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大そうじへの備え
hicksian.hatenadiary.org
久しぶりに某友人と会ってランチ。お得意のマシンガントークは衰えを知らず・・・というかむしろその勢いはさらに増しており、相槌を打つ暇さえありませんでした。某友人よ、そんなに急いでどこへ行く? デフレがどうして生じるか(デフレの原因)というとその理由は大まかに2タイプに分けられるよね。総需要の不足かあるいは(生産性の上昇をはじめとした)正の総供給ショックかのどちらかだよね(hicksianによる補足;AD-ASモデルで言うと、総需要の不足はAD曲線の左シフトに、正の総供給ショックはAS曲線の右シフトにそれぞれあたる)。 産出量(実質GDP)に及ぼす影響という点では両者の間で大きな違いがあるけれど(hicksianによる補足;総需要が不足する場合は産出量は減少し(あるいは実質経済成長率は低下し)、正の総供給ショックが発生した場合は産出量は増加する(あるいは実質経済成長率は上昇する))、どちらもデ
●Marcus Nunes, “‘Abenomics’ one year on”(Historinhas, January 16, 2014) 一昨年(2012年)の9月のこと、経済を再び力強い成長軌道に乗せるとともにデフレからの脱却を目指すことを公約に掲げた安倍晋三氏が自民党の新たな総裁に選出された。そして、同年の12月に行われた衆院選で自民党が勝利を収めたことで安倍氏は晴れて第96代の内閣総理大臣に就任することになったわけだが、それから1年が経過しようとしている。この1年の間に安倍氏の公約はどの程度果たされているだろうか? 以下ではいくつかの図表を通じてこの1年のアベノミクスの「パフォーマンス」を見ていくことにしよう。 まず最初の図表はインフレ−ヘッドラインインフレ率(青色)およびコアインフレ率(赤色)−の推移を辿ったものである。 日本のインフレ率は長い間マイナス(デフレ)の領域を漂っ
●David R. Henderson, “The Man Who Resisted ‘Blackboard Economics'”(Wall Street Journal, September 4, 2013) つい先日のレイバーデー(Labor Day)に102歳でこの世を去ったロナルド・コース(Ronald Coase)は20世紀に活躍した経済学者の中でも最も稀有な人物の一人であった。取引費用が現実の経済に対してどのような影響を及ぼすかをめぐって鋭い分析を展開し、その洞察に対して1991年にノーベル経済学賞を授与されている。75年の学者人生を通じて彼が執筆した重要な論文は1ダース程度しかなく、彼が論文で数学を利用することはほとんどあるいはまったくなかった。しかしながら、彼がもたらした影響は深遠なものであった。 20代前半の若かりし頃のコースは社会主義者だったが、彼は他の大半の社会主義
「経済を支える制度的な構造と経済の機能に対して取引費用ならびに所有権が果たす役割の重要性を発見し、その明確化に努めた」業績を称えて1991年にノーベル経済学賞を授与されたロナルド・コース(Ronald H. Coase)が先日の9月2日に逝去されたとのこと。102歳でした。 どちらかと言えば寡作の学者だったと言えるのかもしれませんが、コースの論文はいずれも質の高い優れたものでした。「企業の本質」「社会的費用の問題」(ともに『企業・市場・法』に収録*1)は取引費用経済学(あるいは新制度学派経済学)や「法と経済学」の分野を開拓した偉業であり、自らの名前が冠された「コースの定理」*2や取引費用のアイデアは企業論や「法と経済学」の分野を超えて政治経済学等の幅広い分野にわたって応用されています(取引費用の観点から政治経済学の問題に接近している著作としては、例えばディキシット著『経済政策の政治経済学―
●Neil Irwin, “The mystery of Ben Bernanke and the Japanese ketchup is solved!”(Wonkblog, May 12, 2013) つい先日私は中央銀行をテーマとした著書を上梓するに至ったが、その中でFRBの現議長とケチャップならびに日本銀行の三者を巡るちょっとしたミステリーについて言及している。しかし、今やそのミステリーは解かれた、と個人的には考えているところだ。 遡ること10年前の2000年代初頭、アメリカの政府高官ならびに経済学者らは日本政府、中でも日本銀行に対してひっきりなしに次のようなコメントを寄せていた。日本経済がデフレから脱却するために日本政府(中でも日本銀行)はもっと積極果敢に行動する必要がある、と。当時FRBの理事であったベン・バーナンキ(Ben Bernanke)もそのように発言していたうちの一人
