サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
CES 2025
blog.livedoor.jp/sugicc402
鹿島の真の強さは“堅守速攻”にあらず December 13, 2016 19:44 カテゴリcolumn チャンピオンシップ、クラブW杯。ここに来て鹿島のサッカーが一段と輝きを増している。中でも、クラブW杯初戦対オークランド戦、第2戦のマメロディ・サンダウンズ戦、それぞれの後半の出来ばえは秀逸だった。日本サッカー界のこれまでの流れを振り返れば、代表チームを含めて存在しなかった、世俗的ではない一見に値するサッカーだと思う。 先日、マロメディ・サンダウンズ戦を中継した実況アナは、鹿島の長所について終始、以下の言葉を盲目的に繰り返した。堅守速攻。粘り。勝負強さ。伝統の力。ありきたり。ステレオタイプの言い回しと言うべきだろう。サッカーの中身に目を凝らせば、もっと別の要素が、こだわっているポイントとして鮮明に浮かび上がる。 確かに堅守かもしれない。だが、堅守の意味は広い。他の競技でも当たり前のよう
過去の日本人監督の中でダントツ1位。リオ五輪出場権獲得の最大の要因は“手倉森スタイル” January 31, 2016 18:24 カテゴリcolumn 文字通り五輪代表チームに昇格した手倉森ジャパン。もし落選していれば6大会ぶりの敗退だった。6大会連続出場が当たり前の出来事に聞こえるのに対し、24年ぶり、四半世紀ぶりに味わう敗退は、滅多に起きない不幸が起きたことを意味する。監督は汚名を着せられ、辛い立場に追い込まれる。 北京五輪予選の最終戦をふと思い出す。相手はサウジで負けたらアウトという状況。辛くも0−0で引き分け、出場切符を手に入れた反町監督は試合後のインタビューで、こみ上げる熱いものを必死に堪えていた。 いかにも強気そうな反町監督の涙声もさることながら、メンバー交代を試合中一度も行わず、スタメン11人で90分を乗り切ったその采配からも監督の苦悩を察することができた。「4大会連続」
これが国家プロジェクト?滑稽としか言いようがない新国立競技場建設 May 24, 2015 12:00 カテゴリcolumn 8万人収容のスタンドの一部(1万5千席)を仮設にする。屋根付け工事を後回しにする。先日、新国立競技場の建設規模を縮小する見直し計画が発表された。 この2ヶ月前には「新国立競技場を、ハイテク技術のショーケースにする」との構想が打ち出されたばかりだというのに、だ。 トイレに座れば、体温や血圧等、健康状態を測定してくれるーーとか、観客席にモニター画面を設置し、それを通して試合を多彩なカメラアングルで楽しめるーーとか、そのモニター画面を操作すれば、ドリンク等がデリバリーされるーーとか。 いずれも、スタジアムが備えていなくてもいい、スポーツ観戦の本質から外れた枝葉末節の設備だ。液晶モニターは経年劣化するし、システム的にも、1、2年で新鮮さはなくなるまさに家電だ。恒久的な設備で
「出来栄え点」が低かったサンフレッチェのサッカー February 24, 2014 11:59 カテゴリcolumn ソチオリンピックの真っ只中、国立競技場に足を運べば、バックスタンド天辺の聖火台にはオレンジ色の灯が点っていた。僕は少しばかり五輪気分を引き摺りながら、記者席に座った。 舞台は広島でもなければ横浜でもない。華の都東京の、そのまたド真ん中に位置するスタジアムだ。1964年に開催された東京五輪のメイン会場としても知られる日本スポーツのシンボル。強い発信力でこの国のスポーツ界を支えてきたその心臓部だ。 観客は満員。Fマリノス、サンフレッチェ両軍サポーターも多く駆けつけてはいたが、それぞれが陣取るエリアは、ゴール裏の範囲内にしっかり収まっていた。それ以外の観客の方が、スタンドの多くの面積を占めていた。 広島で試合をすれば、アウェイサポーターを除く大多数がサンフレッチェファンだろう。
