、ハイヒール、非常階段、ホンコンマカオ、130R、メンバメイコボルスミ11、三角公園USA……)が大阪のお笑いにもたらした大旋風が、当時高校生の私を直撃
第11回文学フリマ U-01 「松恋屋」 『サバービアとミステリ 郊外/都市/犯罪の文学』抄録 ※以下は、12月5日開催の第十一回「文学フリマ」で頒布される電子書籍の序文と内容の一部を抜粋したものです。独立した読物として楽しんでいただくことができますが、全貌を知りたい方はぜひ「文学フリマ」U-01「松恋屋」へお越しください。 また、別の部分が翻訳ミステリー大賞シンジケートでも抜粋の形でお読みいただけます。是非こちらもご覧ください。 >>翻訳ミステリー大賞シンジケートの記事へ ■はじめに 2010年11月22日、都内某所で座談会が開かれました。この電子書籍は、その全容を収録したものです。出席者は、川出正樹と霜月蒼、杉江松恋というミステリ愛好家の三人。これだけでは視点がすべてマニアの内向きなものになりはしないか、という懸念から米光一成氏に冷静な審査者として加わっていただきました。 このメンバー
ゾンビ・アクション+『高慢と偏見』! どう考えてもこれが今年一番の奇書 酒井貞道 Friday新刊チェック 2010/2/12 著 ジェイン・オースティン 著 セス・グレアム=スミス 訳 安原和見 二見書房 /二見文庫 [SF・ホラー] 海外 2010.02 版型:文庫 >>書籍情報のページへ 古典文学をマッシュアップし、物語の大枠はそのままに、ゾンビを大量に紛れ込ませたのが本書『高慢と偏見とゾンビ』である。 『高慢と偏見』といえば、ジェイン・オースティンが19世紀初頭に発表した、イギリス文学史上に燦然と輝く古典名作である。その粗筋は以下のとおり。 田舎町ロンボーンに住むベネット家には、五人姉妹がいた。しかし姉妹の父ミスター・ベネットが死ねば、遺産は「限定相続」ということで、男系の親戚、すなわち遠縁のいとこコリンズに渡ってしまい、姉妹と母は屋敷を追い出されてしまう。ミスター・ベネットはま
おすすめ本書評一覧 きことわ 著 朝吹真理子 [小説] >>書評を読む レビュワー/千三屋 掲載日:2013.08.16 テルマエ・ロマエVI 著 ヤマザキマリ [マンガ・アニメ] >>書評を読む レビュワー/新藤純子 掲載日:2013.08.15 [ノンフィクション] >>書評を読む レビュワー/蔓葉信博 掲載日:2013.06.22 高円寺 古本酒場ものがたり 著 狩野俊 [随筆・エッセイ] >>書評を読む レビュワー/千三屋 掲載日:2013.06.19 くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ 著 熊本県庁チームくまモン [政治] [ビジネス] >>書評を読む レビュワー/蔓葉信博 掲載日:2013.06.18 フィフティ・シェイズ・ダーカー (上) (リヴィエラ) 著 ELジェイムズ 訳 池田真紀子 [小説] >>書評を読む レビュワー/日向郁 掲載日:2013.05.
