標記の本を読了した.序章と終章を含めると7章構成になっている. 我が国の大学「改革」の混迷や課題を指摘し,その合わせ鏡として英国の研究評価事業が必ずしもうまくいっていないことを示す. 本書は大学関係者ないし高等教育政策担当者にとっては,やや不満の残るものかもしれない. というのも,書かれている内容は我々にとってほぼ自明だからである. だが,本書の趣旨は,関係者にとって自明であることを,むしろ改めて示しておくことにあるという. このことは,終章の以下の一文に表れているように思われる. 子どもたちの未来のために「大人げない話」をする すなわち,大学「改革」の混乱は行政担当者や大学関係者にとって周知の事実であり,本書のような指摘は「大人げない」と言われるかもしれないが,そのようになんとなく覆い隠されてきた部分に意図的に光をあてないと,もはや立ち行かないと言うのである. 自身がより興味をもつのは,