◎タイラー・コーエン著/石垣尚志*1訳 『アメリカはアートをどのように支援してきたか−芸術文化支援の創造的成功』(ミネルヴァ書房、2013年07月刊行予定) 以下、出版元であるミネルヴァ書房のHPより引用。 芸術文化の振興に関して、対立するふたつの立場がある。ひとつは芸術文化への助成を否定し、市場に任すべしとする立場、もうひとつが芸術文化は素晴らしいものであり公的に助成すべきだとする立場である。両者はたいてい相手の存在を無視して自分たちの主張を繰り返すばかりである。本書は、アメリカにおけるそれぞれの立場の主張内容と意義そして可能性と限界を整理し、望ましい芸術文化支援のあり方を探る。(原著=Tyler Cowen, Good & Plenty: The Creative Successes of American Arts Funding, Princeton University Pres
以下、高橋洋一(監訳・解説)『リフレが正しい。FRB議長ベン・バーナンキの言葉』(「第7章 日本の金融政策、私はこう考える」)より引用。 「物価水準目標」の具体的な形態としてここで私が想定しているのは、「過去5年間を通じて、デフレではなく、たとえば年率1%といった緩やかなインフレが起こっていたと仮定した場合」に到達していたはずの水準にまで、物価水準(物価水準は生鮮食料品を除いた消費者物価指数のような、標準的な物価指数によって測定されることになるでしょう)を回復させる意志(あるいは意図)を、日本銀行が宣言するという方法です。 ・・・(省略)・・・ ここでご注意いただきたいのは、私が提案している「物価水準目標」においては、目標が絶えず変動し続けるということです。すなわち、2003年時点で目標にすべき物価水準は、1998年の実際の物価よりも約5%高いことになりますが、2003年以降に関しては目標
*NGDP目標(NGDP目標リンク集(その1)はこちら) ●Jeffrey Frankel, “Nominal GDP Targeting is Left, Right?”(Jeff Frankels Weblog, May 2, 2013) ●Nick Rowe, “Raising expectations of inflation vs raising expectations of NGDP growth”(Worthwhile Canadian Initiative, June 25, 2013) ●Yichuan Wang, “Why Nominal GDP Targeting Solves the Credibility Problem”(Synthenomics, June 30, 2013) ●Tomáš Sivák, “Inflation targeting vs. nom
●Gauti B. Eggertsson, “Abenomics and FDR”(Economic Notes, April 4, 2013) 過去数ヶ月のうちで経済政策の分野で起こった最も注目すべき出来事は、日本銀行と日本政府がデフレからの脱却に向けて金融政策と財政政策とをはっきりと(明示的に)「協調させる(コーディネートさせる)」決意を固めたことだろう。日本で生じているこの政策面での新たな動きは(新しい首相(安倍晋三)の名前にちなんで)「アベノミクス」の名で喧伝されている。アベノミクスの目標は、長年にわたって続いたデフレから脱却し、年率およそ2%のインフレ率を達成することにある。その目標を達成するために具体的にどのような行動を採るつもりであるのかについてはこれまでにも様々にその概要が伝えられている。 例えば、去る1月に日本政府と日本銀行は政策協調に関する声明(pdf)(日本語はこちら
●Scott Sumner, “The wage paradox”(TheMoneyIllusion, March 15, 2013) 賃金の下落は労働市場が均衡から外れている(不均衡状態に置かれている)ことを示唆するサインであり、それゆえ問題が発生している証拠であると言える。一方で、賃金の下落は労働市場が再び均衡に復する(労働市場における不均衡を解消する)助けとなると考えられる。そういった意味では、賃金の下落は問題の解決を促す役割を担っていると言える。 このどちらの主張もともに弁護可能である。私が思うに、景気循環について具体的なイメージを掴むためにはこの2つの主張を同時に念頭に置いておくことが最善の方法だと言えるだろう。次の文章はつい最近のエコノミスト誌の記事からの引用である。 実のところ、安倍首相による(15年にわたるデフレからの脱却を目指す)キャンペーンは政治的な意味合いを備えている
