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大そうじへの備え
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シャープは、テレビ向けの大型液晶パネルを生産していた堺市の工場の土地・建物の一部を約1000億円でソフトバンクに売却すると発表しました。堺工場ではシャープの関連子会社がテレビなどの液晶パネルを供給してきましたが、業績悪化に伴い、2024年上期でパネル生産を停止することを発表していました。同社の経営について分析したJBpressの記事をもう一度お届けします。(初出:2024年6月5日)※内容は掲載当時のものです。 シャープは、テレビ向けの液晶パネルを生産する堺工場を停止し、大型液晶パネルの生産から撤退すると5月14日に発表した。2024年3月期の連結最終損益は1499億円の赤字だ。中国企業との価格競争が激しく、採算割れが続いていたのだ。 シャープは、かつて債務超過に陥り、2016年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入った。その鴻海から派遣された戴正呉(たい・せいご)社長が、債務超過の解
日産・ホンダの統合話の陰に、ある日産OBの存在 「日産とホンダが経営統合を検討中」――12月18日、暮れの日本を、そして世界を衝撃のニュースが飛び交った。 昨年の新車販売台数で世界6位、394万台、世界6位のホンダと、319万台、世界8位の日産が経営統合すれば、合計して713万台。単純計算すれば、トヨタの1053万台、フォルクスワーゲンの867万台に次いで、世界第3位の巨大自動車メーカーが誕生することになるのだ。 今回の衝撃のニュースについて取材を進めると、あるキーパーソンの名前が浮上した。関潤氏(63歳)である。 1961年生まれ、長崎県の出身で、防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。だが若くして退官し、日産自動車に入社。2001年から2017年まで同社の社長を務めたカルロス・ゴーン氏に認められ、2014年に日産の中国合弁企業である東風日産の総裁に就任した。その後、ゴーン社長失脚とともに
所得控除を103万円から178万円に引き上げることを強く主張している国民民主党だが、税収減を補う財源が明確でないなど問題も指摘されている。果たして「103万円の壁」はどう決着するのか、国債増発で若者世代の将来負担とするのか──。山本一郎氏の論考(前編)。 (山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員) 疲れてやってられないので、眠気覚ましに記事を書いております。各方面から「国民民主党の政策論はおかしいので叩いてほしい」とか「議論を整理していかないと混乱して困るので財源論を含めた叩き台を示せ」などの無茶ぶりが非常に増えておりまして非常に困ります。いや、こちらは真面目に着地可能な政策論とロジをどうにかしたいだけなんですが……。どうしてこうなった。 今回の記事は、政策協議で各方面から真ん中に位置する私から見て、いま何が起きているのかを概観するものですが、先日、JBpressなどで書
プロローグ/ウクライナ経由欧州向け天然ガスPLトランジット契約失効寸前 あと2週間で、ロシア(露)の西シベリアからウクライナ経由欧州向け天然ガスパイプライン(PL)トランジット輸送契約が失効します。 旧ソ連邦・新生ロシア連邦は、欧州諸国にとり信頼に足る天然ガス供給源でした。 西シベリア産天然ガスは欧州経済繁栄の礎となり、供給者ソ連邦(ロシア)と欧州大手ガス需要家は50年以上の長きにわたり、共存共栄の「Win-Win」関係を享受して来ました。 天然ガス鉱区開発と長距離幹線PL建設には膨大な費用が掛かるので、天然ガス供給契約は長期契約になります(LNG=液化天然ガスも同様)。 現行のウクライナ経由トランジット輸送契約は2020年1月1日から2024年12月末まで5年間有効の長期契約にて、今月末にこの天然ガスPLトランジット輸送契約は失効します。 ロシアとウクライナは交戦中ですが、トランジットP
