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大そうじへの備え
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昨日の朝日新聞朝刊に今年の科学10大ニュースが出ていた。科学関係の報道に携わる朝日新聞記者が投票で選んだとのことで、第1位が「はやぶさの帰還」で第2位が「日本人2人のノーベル化学賞受賞」であったが、私の目を引いたのは第8位「ヒ素食べる細菌、常識を覆す」であった。というのも「異論も相次ぐ」と但し書きにもあるように、この「発見」に対して多くの疑義が湧き起こっているのが現状だからである。ことの起こりは次のニュースであった。 ヒ素食べる細菌、NASAなど発見 生物の「常識」覆す 猛毒のヒ素を「食べる」細菌を、米航空宇宙局(NASA)などの研究グループが見つけた。生物が生命を維持して増えるために、炭素や水素、窒素、酸素、リン、硫黄の「6元素」が欠かせないが、この細菌はリンの代わりにヒ素をDNAの中に取り込んでいた。これまでの「生物学の常識」を覆す発見といえそうだ。 今回の発見では、NASAが記者会見
私はもともとから「グローバルCOEプログラム」には批判的で、不要だと思っている。しかし現実には全国140ヵ所にCOE拠点が出来上がってそこでは多数の若手研究者(大学院生、ポストどくなど)が雇用されている。 前回取り上げた『慶應義塾大学グローバルCOEプログラム2拠点、「幹細胞医学のための教育研究拠点」拠点リーダー岡野栄之と、「In vivo ヒト代謝システム生物学拠点」拠点リーダー末松誠からの共同声明』も見方によると、若手研究者を人質にして予算復活を要求しているようなものである。すなわち、グローバルCOEプログラム予算が削減されると彼らが切り捨てられるからこれは大ごとだという論法である。その後で出された全140のグローバルCOE拠点リーダーによる行政刷新会議「事業仕分け」第3WG によるグローバル COE プログラム評価に対する声明でも同じようなことが強調されている。少し長くなるが引用する
「事業仕分け」このかた、科学者の「物申す」が世間の目に触れるようになった。『慶應義塾大学グローバルCOEプログラム2拠点、「幹細胞医学のための教育研究拠点」拠点リーダー岡野栄之と、「In vivo ヒト代謝システム生物学拠点」拠点リーダー末松誠からの共同声明』もその一つで、私が以前から不要と断じている『グローバルCOEプログラム』(G-COE)の予算削減に対しての見解表明である。現在進行中のプロジェクトを支える予算が削減されれば大打撃なので、プロジェクトリーダーがこのように反応するのは当然のことであろう。素早い反応はプロジェクトリーダーの真摯な責任感のあらわれとして評価するのに吝かではないが、誰に何を言おうとしているのか、もう一つピンと来ない。どのような文脈で述べられているかは原文で確認していただくとして、まず使われている文言を一通り取り上げて、強調部分について私の感想を述べてみる。 今回
研究者が論文を発表する際に著者は誰で順番がどのようになるのか、その判断基準を極めて率直に現場の研究者がブログに公表しておられる。東北大学大学院医学系大学院教授の大隅典子さんで、その一部を引用させていただく。 《さて、今回の論文について言えば、最終的に何人の著者になるのかは、まだ決定されている段階ではありません。 Main contributorsは二人います。 データの貢献度としては、その研究に関わった時間経過の違いもありますので、片方の人の方がより大きいと判断できますので、筆頭著者としてはequally contributedではありません。 データを出すということについていえば、直接は実験をした訳ではありませんが、私はさまざまなsuggestionsをしています。 また、研究の方向性を決めたり、研究費を獲得し、研究場所を提供しているのは私です。したがって、私はlast authorとし
行政刷新会議「事業仕分け」三日目(11月13日)、第三WG競争的資金(先端研究)の録音記録を3回も聞いてしまった。何遍聞いても何が問題の焦点なのか分かりにくいが「事業仕分け」の評決結果が次のように下された。 競争的資金(先端研究) [予算] 科学技術振興調整費 予算は整理して縮減 [制度] 一元化も含めてシンプル化 仕分け人の評決結果は[予算]については見送りが3、縮減(10~50%)が5、要求通りが5、[制度]は一元化が7に対してシンプル化は4をまとめたものである。[制度]ではなぜかまとめ役の蓮舫議員がシンプル化に軸足を置いた結論に持っていってしまった。私は科学者仕分け人が財務省主計官の手先のようなことはして欲しくないな、とその動きが気になっていたが、少なくともこの競争的資金の制度について、一元化・シンプル化に積極的な役割を果たしたように思うので、その点では胸をなで下ろした。私は現行の競