名監督とは、「下」にいるのに「上から目線」 March 27, 2012 20:19 カテゴリcolumn 試合後の監督記者会見。 監督のコメントが、すんなり耳に入ってくる場合もあれば、入ってこない場合もある。 「監督、それでは本日の試合の感想からまずお願いします」 記者会見は司会者の、この当たり障りのない一言でスタートする。それを受けて監督は口を開くわけだが、この最初の一言から違和感を抱くことがある。違うなと思うことがある。同じ試合を見た人とは思えないほど、感想に開きがある場合がある。 話が噛み合うためには、お互いのイメージの共有が前提だ。しかし、サッカー監督と記者は、同じ試合を異なる目線で眺めている。監督はベンチ。記者はスタンド。目に飛び込む光景には大きな違いがある。すなわち、試合直後に行われる監督会見は、お互いのイメージにギャップがあることを承知した上で行われる。 視界は記者の方が良
スポーツに国境はない March 13, 2012 13:03 カテゴリcolumn 名古屋ウィメンズマラソン。テレビを見ていて不思議に思ったのは、先頭争いをしていた日本人選手2人が、ロシアの選手にあっさりかわされても、テレビの実況と解説から無念さが伝わってこなかったことだ。「自分を褒めて上げたい」の名言で知られる元五輪メダリストの女性解説者が、辛うじて「付いていって欲しいですね」と一言いったきり。もっぱら話題は日本人のトップ争いに終始した。ロシア人の女性選手は、まるで部外者のような扱いを受けていた。 その前の週に行われたびわ湖毎日マラソンでもそうだった。レースの主役はあくまでもけっして強くない日本人選手。先着した3人の外国人選手は、どうでもいい存在として扱われていた。 世界と戦える選手。五輪代表選手の選考基準にそう謳われていることは、テレビも紹介していた。しかし、テレビの映像には、世界で
監督の力の差で負けた March 01, 2012 10:11 カテゴリcolumn ウズベキスタン戦の採点です。 GK 川島 6.5 終盤、再三ピンチに教われるも、よく失点1でこらえた。0−1は数字の上では接戦に見える。十分に惜しい気持ちになれるスコアだ。本来0−2、0−3になっていても不思議のない試合。GKはよく頑張ったと言うべきだろう。 DF 長友 5.5 前半、時折、格の違いを見せたが、後半尻すぼみ。サイドバックの活躍度とチームの状態には密接な関係があることを証明した試合。貢献したかに見える前半にしても、チームとしてサイドバックを生かそうとする意図は見られなかった。攻め上がりは、あくまでも長友の個人能力のみにゆだねられていた。形というものは存在しなかった。彼の活躍を周囲がお膳立てするシーンはあまりにも少なかった。 DF 今野 5 良いチームは、試合のリズムを決定する役に守備的MFと
サイドバック像が変わればサッカーは変わる February 20, 2012 17:31 カテゴリcolumn 0トップとか、3—4—3とか、バルセロナのサッカーには、語るべきことがいろいろあるが、誰の目にも止まりやすいのは、両サイドバックの動きだ。3バックの時は、両ウイングになるが、とにかく彼らはクロスボールを上げない。プラスのセンタリングに至っては皆無。禁止令が出されているのではとあらぬ想像をさせるほどだ。 トップの選手の背が低い。そもそもトップの位置に張っている選手がいないので当たり前と言えば当たり前だが、エトーがいる時代、イブラヒモビッチがいる時代もそうだった。いや、それ以前、もうずっと前から継続している特徴だ。バルサの伝統と言うべきものになっている。 とはいえ、それがバルサの専売特許というわけではない。いま欧州では、けっして珍しいことではない。あるレベルにおいては、簡単に上げてこ