所得控除を103万円から178万円に引き上げることを強く主張している国民民主党だが、税収減を補う財源が明確でないなど問題も指摘されている。果たして「103万円の壁」はどう決着するのか、国債増発で若者世代の将来負担とするのか──。山本一郎氏の論考(後編)。 (山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員) ※前編はこちら「103万円の壁が問う財源問題、手取りは一時的に増えるけど若者世代の将来負担に、削るとすれば福祉・地方関連予算か」 話を戻すと、以前記事でも書きましたように、178万円をひとつのハードルとするのは国民民主党がそう言っているからであって、別にそれに大きな根拠はありません。 同様に、自由民主党が税制大綱に盛り込むぞと言っている120万円相当も、公明党が言っている150万円がメドという発言も、どれもたいした根拠はないのです。目分量というか、まあ折衷案だろぐらいの話だろう
先の衆議院選挙では、政治とカネの問題を抱えた議員の落選が目立ったが、盛山正仁(前文科大臣)、武田良太(元総務大臣)、牧原秀樹(前法務大臣)、山際大志郎(前衆議院議員)、山本朋広(前衆議院議員)など、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)とかかわりの深かった候補者の落選も目立った。 統一教会は国際勝共連合という保守の政治団体を持っているが、同時に、長年にわたって日本の信者に高額献金をさせて韓国に送金してきた。保守政党を標榜する自民党が日本から搾取する団体となぜ手を組んだのか。『宗教と政治の戦後史 統一教会・日本会議・創価学会の研究』(朝日新聞出版)を上梓した宗教学者の櫻井義秀氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) 韓国の嫁不足問題と統一教会の合同結婚式 ──海外のメディアから「なぜジャパン・ナショナリズムの象徴的な存在だった安倍元首相が、コリア・ナショナリズムの統一教会の支援を
12月16日、畏友・郷原信郎弁護士と神戸学院大学の上脇博之教授による「斎藤元彦」選対への刑事告発が神戸地方検察庁と兵庫県警に受理されたとの報道がありました。 容疑事実は「斎藤元彦『現知事』」(当時は失職中)が「選挙における広報全般」を兵庫県内のPR会社「メルチュ」に依頼、SNS投稿サイトなどへの書き込みを行わせ、ネット上での選挙運動に報酬を支払ったというもの。 公職選挙法の禁止する「買収」に相当します。 PR会社社長の個人インスタグラムには堂々と選挙活動を依頼された由が明記されています。 というより、この点が問題視されてからもそのページがそのまま残っており、これは捜査当局から「証拠保全」として温存を命じられているのだろう、とは作家・菅野完氏の弁でした。 郷原さんの動画によれば、斎藤知事の代理人弁護士の「記者会見」は救いようのないダメさ加減で、ほとんど「犯人が自白しているようなもの」とのこと
すでに両社は2024年8月1日に共同記者会見し、電気自動車(EV)領域を中心に協業することを発表している。EVの車載OS(基本ソフト)、蓄電池、モーターとそれを制御するパワー半導体などが一体化したイーアクスルで設計を共通化し、蓄電池については相互供給も行う計画だ。この協業に三菱自動車も加わり、3社連合が結成される方向性が示されていた。 今後、こうした協業を深化させるために日産とホンダは、資本提携を検討することになった。ただ、この交渉入りには、「裏事情」がある。本稿はそこがポイントだ。 「裏事情」とは日産の買収を狙って水面下で動いていた台湾の鴻海精密工業の動きを阻止する狙いだ。鴻海は、ルノーが保有する日産株を取得できないかフランス側と日本の経済産業省にも打診しているという。 こうした動きを察知した日産が外資の買収攻勢から逃れるためにホンダとの資本提携交渉を急いだと見られる。関係筋によると、日
台湾で人気を集めるネットインフルエンサーの多くが、認知戦を仕掛ける中国共産党統一戦線部(統戦)に買収されている——。そんな衝撃的な状況が最近明らかにされた。しかも、それを暴露したのが、ずっと中台統一を支持する動画などを投稿し親中派ネットインフルエンサーとして知られていた、「チャイナ・ボス(中国老総)」などのヒット曲で知られるラッパー、閩南狼こと陳柏源だから、大騒動になっている。 (福島 香織:ジャーナリスト) 実は陳柏源は、ずっと共産党統一戦線部に買収されているふりをして、その実、台湾人の反共インフルエンサーで知られる八炯と組んで「潜入取材」をしていたのだった。
(国際ジャーナリスト・木村正人) メルケル氏の回顧録『自由』 [ロンドン発]旧東ドイツで育ち、ドイツ初の女性首相として統一した祖国を16年間導いたアンゲラ・メルケル前首相(70)が回顧録『自由 記憶1954~2021年』の中で世界金融危機、欧州の債務危機、難民危機、ウクライナ紛争、英国の欧州連合(EU)離脱を振り返っている。 米ワシントンの出版記念イベントではリベラルの盟友バラク・オバマ元米大統領がゲストに招かれた。だが国際社会の現状を見渡せば、人種・性差別発言を連発し、孤立主義、保護主義の傾向を強めるドナルド・トランプ米次期大統領が復活。ウクライナを侵略するウラジーミル・プーチン露大統領も息を吹き返す。 世界では地政学的リスクが高まり、自由民主主義・リベラルVS権威主義・保守の対立が先鋭化、人種、ジェンダー、気候変動でも分断が深まる。リベラルの旗手だったメルケル、オバマ両氏はいまプーチン