東京新聞の報道である。《筑波大(つくば市)は六日、数理物質科学研究科の長照二教授らが二〇〇六年八月発行の米国物理学会レター誌に発表したプラズマ研究に関する論文で、都合の良いデータを使い作図する改ざんがあったと発表した。外部の専門家を含む調査委員会が「不適切なデータ解析の程度が著しい」との調査結果をまとめた。》(2008年3月7日) この問題に関して筑波大学は「本学教員が発表した論文における不適切なデータ解析について」で、資料1 本事案の詳細について、資料2 説明資料、資料3 本事案発覚後の経過、資料4 研究公正委員会調査委員会調査結果を公表している。この資料4は45ページものPDFファイルで、「データ改ざん」の内容を詳しく伝えている。この分野の専門家には十分理解できる内容なのだろうが、分野外の、しかしデータ解析を仕事の一部としてきた私には少々違和感の残る内容であった。どこに違和感があるのか
紙切れ一枚まで手にとって不要なものは捨て、必要なものはファイルにまとめる。冊子が出てくると中身をパラパラとめくり、捨てるか置いておくか決める。だからなかなか片付けがはかどらない。でもときどき面白いものが見つかる。たとえば今回目に止まったのは、岩波の出しているPR雑誌「図書」(2008年11月号)の次のような座談会記事である。 見出しがよい。科学の本質を言い当てた「役に立たない科学」を麗々しく喧伝しているのである。池内了、福岡伸一両氏のお名前は多くの著書を通じてよく存じているし、内田麻理香氏も東大工学部の広報活動を行っている方と聞き及んでいる。お三方とも科学のあれこれを世間に発信する現役パリパリの方で、そのような方々が「役に立たない科学」というきわめて重要なメッセージを世間に広める意義がきわめて大きいと思うからである。 いくつかの発言を拾い上げてみる たとえば疑似科学の一例としてサプリメント
1998年7月25日に和歌山園部地区で行われた自治会の夏祭りの会場で、出されたカレーライスを食べた住民67名が急性砒素中毒になり、うち4名が死亡する事件が発生した。そしてカレーの入った鍋に猛毒の亜砒酸を大量に混入したとして殺人と殺人未遂容疑で林眞須美被告が12月9日に再逮捕された。というのもすでに10月4日に別件で逮捕されていたからである。被害者にはまことに痛ましい事件であったが、真須美被告は全面否認したまま一審の和歌山地裁、二審の大阪高裁において死刑判決を受けた。そしてさる4月21日に最高裁判所が「主文 本件上告を棄却する」の判決を下して被告の死刑が確定した。これが和歌山カレー毒物混入事件である。その判決理由で次のように述べられている。 被告人がその犯人であることは,①上記カレーに混入されたものと組成上の特徴を同じくする亜砒酸が,被告人の自宅等から発見されていること,②被告人の頭髪からも
1月4日朝日朝刊の第一面トップの記事に「バイエル出願内容判明」、「iPS細胞 複数特許も」、「山中教授と別製法」という大きな見出しが出ていた。エッセンスは次のようである。 iPS細胞についてバイエル社が特許出願したことはかねてから知られていたが、《元になる細胞は、ヒトの新生児の臍帯や皮膚などから取り出した、いろいろな組織の細胞に分化していない状態の幹細胞。分化した細胞を使う山中教授らの方法とは違う。》とその内容が明らかになったと言うである。 世間の人の目を科学研究に向けさせる意味では新聞がこのように大きく取り上げることは元大学人としては有難いが、科学者として見ると、なぜこのようなことが第一面トップに出るのか理解しにくい。「特許争い」で誰が勝ち馬になるか、傍からそのレースを煽り立てているだけのものであるからだ。 私は大学人が特許、特許と駆り立てられるのには元々大反対なのである。大学人にとって
昨夜のNHKニュースで麻生首相が「社会的な常識がかなり欠落している人が多い」と発言したことを報じた。全国知事会の席上、地方が抱える医師不足の問題についてどう考えるかとある知事が質したのに対して、首相が自分の考えを述べるなかで飛び出した発言だそうである。どういう話の流れのなかでのことなのか、そしてこの発言の真意を知りたいと思ったのに、その後の官邸での記者団とのやりとりで「まともな医者が不快な思いをしたというのであれば、それは申し訳ない」と首相が謝罪した、とニュースは伝えてそれで終わりであった。 今日の朝日朝刊を見て、少しはその流れが見えてきた。《首相はさらに「(医師不足が)これだけ激しくなってくれば、責任はお宅ら(医師)の話ではないですかと。しかも『医者の数を減らせ減らせ、多すぎる』と言ったのはどなたでした、という話を党としても激しく申しあげた記憶がある」と続けた。その上で、医師不足の一因と
朝日朝刊が《自民党の「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム(PT)」4、5日、文部科学省に対してヒアリングを実施し、政策の必要性について判定する「政策棚卸し」をした。結果的に約160億円相当の10事業が「不要」、約1430億円相当の6事業が「今のままなら不要」と判定された。 》と報じた。私の目を引いたのが『今のままなら不要』と判定された中に、現在進行中の『グローバルCOEプログラム』が含まれていることだった。 学術振興会のホームページでは『グローバルCOEプログラム ■国際的に卓越した教育研究拠点形成のための重点的支援■』を次のように説明している。 《グローバルCOEプログラムは、平成14年度から文部科学省において開始された「21世紀COEプログラム」の評価・検証を踏まえ、その基本的な考え方を継承しつつ、我が国の大学院の教育研究機能を一層充実・強化し、世界最高水準の研究基盤の下で世界をリードする