作者名を度外視しても面白い、パラレルワールドSFの力作 酒井貞道 Friday新刊チェック 2010/1/15 著 東浩紀 新潮社 [SF・ホラー] 国内 2009.12 版型:B6 >>書籍情報のページへ 言うまでもなく、作者の東浩紀は極めて著名な批評家であり、エンターテインメント分野にも造詣が深い。その東浩紀が初めて小説を書いたとなれば、どんなに難しい話かと、腰が引けるのが人情というものだろう。しかしあにはからんや、『クォンタム・ファミリーズ』は作者自身が折に触れて語るように、エンターテインメント小説としてもストレートに読める。 2007年、小説家の葦船往人は、2035年からのメールを受け取る。文章が混乱しているそのメールの発信者は、自らを、往人と妻・友梨花の間に2005年に生まれた「娘」と名乗った。しかし往人と友梨花の間には娘などいなかった。 一方2035年、葦船往人と友梨花の間に
トップページ > B.J.インタビュー > vol.7 「そこのところ、どうなんですか? 穂村さん。」もう一度聞きたい。「どうして書くの?」【穂村弘】 「言葉」をめぐる書き手同士の対話群 ——(以下、北條一浩) 穂村さんの対談集『どうして書くの?』が出まして、これはとても重要な本だと思い、ぜひインタビューをさせていただきたいと思いました。7人の方との8つの対談が掲載されていますが、期間は2001年から2008年に渡っています。今回あらためてゲラを通読されたと思いますが、ご自身の感触として、一冊にまとまってみていかがですか? 穂村 わりと真面目なんだなと思いました(笑)。何人もの方に同じことを聞いているし、いつも気にしていることがあるのだな、ということがわかりますね。 ぼくは普段から「現実は現実だ」とは思っていないようなところがあって、現実というものが現場だけで成立しているとはあまり考えてい
トップページ > B.J.インタビュー > vol.2 第15回日本ホラー小説大賞長編賞受賞 選考会史上、異例の物議を醸した衝撃のグチョエンタ作品、飴村行『粘膜人間』 グッチャネって何だ? ――(以下、杉江松恋)飴村さん、このたびは『粘膜人間』(応募時のタイトルは『粘膜人間の見る夢』)の第15回(2008年)日本ホラー小説大賞長編賞受賞おめでとうございます。たいへん、おもしろく読ませていただきました。正直言って私、新人作家の小説を二日間で二度も読み返したのは初めてです。そのぐらいおもしろかった。 飴村 ありがとうございます。 ――授賞式で「グッチョングッチョンの小説だ」という趣旨のことをおっしゃったではないですか。なんじゃそら、と思って読み始めたら、もうその挨拶と寸分違わぬグッチョングッチョンさで。……素晴らしかったです。 飴村 光栄です(笑)。 ――えーと、読者の方にお断りしておいた方が
2013/08/16[新着書評] 『きことわ』朝吹真理子 評者:千三屋 2013/08/15[新着書評] 『テルマエ・ロマエⅥ』ヤマザキマリ/「1~3巻は大傑作、4~6巻は残念な出来」 評者:新藤純子 2013/06/19[新着書評] 『高円寺 古本酒場ものがたり』狩野俊 評者:千三屋 2013/06/18[新着書評] 連載「週末、たまにはビジネス書を」第11回 『くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ』熊本県庁チームくまモン 評者:蔓葉信博 2013/05/12[新着書評] 『フィフティ・シェイズ・ダーカー(上・下)』ELジェイムズ 評者:日向郁 2013/04/04[新着書評] 『クラウド・アトラス』デイヴィッド・ミッチェル 評者:千三屋 2013/03/15[新着書評] 【連載】 蔓葉信博「週末、たまにはビジネス書を」 第10回 『投資家が「お金」よりも大切にしていること
トップページ > B.J.インタビュー > vol.6 小市民、とはいいつつ強烈な自意識をもった高校生のカップル。この先、いったいどうなるのだろう。【米澤穂信】 小市民、とはいいつつ強烈な自意識をもった高校生のカップル。 この先、いったいどうなるのだろう。古典部員たちの恋の行方も気になるぞ。 【米澤穂信】 ―― (以下、杉江松恋)いやあ、『秋期限定栗きんとん事件』、非常に「腹黒い」小説でとてもおもしろかったです! 米澤 ありがとうございます。……そんなに腹黒かったですか? ―― ええ。現時点における腹黒小説の代表格は、一般には湊かなえさんの『告白』(双葉社)だと思うんです。でも、湊さんの小説というのは、私にとってはカタルシスのある、爽快な小説なんですよ。謎解きのピースがぱちっとはめ込まれる時の感じがね、とても気持ちいい。ところが、米澤さんの『秋期限定』は、「こういう話なのかな」と思って読ん