●Marcus Nunes, “A visual take on Japan”(Historinhas, June 4, 2013) 直近のエントリー(訳注;sowerberryさんによる邦訳はこちら)でラルス・クリステンセンが次のように語っている。 ここのところ日本では予想インフレ率が低下しているわけだが、その主たる理由は長期金利(長期国債の名目利回り)の上昇に対する日銀のあべこべな対応にあると私は考える。 日本銀行幹部―黒田総裁も含む―の発言から判断するに、どうやら日本銀行は不可能な試みに乗り出そうとしているようである。つまりは、長期名目金利の上昇をもたらすことなしに金融緩和を進めようとしているようなのだ。日銀がそのような姿勢をとっているために日本銀行の目標をめぐって混乱がもたらされる格好となっており、その結果として予想インフレ率の急落が引き起こされているのである。 クリステンセンの主
イングランド銀行の新総裁に就任予定のマーク・カーニー(Mark Carney)に金融政策のノウハウを学ぼうとイギリスに向かわれたレギュラー先生。岩田規久男氏*1が日銀副総裁に就任したとのニュースを今更ながら知って、ひとまず村はずれの庵に戻る決心をなされたようです。 これまでありがとう、レギュラー先生。・・・そして、さようなら。 ◎岩田規久男氏が日銀副総裁だって!? しかし、遊びすぎたワン。カーニーに尾の振り方を学びにわざわざイギリスまで来たはずワンのに、金髪のチャンネーのお尻ばっかり追いかけてたワンね。気持ちを入れ替えてカーニーのお尻を追いかける・・・じゃなくて、カーニーに尾の振り方=金融政策のノウハウを学ぶことにするワン。 ところで、岩菊先生が日本銀行副総裁に就任って本当だったワンね。こちらでも“Kuroda”って言葉はよく目にするワンけど、岩菊先生が副総裁とは知らなかったワン。 ちょっ
本日(5月24日)、中経出版より高橋洋一氏の監訳・解説で『リフレが正しい。FRB議長ベン・バーナンキの言葉』が出版されました。本書は、現FRB議長であるベン・バーナンキによる講演(理事時代の講演も含む)と議会証言、そしてFOMCによるプレスリリース(記者発表)を計7点集めて翻訳したものとなっています。それぞれの翻訳に対して高橋氏による簡単な解説もなされています。 収録内容に関してはoptical_frogさんのエントリーをご覧いただくとして、翻訳担当者の半数ほどは(これまたoptical_frogさんがつぶやかれているように)「道草」参加メンバーとなっております。 そうです。私も一部ですが翻訳に協力させていただきました。そこで私が担当した翻訳箇所に対するサポートの提供を意図しましてそれ用にブログを設けました。このサポートブログでは、誤植や誤訳の訂正(無いことを祈るばかりですが)や収録内容に
●Scott Sumner, “Money and output (The musical chairs model)”(TheMoneyIllusion, April 6, 2013) ここ最近の一連のエントリーでは、金融政策が長期的に物価にどのようなインパクトを及ぼすのかについて説明を行ってきた。その際に依拠した基本的なアプローチに名前を付けると、「ホットポテトモデル」(“hot potato model”)と呼ぶことができるだろう。その内容を簡単に説明すると次のようになる。人々は利子を生まない貨幣を一定量だけ需要する。その際Fedが人々の貨幣需要を上回るベースマネーを供給すると、人々は自らが欲する以上の現金を手にすることになるが、人々はその余分な現金残高*1をいち早く処分しようと試みる*2ことだろう。しかし問題は、個々人のレベルで見ると余分な現金残高を処分することは可能であるが、社会