シリアのアサド政権が崩壊した要因として、アサド政権を支援していたロシアの弱体化が挙げられる。実際、今も公表されているロシア経済のデータを見ると、ヒト・モノ・カネのすべてが不足している「不足の経済」に陥っている状況が見て取れる。統計データが表すロシアの真の姿とは。(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員) ウクライナに侵攻してから1000余日。米欧日から経済・金融制裁を受けたロシア経済は強く圧迫された。しかし、この間に首都モスクワを訪問した識者は、ロシア経済の様相に特に変わった様子はないという。戦争前と変わらずモノがふんだんに存在するというのがその理由だが、それはモスクワだからという特殊な理由もあるだろう。 経済・金融制裁の狙いは、それまでの供給網(サプライチェーン)を寸断することで、経済活動の圧迫させることにある。当然、制裁を受けた側は、経済活動を維持できるように、
ロシアに亡命したバッシャール・アサド大統領。写真は2023年5月、アラブ連盟首脳会議に出席したときのもの (提供:Saudi Press Agency/ロイター/アフロ) 12月8日、シリアで反体制派が首都ダマスカスを制圧し、父子2代にわたって独裁支配してきたアサド政権が崩壊しました。JBpressではこれまで、アサド政権による徹底した反体制派への弾圧についても解説しています。その記事をもう一度お届けします(初出:2019年5月21日)※以下、内容は掲載当時のものです。 (黒井 文太郎:ジャーナリスト) シリアで、アサド政権とロシア軍の無差別空爆による住民の殺戮がエスカレートしている。 5月17日の国連安保理会合緊急会合では、国連人道問題調整室(OCHA)のローコック室長が「3週間に18カ所以上の医療施設が空爆などの攻撃を受けた」と報告。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」も、
JBpressで掲載した人気記事から、もう一度読みたい記事を選びました。(初出:2024/07/25)※内容は掲載当時のものです。 最近、おじさんが意外な場所で働く姿を見かける。給料が上がらない、本当に年金もらえるの? AIに仕事を奪われる…! 将来の不安から副業をはじめる中高年男性が増えているのだ。 おじさんたちはどんな副業をしているのか、どれくらい稼いでいるのか、あるいは全く稼げていないのか。組織をはみ出し、副業をはじめる全力おじさんの姿をより深くリポートする。(若月澪子:フリーライター) スポットワークは人手不足の見本市 人手不足が、日本のあらゆる職場でヒビ割れを起こしている。このスキマを埋めようと外国籍の人が投入されているが、まだまだ足りない。 今、人手が足りない職場は、アプリで「助っ人」を集めている。スポットワークである。 スポットワークとは、「タイミー」や「シェアフル」などのア
日銀の植田総裁は、11月30日に日本経済新聞の単独インタビューを受け、「データがオントラックに推移しているという意味では近づいていると言える」と利上げの可能性を示唆した。加えて、「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」とも以前から述べている。 異次元緩和を経て、日本経済はどこに向かっているのか。『異次元緩和の罪と罰』(講談社)を上梓したオフィス金融経済イニシアティブ代表で、元日銀理事の山本謙三氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) ──本書では、日銀の黒田前総裁が2013年4月から開始し、現在の植田総裁が今年3月に終了を発表した異次元緩和と、その影響について考察されています。 山本謙三氏(以下、山本):異次元緩和とは、日本銀行が非伝統的な手段を用いて巨額の資金供給を行うことです。正式名称は