いで まさき 編集部きってのカフェマニア。方向オンチなのでカフェめぐりに地図は欠かせない。 「この街の読書カフェを教えて!」なんてリクエストも受付中。 1. 音楽(BGM)はボリュームやや小さめ ダンスミュージックのバスドラがドン・ドンと鳴っているようでは本を読むどころか踊ってしまいます。ロック・ポップス・ジャズ・クラシック…、音楽のジャンルはさておき、ボリュームが大きくないこと。ちょっと小さめが、読書に集中できますね。音量が大きいと、まわりの人たちの話し声も大きくなってしまい、それも読書したい人にはちょっと…、ということになりますので、まずはボリュームおさえめが第1条件。 2. 1・2人がけの椅子・テーブルがあること 1人で読書したい場合、1人or2人がけの椅子・テーブルがあればお店に気兼ねすることなく長居もできそうな感じですね。カウンターだと、ちょっと落ち着かない感じもします。なので、
トップページ > B.J.インタビュー > vol.4 著書刊行100冊突破記念!!『濃縮四方田』 ザ・ベリーベスト・オブ・四方田犬彦 今年2月、『濃縮四方田』という未曾有の本が刊行された。同じ作者による、数えて100冊目の著作というだけでも滅多にない出来事だが、この100冊目、これまでの99冊すべてから抜粋し、著者自ら注釈を施したという「グレイテスト・ヒッツ」なのである。著者と併走してきた四方田ファンのみならず、古書店でも80年代の本がなかなか入手できない若い世代の読者にとって、この本の刊行は画期的な事件である。 著者の四方田犬彦さんにインタビューを試みた。 本は消えていく、消えてしまうと書いたものは記憶に残らない ――(以下、北條一浩) 『濃縮四方田』を刊行するにあたって、これまでの全著作から抜粋し、注釈を施すということが行なわれたわけですが、抜粋にあたっての基準があったのかどうか、お
美しい男を描いてスターになったイラストレーター、J・C・レインデッカー 著 LAURENCE S.CUTLER 著 JUDY GOFFMANCUTLER ABRAMS [画集・写真集] 海外 2008.11 >>書籍情報のページへ J・C・レインデッカーというイラストレーターの名前を聞いたことがあるだろうか? 名前は知らなくても、彼の絵には見覚えがあるはずだ。二十世紀初頭、アメリカで彼ほど人気があるイラストレーターはいなかった。アメリカで最も読まれている雑誌、「サタデー・イブニング・ポスト」の表紙を四十四年間に渡って飾り、シャープで、マスキュリンでモダン、そんなアメリカ的な美に溢れた彼の画風を印象づけた。現在、世界中に流布している「赤い服を着た太った老人」というサンタクロース像は、もともと「サタデー・イブニング・ポスト」のクリスマス用の表紙にレインデッカーが描いたイラストを基にしたものであ
オリンピック開催を翌年に控えた二〇一五年の正義も悪もない東京大殺戮劇。 著 深町秋生 宝島社 [ミステリー] 国内 2008.08 版型:B6 >>書籍情報のページへ 北京オリンピック、盛り上がっていますね。しかし、調子に乗って東京にオリンピックを招聘するのは止めてくれないかなあ。私が住んでいるあたりでは地下工事が準備されており、やがて首都高速道路中央環状品川線が走る予定である。すでに開通している新宿線の工事時に私は随分取材をさせてもらったのだが(グラフィック社から出ている『トーキョー・アンダー』の取材です。これ、宣伝ね。写真は土門拳賞に輝いた内山英明さんだ)、交通量計画の中にオリンピックのオの字も出てこなかったと記憶している。都知事はオリンピックを見越しての都市計画だとよく言うけど、どこまで信用していいものやら。お祭り騒ぎを利用して地価を上げたいだけ、という気がするのだけど。 深町秋生
哲学者である須原一秀が「哲学的事業」と称して自死した。頸動脈を切った上の縊死だった。果たしてその死は哀しんでいいのか、喜んでいいのか。覚悟の自死は、賞賛されるべき死なのだろうか。その死から僕らは何を学ぶべきなのだろうか。積極的な死の受容に到る考えと一人称的経緯をまとめたのが本書である。僕は嘔吐(えず)くような重い気持ちになったまま、庭にある山吹の花が風に揺れているのをしばらく見つめていた。 そして、卒然とこみあげてくるものを抑えられなかった。 実は、親しかった広告業界の友人をつい3か月前に自死で失った。著者と同じ縊死であった。僕は密葬に立ち会い、涕泣しながらも正直、憤りの気持ちが強かった。思えばそれまで進めていた仕事に対して何を思ったのか、彼は丁重な礼状をよこしていた。いままでの交友への謝辞とも読める内容だった。自死の日から4日後に会う時間まで約束までしていたのに、彼はホゴにした。その日は
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