【杉山茂樹コラム】五輪の男子サッカーが抱える根本的な問題 February 13, 2012 17:54 カテゴリcolumn 低レベルといえば低レベル。面白いといえば面白い。シリア戦の敗戦はいただけないが、予選ならではのスリルが味わえることになったかと思うと、心底怒りは湧いてこない。五輪男子チームは、サッカーのエンターテインメント性を引き出してくれた。そうした見方は確実にできる。 だが必ずしも、世の中がこちらの期待通りに進んでいるわけではない。僕の言う娯楽性には、下世話な面も含まれている。ワイワイガヤガヤ。文句や批判、(怪我人を出さない程度の)騒動も娯楽性の範疇に入る。「●●やめろ!」は、それを象徴するものになる。 一番つまらないのは順当勝ち。サッカーの中身がよければ、後に控える強敵との対戦に期待が持てるが、褒められない内容で普通に勝ってしまうと取り付く島はなくなる。アジア枠が4.5もあ
欧州戦線の中に骨を埋めろ February 03, 2012 15:03 カテゴリcolumn 本田圭のラツィオへの移籍が破談になった。経緯はいろいろ言われているが、高額な移籍金がネックになったことは間違いない。CSKAが要求した金額は1600万ユーロ。これに対し、ラツィオが用意可能な金額は1200万〜1400万ユーロ。報道ではそう言われていた。つまり破談になった理由は、CSKAが要求した金額が高すぎたことにある。本田がVVVフェンロからCSCAに移籍した際に発生した移籍金(違約金)は、推定900万ユーロ。 700万ユーロの差額分を、儲けようと企んだCSKA。これに対し、それは少し高いんじゃないか。もう少しまけて下さいよと迫ったラツィオ。 そのラツィオのUEFAチームランキングは、現在67位。対するCSKAは15位。少なくともラツィオは過去5年の欧州内における成績で、CSKAに大きなリード
何より“堅さ”が足りない日本代表 November 17, 2011 10:20 カテゴリcolumn 「注目は次戦の北朝鮮戦だ。この消化試合を、ザッケローニはどんなスタメンで戦うのか。五輪チームからわざわざ呼んだ清武、原口をどれほどの時間、ピッチに立たせるのか。そのアイディア、工夫の数と、日本代表の可能性は深い関係にある。僕はそう思う——」とは、前回のメルマガの結びの部分だが、僕はそこでタジキスタン戦を従来通りのまさに画一的なスタメンで臨んだことに異を唱えたわけだ。 北朝鮮戦のスタメンをタジキスタン戦から6人替えたことは、そうした意味では評価すべきなのかもしれない。しかし、あーいえばこーいうではないけれど、極端すぎるのも問題ありだといいたくなる。サブをまるで虫干しするような使い方は、「あなたたちはサブですよ」といっているも同然。むしろレギュラーとサブの境界が、明確になった気さえする。少な
概念を覆すようなスタジアムを求む October 27, 2011 01:24 カテゴリcolumn 新スタジアム建設。これほど好奇心をそそられる話はない。どんなスタジアムになるのやら。よいスタジアムが完成して欲しいとの願いはもちろん抱いているが、日本のスタジアムにまつわるこれまでの経緯を思うと、期待と同じぐらい不安に襲われる。先日、吹田市に建設の意向を伝えたというガンバ大阪の話だ。 よいスタジアムの条件として、よく例えられるのが「劇場」だ。劇場的な空間を演出できるスタジアムがよいスタジアムとは、かつてJリーグのお偉いさんも口にしていた台詞。僕もまったくその通りだと思うが、話は大抵そこ止まりだ。スタジアムの重要性は世の中にまだまだ浸透していない。自称スタジアム評論家を吹聴する人は(僕のように)、けっして多くない。 なぜサッカーなのか、この職業に就いた理由を訊ねられたとき、これまで僕はピッチ