韓国警察は、2019年に韓国の仮想通貨取引所でイーサリアム34万2000個を奪取した犯人が、北朝鮮軍偵察総局が関係するハッカー集団「ラザルス(Lazarus)」と「アンダリエル(Andarial)」であると発表した。ラザルスは世界各国の金融機関ハッキングを専門とするハッカー集団で、日本で発生した2018年のコインチェック・ハッキング事件や2024年5月のDMMビットコイン・ハッキング事件の背後にいるとして名指しされてきたグループでもある。 現在のレートで1600億円 2019年11月27日午後1時頃、韓国屈指のIT企業カカオグループのデュナム(Dunamu)が運営する仮想通貨取引所アップビットで突然サーバー点検のお知らせが出て、5時56分、次のような書き込みが掲載された。 「2019年11月27日午後1時06分、アップビットのイーサリアム・ホットウォレットからイーサリアム34万2000個が
(国際ジャーナリスト・木村正人) 「2035年までに排出量を1990年比で81%削減」の裏側 [ロンドン発]アゼルバイジャンの首都バクーでの国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で「2035年までに温室効果ガス排出量を1990年比で81%削減する」と気候変動対策の加速を表明したばかりのスターマー英政権が自動車工場閉鎖の激震に見舞われている。
明確な事業撤退方針で変革を遂げた日立、日本企業が陥る「最悪のパターン」との目に見えない決定的な違いとは 元ローランド・ベルガー会長、シナ・コーポレーション代表の遠藤功氏が語る日本企業に必要な新しい現場力(前編) 日本企業はかつて、数多くの独創的なイノベーションを生み出し、グローバル市場で圧倒的な存在感を放っていた。しかし、近年では競争力の低下が顕著となり、不正や不祥事、ハラスメントに関する報道も後を絶たない。その要因として「企業の現場力の低下が影響している」と指摘するのが、シナ・コーポレーション代表取締役の遠藤功氏だ。2024年7月に著書『新しい現場力:最強の現場力にアップデートする実践的方法論』(東洋経済新報社)を出版した同氏に、日本企業から失われつつある「現場力」と、その衰退原因について聞いた。(前編/全2回) 「現場力の劣化」が不正や不祥事を引き起こした ――著書『新しい現場力:最強
中国の中央軍事委員会政治工作部長の苗華が「重大な規律違反」のため、停職中であることが11月28日の国防部定例記者会見で明らかにされた。その前日、27日付のフィナンシャルタイムズによれば、苗華派閥に属する国防部長の董軍が汚職で取り調べ中である、という。董軍の取り調べ報道については、国防部報道官は「捏造報道だ」と強く否定していたが、いずれにしろ軍部で新たな粛清の大嵐が起きつつあることは間違いない。苗華は福建省第31集団軍出身で習近平とは福建省時代からの昵懇、腹心と言ってもいい人物。その苗華の失脚は何を意味するのだろうか。 (福島 香織:ジャーナリスト) フィナンシャルタイムズが報じたところによると、米国の現職、引退官僚筋の情報として、中国の国防部長、董軍が汚職容疑で取り調べを受けているらしい。具体的にどのような汚職かは不明だが、これが事実なら、中国の国防部長は、魏鳳和、李尚福に続いて、3人連続
共同通信社が日韓外交に多大な影響を及ぼす誤報を配信し、大問題になっている。2022年8月の終戦の日、自民党の生稲晃子参議院議員が実際には靖国神社を参拝していなかったにもかかわらず、「参拝した」と断定して報道した。当時は大きな問題にならなかったものの、生稲氏が外務政務官に就任した後の今年11月、世界文化遺産「佐渡島(さど)の金山」をめぐる式典に韓国側が欠席。「靖国を参拝した生稲氏の出席する式典に同席できない」などの理由だったとされ、問題が一気に拡大したのだ。 なぜ、このとんでもない誤報が起きたのか。JBpress編集部が入手した共同通信社が加盟各社宛に出した謝罪・経緯説明の文書を見ていくと、穴だらけの取材過程が浮き彫りになった。 >>共同通信社が加盟各社宛に出した文書 日韓融和のイベントが一転 問題の発端となったのは、この11月24日に開かれた世界文化遺産「佐渡島(さど)の金山」の労働者追悼
なぜ日本のメーカーはイノベーションが苦手なのか? マネジメント、ビジネスモデル、組織構造、企業文化、人材教育などをどう変えれば克服できるのか? 三菱自動車で世界初の量産型電気自動車「i-MiEV」(アイ・ミーブ)の開発責任者などを歴任したe-mobilityコンサルタント・和田憲一郎氏が、世界で進むEVシフトや時代の変化に適応するためのマネジメント法など、「新時代のモビリティ」について複眼思考で解説する。 第2回は、「e-Axle」「ギガプレス」など革新的技術を海外メーカーのように次々と開発することができない、日本の自動車産業が抱える課題について考える。 海外の後塵を拝する日本の自動車産業が抱える問題点 自動車の開発、とくに電気自動車の世界で近年トレンドになった革新的技術がある。「e-Axle」(イーアクスル:電動アクスル)と「ギガプレス」(ギガキャスト、Giga Castingともいう)