2月の終わりにJ:COMとの契約を一新した。J:COM TV + J:COM NETウルトラ160Mコース + J:COM PHONEのパックに切り替え、さらに従来から使用していたIP PHONEを継続したのである。パック料金なので少々安くなり、支払い窓口を一つにした分の利点があった。これでNHKのハイビジョンも観ることが出来るようになり、また無線LANブロードバンドルーターの性能をアップ(無線スループットが300Mbps)することでインターネットの使用環境をより快適にした(と思っていた)。 新しい環境になって10日ほど経ったが、メールの送受信が確かに円滑になったがインターネットの使用感に目立った違いを感じないので、一昨日(3月10日)インターネット上で回線速度を測定してみたところ、その結果に愕然とした。下りが4Mbps前後で上りが8Mbpsなのである。測定を繰り返してもだいたいこの程度の
私のこのブログにGoogleで「世界水準」を検索して訪れた方がいる。検索結果が264万件ある中(7月26日)、なんと以前のエントリー「日々是好日 世界水準の研究教育拠点そして経費関係調書非公表の怪」が第六位に顔を出している。そして 「世界水準の研究教育拠点」の検索では869件のうちの第一位なのである。私の重い腰を早く上げるようにと催促のようにも感じた。 このエントリーで今年中に公表される予定の「21世紀COEプログラム事後評価報告書」(仮称)に、次のような問題点のあることを指摘した。その部分を再録する。 《このプログラムの経費がどのように使われたかを見ると、プログラムが遂行されたその実体を検証出来るが、「21世紀COEプログラム平成14年度採択拠点 事後評価用調書作成・記入要領」の「経費関係調書(事後評価用)(様式5)」に、「支出実績(経費区分別)(平成14~18年度)」として《「経費区分
私の大学院生生活が始まったのは半世紀も前である。今から思い返すと個人的には何の不満もない、懐かしくも充実した日々であった。その一端を戦艦陸奥爆沈で思い出した学生時代に記している。 こういうこともあった。研究指導のあり方について「かくあるべし」と院生同士侃々諤々の議論の末、恐れ多いの教授は敬遠して、助教授・助手の先生方に「研究テーマの理念を説明せよ」と迫ったのである。取りようによっては吊し上げのようなものであるが、先生方も極めて真摯にわれわれに立ち向かってくださった。そいう全人的な指導者との触れあいが研究指導の、ひいては大学院教育の根底にあったと思う。 制度的には修士課程、博士課程で履修単位の規定があった。特別講義とかいう名目で教室に出たかと思うが、どのような話を聞いたのか、一つだけを除いては全てが忘却の彼方である。その一つとは先ほど亡くなられた渡辺格先生の特別講義であった。京大の先生だった
タンパク3000プロジェクトには私のかっての研究仲間が何人も関わっている。私は現役を退いてからは『脱研究』を目指したので、大きなプロジェクトが動き出す話も小耳にはさむ程度であった。それがこの{タンパク3000}であったようだ。5年間に578億円を費やした巨大プロジェクトであることを、朝日新聞に寄せられた中村桂子さんの記事で始めて知ったのである。「よくぞこんな大金を引っ張り出せたな」というのが私の率直な第一印象であった。研究費集めに骨身を削った経験のある人なら、等しく抱く感想ではなかろうか。 研究者にとって研究費獲得は至上命令なのである。金額の多寡に応じて、攻める相手は異なってくる。私の限られた経験ではあるが、百万から千万円程度なら学会の『実力者』を頷かせられたらなんとか行くものだ。しかし億を超えるとそうはいかない。文部事務官であるお役人が目に見えるターゲットになってくるし、それ以上になると
大阪大大学院生命機能研究科の研究公正委員会が今回の『阪大疑惑論文』問題の調査報告を9月22日に行った。その概要を各報道機関が報じているが、骨子は《杉野明雄・同科教授(62)が論文責任者を務める2論文の計八つの図で、データのねつ造・改ざんがあったと発表した。いずれも杉野教授が単独で操作して、共著者に無断で投稿していた。一部のねつ造・改ざんは認めたという。》(毎日新聞 9月24日)とのことである。 杉野教授を何らかの形で処分することで、大阪大学は幕引きを終えるであろう。おそらく大阪大学がこれ以上のことを明らかにすることはないだろう。大阪大学の隠蔽体質というのではなく、今の法的強制力を伴わない調査方法では、単独行為と認定された杉野教授が口を閉ざしてしまうとそこで終わりになるからだ。 私は以前に論文に名を連ねる資格のない教授とはと論じたが、実は杉野教授のようなお方は『想定外』であった。 上の報道を
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