運に左右されないラグビーの悲哀 September 18, 2011 09:07 カテゴリcolumn 弱者に優しくないスポーツ。日本がNZに7—83で敗れたラグビーW杯を見て、その残酷な競技性を改めて痛感させられた。 「大敗」。スコアを見てそう思わない人はいない。絶望感を抱かせる救いようのないスコアとはこのことだ。しかし、サッカー的な目でこの試合を眺めると、別の感想も湧く。 今回の83—7というスコアの試合は、サッカー的にはどうなのか。3—0、4—0が良い線だと僕は思う。5—0の可能性もあるけれど、2−0、1—0の可能性もある。幅広く解釈できる。 サッカーの試合を見ていると、僕は気がつけばスコアをラグビーに置き換えている。ラグビー的には何対何だろうか、と。1—1に終わった過日のウズベキスタン戦は、ラグビー的見地でも競ったスコアに思えたが、中には同じ1—1でも、30対10に見える試合がある
左サイドに左利きを August 12, 2011 11:54 カテゴリcolumn 日韓戦の採点。 GK川島 6.5 韓国の終盤の猛攻を好守で無失点で終えた。 DF内田 6 フル出場を果たしたが、それだけに後半、消えてしまったことが浮き彫りになった。 DF吉田 6.5 韓国選手に当たり負けすることなく、90分間、これまでにない落ち着いたプレイを披露した。 DF今野 6.5 プレイにより安定性がでた。慌てた感じが見えないところがいい。 DF駒野 5.5 怪我の長友に替わって出場も、長友の必要性を感じさせる結果に終わった。というか、もっと言えば、左サイドバックには、左利きの選手を起用したい気分を強くさせた。 ザッケローニは試合後の会見で、特に前半、左サイドの2人組(駒野、香川)が、韓国の右サイドの2人組(チャ・ドゥリ、ク・ジャチョル)に対して、後手を踏んでいたことを認めた。 理由は様々考
サッカー偏差値の低い日本のメディア July 31, 2011 18:55 カテゴリcolumn 宇佐美選手がシーズン開幕前のアウディカップ、対バルセロナ戦にスタメン出場。高い評価を得たという。日本のメディアはいつものように、「宇佐美のことをバルセロナ側の新聞は、コレコレこのように称賛した」と、伝えた。 このようなとき、日本のペンメディアは、取材した記者自らの手で、その興奮を伝えようとしない。客観報道に徹しようとするのか、装おうとするのか、第三者に言わせようとする。その手のコメントをけっこう頑張って探そうとする。で、「誰々はこう褒めていた」という方向の記事を作ろうとする。スペインのエル・ムンド・デポルティーボ紙はこうだった、スポルト紙はどうだったと、やる。ポータルサイトのトピックスは、そうした見出しで溢れることになる。 この記事を書いているアナタはどう思っているのだという素朴な疑問に襲われ
三浦知良、44歳。恐るべし。 March 30, 2011 09:27 カテゴリcolumn 岩政は闘莉王にヘッドで競り負けろと言われたのだろうか。森脇はそのこぼれ球への反応を遅らせろと指示されていたのだろうか。瞬間、僕は眼下で起きている光景に目を疑い、そして言葉を失った。 100点満点の演技。ケチの付けようのない完璧な芝居。芝居や演技だとしても、二度とお目にかかれない離れ業。斎藤佑樹投手をはじめ、世の中に「持っている」選手は多々いるが、ここまでのものを持っている選手はそう多くない。まさに神がかり的。神秘的で魔術的で。長い間サッカーを見てきたけれど、ここまでの非現実的なプレイを僕は見た試しがない。 三浦知良、44歳。恐るべし。前から少し、変わっているなと思っていたけれど、突き抜けてしまった感じがある。誤解を恐れず言わせてもらえば、変態度はスポーツ界ダントツのナンバーワン。ここまでおめでたい
勇気は与えるものではない March 23, 2011 10:09 カテゴリcolumn スポーツ選手、とりわけサッカー選手、特に海外組は言う。 「プレイを通して、被災地の方々に勇気を与えたい」 言葉足らずというか、使い方に注意した方が良いのではと思うのは、僕だけではないはずだ。どうでもいい話と言えばどうでもいい話なのだけれど、気になり出すと止まらない言い回し。言葉尻を捉えたくなる。一言いわずにはいられなくなる。 勇気は「与える」ものだろうか。被災者が「あの選手のプレイに、勇気を与えられた」と言うなら分かる。「勇気をいただいた」「勇気づけられた」等々、勇気は基本的に「与えられる」ものなのだ。「勇気を与えたい」すなわち「勇ましい気持ちを与えたい」と平気で口に出来る人は、本来そう多くいないはずなのだ。 自分自身を勇ましいと思っているところになにより驚かされる。勇ましい気持ちは、殿様が家来に与え
