航空公園駅から30分くらい歩いた場所で行われていた「引込線2013」に行ってきた。良い展覧会だった。この「良い展覧会」という言い方にはいくつかの側面がある。一番大事なのは、そこに置かれていた作品によいものがあった、ということであり、例え個別の作品が良いとは思えなくても、全体として展示空間の中で、それぞれの思考が納得のいくものが多かったということだ。もう一方で、この展覧会から、たとえば「大きな問題意識」を全面に掲げるという感覚は、以前よりも退いた。代わりに表面化したのは、個々の作家が、それぞれの作品と、この展覧会の条件−作家と美術批評家の自主企画であり、故に会場設営から管理、全体の運営までを参加者が皆で分担する、さらに会場が使われなくなった給食センターである−の接点を考え、それを梃子にして、各自の設置空間を構成するという基本的な姿勢だ。 「引込線」はもともと所沢ビエンナーレという名前だった。