●Mark Thoma, “Seven Myths about Keynesian Economics”(The Fiscal Times, May 7, 2013) 「ケインズは独特な性的嗜好の持ち主であり、さらに子供がいなかった。ケインズが長期的な経済問題に無関心であったのはそのためだ」。つい先日、ハーバード大学の歴史学者である二ーアル・ファーガソン(Niall Ferguson)がこのような趣旨の発言を行い、その後謝罪に追い込まれる格好となった。ケインズの性的嗜好が云々といった話は脇に置いておくとして、「経済が短期的な問題に直面している状況においてはケインジアンはしばしば長期的な問題を無視する」といった見解は広く語られているところである。しかし、ケインジアンは長期的な問題に無関心だとの主張は、ケインズ経済学に関する多くの神話のうちの一つなのである。 【神話その1;ケインジアンは「長期
●Menzie Chinn, “Reflation and Expenditure Switching in a Two Speed World”(Econbrowser, March 25, 2013) バーナンキがすべてを語ってくれている。 FRB議長であるベン・バーナンキ(Ben Bernanke)が本日(3月25日)LSEで講演を行い、そこで次のように語っている。 大恐慌(Great Depression)に関する現代の研究―その流れを生むきっかけとなったのは、バリー・アイケングリーン(Barry Eichengreen)とジェフリー・サックス(Jeffrey Sachs)が共同で執筆した1985年の記念碑的な論文です(注6)―は、金本位制からの離脱がもたらした効果に関して私たちの従来の考え方に変更を迫る格好となりました。金本位制から離脱し、その結果として為替が減価したことで一時的
●Lars Christensen, “15 years too late: Reviving Japan (the ECB should watch and learn)”(The Market Monetarist, April 4, 2013) これまで過去15年にわたって日本銀行はデフレ的な政策(deflationary policies)を推し進めてきたが、その日本銀行が今や進路をはっきりと変えつつあるようだ。このことは本日開催された金融政策決定会合の内容を見れば誰の目にも明らかだろう。今回の決定に関しては「極めてよいニュースだ」という言葉以外に何と書いたらよいものかこれといってうまく思い付かない。今回の日本銀行の決定は日本にとっても世界経済にとっても好ましく、また、教科書通りの金融緩和策であると言える。あえてマイナス面を挙げると、ターゲットが名目GDPの水準ではなくインフレ率に
●Matthew Yglesias, “BOJ's Kuroda Vows To Use "Every Means Available" To Fight Deflation”(Moneybox, April 4, 2013) 本日、黒田東彦総裁率いる日本銀行新体制下で初めての金融政策決定会合が開催され、安倍晋三首相が掲げる2%のインフレ目標(消費者物価で見て前年比上昇率2%の「物価安定の目標」)を達成するために、マネタリーベースを2倍に拡大するプランが発表された。中でも特に興味深いのは決定会合後の記者会見の場で黒田総裁が語った次の発言である。「これまでのように漸進的に少しずつ量的・質的に緩和を拡大するやりかたではデフレ脱却を達成できない。デフレ脱却を実現するためには現在取り得るあらゆる手段を動員する必要がある」。 脅し文句(tough talk)とも言えるこの発言は、期待への働きかけを意
●Tyler Cowen, “Culture in the Global Economy(pdf)”(The 2000 Hans L Zetterberg Lecture, City University Press) 以下、pp.48〜49より抜粋訳。 質問:多くの人々がグローバリゼーションに反対する理由はグローバリゼーション(≒貿易の自由化)の進展によって自らの経済的な利益が損なわれることになるからではないのでしょうか? コーエン:その指摘には私も同意するところですが、ただそれだけではパズルが解決されることになるとは思いません。確かに多くの人々は自己利益に基づいてグローバリゼーションに反対しています。しかし、グローバリゼーションに反対する多くの人々の中には学者も含まれています。彼ら学者はテニュア(終身在職権)を持っており、収入も固定(安定)しています。核による大虐殺なんかが起これば別で