サッカーやってる場合ですか March 15, 2011 12:10 カテゴリcolumn 大丈夫でしょうか、皆さん。 何と言えばいいのでしょう。言葉になりません。話す気が湧きません。サッカーどころではありません。いま日本で起きていることを考えると、サッカーの話などしている場合ではない気がします。 サッカーはエンターテインメント。僕はそう割り切っています。サッカーは戦争だとか、国の威信を懸けて戦うものだとか言われていますが、所詮は娯楽。何のかんのと言っても、絶対になくてはならないものではありません。サッカーがなくても人間は生きることができます。「たかがサッカー、されどサッカー」は、僕のメルマガのタイトルでもありますが、基本的には「たかがサッカー」なんです。まず「たかが」ありき。で、それを受ける言葉として「されど」がある。エンターテインメントと割り切るには、あまりにもサッカーは魅力的。奥が深
現場記者の使命とはなにか February 25, 2011 08:15 カテゴリcolumn 20日に行われたアルペンスキー世界選手権男子スラロームで湯浅直樹が6位入賞した。まさに快挙、素晴らしい成績だと思う。 アルペンスキー世界選手権は、数ある「世界選手権」の中でも、上位にランクされるステータスの高いイベント。僕は世界陸上の次ぐらいかなという感覚でいるが、中でも男子スラロームは、そのトリを飾るメイン種目である。世界広しといえど、この6位に勝る6位はそう多くない。 そうした感触は、ヨーロッパに行けば一発で実感できる一方で、日本での認知度は低い。湯浅選手のこの快挙も、ポータルサイトのトピックスに掲載されていただろうか。怪しい気がする。 唯一キチンと報じていたのは、他ならぬNHK。連日BSが中継していたのだ。ヨーロッパではメジャーでも日本ではマイナー。日本人選手の前評判も低い中、あえて放送し
八百長問題コメンテーターは説得力ゼロ February 08, 2011 19:57 カテゴリコラム 私事で恐縮だが、帰国後、すっかり風邪を引いてしまった。 ドーハ滞在中からかなり怪しかった。現地のあまりに激しい気温差に、毎日風邪薬を服用する身の上で、ギリギリのところで耐えてきたのだが、真冬の東京に戻れば、完璧にやられそうなことは分かりきっていた。 予想されたことが予想通り起きたわけだ。声はガラガラ。会話も困難なほどだ。打ち合わせも2つほどキャンセルさせてもらった。世の中的には静かで助かるという話になるのかもしれないが、その分キーボードを打つ手には力がこもる。スギヤマの口に戸は立てられないのである。というのは冗談だが、ともかくスポーツライターとして一言いいたくなるのは大相撲問題。一番滑稽なのは、この前まで八百長はないと言い続けてきた専門家、そしてメディアだ。大相撲に星の貸し借りがあることを
いまこそ結果には目を瞑れ January 30, 2011 09:35 カテゴリcolumn 優勝しても、アジアを制しても、やっぱり僕は喜ぶ気になれずにいる。結果より中身。サッカーそのものへの関心の方が勝るからだ。現在より今後の可能性への関心が勝るからだ。究極の選択として言わせてもらえば、日本が勝利するシーンより、良いサッカーをする瞬間を見たいのだ。 というわけで、採点です。 GK川島 7 不安定な守備もあったが、ビッグセーブも連発。 DF今野 6 後半、ハイボール苦戦。定位置を岩政に譲り、サイドバックにポジションを代えた。フィードの短さは問題だが、大会を通してバックラインをよく支えた。影のMVP。 DF長友 7 延長に入り、4−2−3−1の3の左でプレイ。この采配が的中し、準決勝に続き、見事なアシストを決めた。決めた選手は、これもザッケローニが交替でピッチに送り込んだ李忠成。とはいえ、ザ
香川はザックの悩みの種 January 22, 2011 16:53 カテゴリcolumn カタール戦。まずは採点から。 GK 川島5 2点目の失点シーンは問題。あの角度からニアを破られては。 DF 伊野波6 代表初ゴール。しかし、サイドバックとしては地味すぎ。 DF 吉田4 2つに失点シーンにいずれも当事者として関係。1点目は簡単に外されすぎ。それ以降、混乱に陥る。相手の2トップに完敗。 DF 今野5.5 少しずつ“プレイ機会”が増えている。 DF長友5.5 いつもより、攻撃に参加する機会が少なかった。目立たぬ地味なプレイに終始。 MF遠藤5 チームのリーダーであるはずなのに、それらしい風格なし。自分のことで精一杯という感じ。プラスアルファの魅力、輝きがどんどん失われている。MF長谷部5.5 良くも悪くも、相手のレベルに合わせる傾向がある。相手が弱いと必然、輝くプレイも少なくなる。もっと
代表チームへの認識が不健全 December 29, 2010 10:00 カテゴリcolumn 驚いたのは、名古屋グランパスの高木義成選手。彼は、日本プロサッカー選手会の副会長を突然、辞任してしまった。代表選手の待遇改善を要求する会の方針に、共感できないかららしい。「ファンから『日本代表はお金のためなのか』と言われたことが大きい」と彼は言う。「代表チームにはお金を払ってでも入りたい」とも。 「日本代表はお金のためなのか」。「日本代表選手として頑張る理由はお金が欲しいからなのか」。そうした質問を選手に投げかけるファンを僕はファンだと思いたくない。サッカー選手はプロ。プレイで飯を食っている人たちだ。サッカー選手という仕事を通してギャラを受け取る人たち。サッカー選手としてプレイすることを生業にしている人たち。少なくとも、各クラブとプロ契約を交わした選手は、そうしたスタンスで人生を送っている。他
選手を叩くのはお門違い December 22, 2010 11:57 カテゴリcolumn 「この状態を、日本代表を目指す子供や若者たちにそのまま引き継がせるわけにはいきません」。「日本サッカー協会が動かないようなら、僕ら選手ができる最後の手段はそれしかない」と言うのは中澤佑二。彼は、報酬など待遇面の改善がなければ、代表招集拒否も辞さない構えだという。 日本代表選手が手にするギャラはおよそ1万円の日当と、試合の勝利ボーナスだ。後者の相場は、相手の強い弱いにもよるがマックスで20万円。韓国と戦い引き分けた先日の日韓戦は5万円だったという。 このような話を、一般のファンはあまり知らない。先日打ち合わせしたある出版社の編集者、つまり業界人でさえ、僕の説明に「へー」と驚いた様子で耳を傾けていたほどだ。もちろん金額の安さに驚いたわけだが、それと対照的なのが代表監督の年俸。こちらは岡田サンでさえ1億
地方エネルギーを引き出せ November 09, 2010 12:16 カテゴリcolumn ロッテ対中日。今年の日本シリーズはおもしろかった。延長にもつれ込んだラスト2試合はまさに名勝負。野球の魅力を満喫しながら、最後の最後まで画面に食い入ってしまった。 だが、そんな国民的行事もシリーズ全ての試合が地上波で放送されたわけではない。視聴率も最後の第7戦こそ20パーセントに届いたそうだが、全体としては芳しくなく、文化の日に行われた第4戦に至ってはたったの9.7パーセントだったという。 片や、同じく文化の日に神宮球場で行われた早慶戦は12.1パーセント。東京六大学の優勝決定戦に、日本シリーズは2.3パーセントも先を越されてしまった。 ロッテ対中日。それは言い換えれば、千葉対名古屋の一戦だ。ともに全国区人気のチームではない。そうした意味では、早稲田対慶応の方が上だ。 さらに、早稲田には、斎藤佑