ハワイで長いバカンスを満喫されていたご様子のレギュラー先生が「リフレ摘発」のニュースに驚いて一時帰国。勘違いだったとわかるや、すぐさまイギリスに旅立たれました。イングランド銀行の新総裁に就任予定のカーニーに「尾の振り方」を学ぶためだそうです。短時間でしたが、久しぶりに先生とお話することができましたので、その時の会話の様子を記憶している範囲で再現します。 ○「尾が犬を振る」 "The tail wages the dog"っていう表現があるワンね。「尾が犬を振る」という意味ワンね。金融政策の文脈では、政策短期金利(尾)の上げ下げが実体経済(犬)に影響を与える、ということを指すワンね。 "The tail wages the dog"っていうのはトービンが好んで使う表現ワンね。例えば、この論文のpp.19にあるワンねつ ●James Tobin, “Monetary Policy: Recen
●Paul Krugman, “Currency War Confusions”(The Conscience of Liberal, February 15, 2013) 所々こちらで勝手に言い回しを変えているところがあるのでご注意を。 最近話題になっている「通貨戦争」(“currency war”)についてどう思うかと尋ねられることが多いのでここで私の立場を明らかにしておこう。私の見解はこうだ。「通貨戦争」をめぐって世間で語られていることは思い違いに満ちており、政策担当者がその議論を真剣に受け止めてしまうと非常にまずいことになるだろう。 まずはじめに、多くの人々が過去の(歴史上の)通貨戦争について抱いている認識は正しくない、という点をおさえておく必要があろう。1930年代に世界経済を襲ったとされる悪循環を説明するために「保護主義」(protectionism)と「通貨切り下げ競争」(c
●Japan's Deflation(IGM Economic Experts Panel, January 29, 2013) 「1997年以降日本ではデフレーションがしぶとく続いているが、仮に日本銀行が実際とは異なる金融政策を採っていたとしたらデフレは避け得ただろう」。この主張に同意しますか? *「強く同意(Strongly Agree)」(21%/43%(confidenceの度合い*1でウェイト付けした場合)) <Judith Chevalier、Darrell Duffie、Barry Eichengreen、Bengt Holmström、Anil Kashyap、Pete Klenow、Maurice Obstfeld、Nancy Stokey> Darrell Duffie 「まったくその通り(Strongly Agree)。仮に十分過激な金融政策が実施されていたとしたらイ
●Scott Gordon, “The Economics of the Afterlife”(Journal of Political Economy, Vol.88, No.1, February 1980, pp.213-214;こちらで全文閲覧可能) ここのところ、経済学の分析ツールを(通常では経済学の守備範囲だとは思われていない)新たな分野にまで拡張・応用しようとする動きが活発だが、私の知る限りでは、神学(theology)の形而上学的な側面に経済学を応用した例はないようだ。この研究ノートでは、形而上学的神学における基本問題の一つを検討する。すなわち、あの世(死後の世界)の性質、あるいはもっとテクニカルな表現を使うと、天国の存在論(ontology of Heaven)の検討を通じて、経済学を神学の形而上学的な側面に応用することは可能だということを示す。 議論をはじめるにあたり、
“Why a Second Look Matters”(CFR Symposium on a Second Look at the Great Depression and the New Deal, New York Council on Foreign Relation, March 30, 2009)におけるロバート・ルーカスの発言の抜粋訳。時間がないのでここでは抜粋訳にとどめたけれど、興味がある方は全てに目を通されることをお勧めする。 So, now, some numbers. The trend growth rate of the U.S. economy is 3 percent per year -- I'm talking about total GDP, real GDP. And we always -- we keep returning to it, it's