ガラパゴス化の弊害 October 26, 2010 11:08 カテゴリcolumn ダルビッシュが、来シーズンのメジャー行きを断念したというニュースを耳にしたプロ野球界の某長老。日曜日朝、恒例のテレビ番組で結構な話だと喜んでいた。 この方は僕の知る限り、日本人選手が海外でプレイすることに大抵、反対する。野球に限らず、サッカー選手の場合も。驚くのは、こうした考え方が、日本のプロ野球界では特殊なものではないことだ。「日本プロ野球界の損失」とか「人材の流出」とか、そうした言い方をもって嘆く人は少なくない。サッカーより明らかにネガティブな話として通っている。 しかし、イチローを例に取れば分かりやすいが、彼のプレイはほぼ毎試合、日本のお茶の間で観戦できる。どこか遠くに行ってしまった感はゼロ。オリックスの選手よりむしろ身近に感じられる。その他のメジャーリーガーもしかり。脚光を浴びやすい仕組みになっ
巨人になれないFC東京 September 30, 2010 10:12 カテゴリcolumn FC東京の監督が交代した。現在、後ろから数えて3番目。当然と言えば当然。むしろ、遅すぎる選択というべきだろう。とはいえ、新監督の座に就いたのは、FC東京の元監督であり、岡田ジャパンでどんな役を果たしていたのかよく分からなかった大熊コーチだ。大丈夫なの? と、クビを傾げたくなるのは僕だけではないはずだ。 それはともかく、FC東京に限らず、Jリーグの各クラブは、監督交代のタイミングが遅い。概して頻繁ではない。そうした意味での騒動が少ない。 そのクラブに相応しい順位から、3位ほど後ろの順位に3週間以上低迷すると、海外の地元メディアがまず放っておかない。ピ−チクパーチク、監督交代を囁き始める。 その点こそが日本との大きな違いだ。日本はそれどころか、批判さえしない。地元メディア、つまり日本の地方のメディア
御用記者の危うさ August 01, 2010 13:10 カテゴリcolumn 会長が犬飼さんから小倉さんに突然代わった。そのあたりの事情に詳しそうな人に話を聞けば「クーデターのようなものですよ」と言う。 たが、クーデターのようなものと言われても「アーそうなんだ」と、簡単に納得することはできない。クーデターを辞書で引けば、非合法政変と出る。サッカー協会内の話とはいえ、恐ろしい話であることに変わりはない。 正式な退任の記者会見も行われていない。名誉会長に就任するわけでもない。そこには相変わらず川淵サンが鎮座している。名誉会長になるためには、会長を2期以上務めないとダメなのだそうだ。 つまり犬飼さんは、サッカー界から消えることになった。理由は体調不良。ワールドカップ前、メディアにさんざん顔を出し、威勢の良い姿を見せていた会長、2022年W杯招致に誰よりも積極的だった会長は、突然何の病気に襲
ワイドショウと報道の境界線 July 23, 2010 11:43 カテゴリcolumn 前回のブログを書いたのは決勝戦を直前に控えたメディアセンターだった。よせばいいのに、決勝戦の予想まで披瀝し、見事外す醜態を曝してしまった。 でも、まぁ、自分自身を正当化するわけではないけれど、サッカーはそんな調子で楽しむスポーツだと思っている。だから、人前で自分の意見を語ろうとせず、結果が出た後、結果を外した人に「ホレ見たことか」と腐す輩には、「サッカー的」ではない奴との烙印を押すことにしている。「勝負」する精神のない奴は、サッカー選手同様、面白くないのである。笑いものになれない人、恥を笑い飛ばすことができない人を見ていると、僕は少し辛くなってしまうのである。 こうしたメンタリティが支配する日本に、ドリブラーやストライカーが生まれないのは当たり前だと言いたくなるが、それはさておき、少し辛くなったといえ
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『杉山茂樹のBLOGマガジン - ライブドアブログ』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く