公共選択論(Public Choice)ならびに立憲的政治経済学(Constitutional Political Economy)の開拓者の一人であり、「経済的・政治的な意思決定の理論に対する契約的・立憲的な基礎付けを発展させた」(“for his development of the contractual and constitutional bases for the theory of economic and political decision-making”)業績を称えて1986年にノーベル経済学賞を授与されたジェームズ・ブキャナン(James Buchanan)が先日の水曜日にこの世を去りました。93歳でした。ブキャナンがその発展に貢献した公共選択論の概要についてはWSJのこの記事が端的にまとまっています。 With Gordon Tullock, Buchanan de
●Paul Krugman(1999), “Inflation targeting in a liquidity trap: the law of the excluded middle” パソコンのハードディスクを整理していたら途中まで訳してほったらかしにしていたのを発見。折角なんで最後まで訳してみた。1999年に書かれた論説です。 噂によると、日本銀行が目標の上限値としてプラスのインフレ率を設定するインフレーション・ターゲッティング(の一種)の採用を検討しているらしいとのこと。この噂が本当だとすればいいニュースだ。というのも、ついに日本人自身が自分たちの置かれている状況がいかなるものかを理解し始めつつあることを意味しているからだ。でも本当にそう言える*1んだろうか? どうだろう。というのも、噂として聞こえてくるインフレ率の目標値があまりにも低過ぎるからだ。もし(インフレ率の目標値が)噂
●Christina D. Romer and David H. Romer, “The Most Dangerous Idea in Federal Reserve History: Monetary Policy Doesn’t Matter(pdf)”(Preliminary Draft, December 31, 2012)の導入部の抜粋訳。 過去100年にわたるFedの歴史において(少なくとも後知恵で判断して)その政策を大幅に改善し得たろうにと言えるような時期*1が存在する点についてはほとんど誰も異議を唱えないだろう。本論文で我々は、金融政策の力(power)に関する過度に悲観的な見解のほうが過度に楽観的な見解よりも政策の誤りをもたらす上でより重要であった、との主張を展開する。 金融政策の力に対する過度に強気の(楽観的な)信念がいくつかの重大な政策の誤りにつながったという点につい
●David Beckworth, “Nominal GDP Level Targeting Links”(Macro and Other Market Musings, October 19, 2011) ベックワースが掲げているリンクのうちで邦訳が存在するもの(私が発見できた範囲で)については以下にあわせてリンクを貼っておこう。 I. Some of my posts on NGDP level targeting (3)The Case for Nominal GDP Targeting / 「NGDP水準目標がおススメなワケ」(拙訳) (5)Why a Nominal GDP Level Target Trumps a Price Level Target / 「NGDPLTがPLTよりも優れているワケ」(拙訳) (6)Target the Cause Not the Sympto
1月1日になった瞬間に例の友人から電話。年賀状出すの面倒臭いから電話で済まそうと思って、とのこと。ガキ使を見ながらの電話だったので会話の内容をどこまで正確に覚えているかは自信はないけれど、記憶している範囲で再現してみよう。 あけおめだよね。それにしてもフフフだよね。不敵な笑みが自然とこみ上げてきちゃうよね。 というのも、極めて強力な金融緩和効果を秘めていながらも中銀のバランスシートを一切危険にさらすことのない資産を見つけてしまったからだよね。 ゼロ下限制約下においては通常金融政策(公開市場操作)で売買の対象となる短期国債を購入したところで大した効果は期待できない。というのも、同じ資産(貨幣と金利ゼロの短期国債)を単に交換しているに過ぎないからだ。ゼロ下限制約下において金融政策が効果を持つためには、貨幣との代替性が低い資産、例えば、満期がもっと長めの国債や民間の証券(REIT(不動産投資信託
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