(黒木 亮:作家) 三菱UFJ銀行の練馬支店と玉川支店に勤務していた行員が、支店の貸金庫から顧客の金品十数億円を盗み取っていた事件が発覚した。銀行の貸金庫というのは、ある意味で最も信頼性の高い施設だと考えられているので、衝撃的である。この行員に関しては「店頭業務の責任者」だったと報道されているので、支店長代理の上の営業課長であろう。 筆者は大学卒業後、大手都市銀行に14年間勤務したが、同行は2000年代初めに竹中平蔵金融担当大臣に睨まれ、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に実質的に吸収合併された。自分自身の経験から、銀行員の不祥事で表沙汰になるものは、氷山の一角でしかない(報道されない金銭がらみの不祥事はメガバンク一行あたり年に少なくとも50件程度はあるはず)と感じている。 不祥事が起きる原因は、酒、女(男性行員の場合)、ギャンブルである。これは世間の他の業種とまったく変わらない。むしろスト
今年2月、福岡県の食品製造会社で働いていたベトナム国籍の技能実習生、グエン・テイ・グエットさん(20歳)が、死産した男児の遺体を交際相手の家のゴミ箱に遺棄したとして逮捕された。グエットさんと恋人の男性は、技能実習生や受け入れ先の企業を管理する監理団体から「妊娠したら帰国させる」と繰り返し言われていたと裁判で証言した。 グエットさんは妊娠を隠しながら働き続け、ある朝、腹痛に耐えかねて早退し、恋人の男性の家のトイレで男児を死産した。恋人の男性は帰宅後に血まみれで床に横たわるグエットさんを発見して病院に運んだ。その後、技能実習生を支援する組合の職員と警察官が病院を訪れ、事件が発覚した。グエットさんの無罪を求め、既に1万4000人を超える署名が集まっている。 実は、このような事件が発生したのは今回が初めてのことではない。なぜ技能実習生は妊娠を隠すのか。『妊娠したら、さようなら 女性差別大国ニッポン
全国知事会議終了後、報道陣の取材に応じる兵庫県の斎藤元彦知事(中央)=11月25日午後、東京都内(写真:共同通信社) 拡大画像表示 衝撃の選挙結果からおよそ10日が過ぎた。そして選挙結果が確定してからも、選挙運動のあり方などについてさまざまな問題が提起されている今回の兵庫知事選挙だが、猛烈な逆風の中、斎藤元彦氏が一気に有権者の支持を取り付け、当選をもぎ取った手法は改めて評価すべきだろう。斎藤陣営はどのようにして有権者の心をつかんだのか。今回の知事選でも世論調査を実施したJX通信の米重克洋代表に選挙戦の分析を聞いた。(聞き手:JBpress編集部) 「斎藤元彦」より検索数で上回った「立花孝志」 ――公示直後の時点では、斎藤元彦さんには厳しい予想が出ていました。しかし選挙期間に突入すると、あっという間に多くの支持を得て当選しました。その裏にはネットの力があったと言われていますが、そこはどう分析
TBSの人気番組「世界遺産」の放送開始時よりディレクターとして、2005年からはプロデューサーとして、20年以上制作に携わった髙城千昭氏。世界遺産を知り尽くした著者ならではの世界遺産の読み解きと、意外と知られていない見どころをお届けします。 文=髙城千昭 取材協力=春燈社(小西眞由美) 水田の中に築かれた望楼群 20世紀初め、大西洋を3週間もの船旅で越えた異国人たちを、ニューヨーク湾の入口で出迎えたのが「自由の女神像」です。アメリカ独立100周年を祝ってフランスから贈られたプレゼントで、正式名は「世界を照らす自由」。1886年に完成し、今では移民の国アメリカの象徴として世界遺産になっています。来年1月、大統領に返り咲くトランプ氏の祖父はドイツ、母はスコットランドから渡ってきました。 こうした移民たちが、夢と憧れをいだいて見上げたのが、自由の女神だけでなくニューヨークの摩天楼だったのかも知れ
(柳原 三佳・ノンフィクション作家) 11月11日、第215特別国会が召集され、国会議事堂には先の衆議院選挙で当選した議員たちが、午前8時の開門を待って次々と登院しました。今回は3年前の選挙より2名多い99名の新人が当選。その中に、4回目の挑戦で初当選した眞野哲氏(63/立憲民主党)の姿がありました。 10月28日未明、比例代表(東海ブロック)で当選を確実にした直後、眞野さんは電話でこう語りました。 「うどん屋の息子だった私には地盤も何もなく、国政への挑戦は無謀ともいえるものでした。でも、この12年間、あきらめないで本当によかったと思っています。国会議員になったからには、目標のひとつである被害者庁の発足に向け、できる限りのことをしていきます」 13年前、ハロウィンの夜に起こったあの痛ましい出来事……、理不尽な司法の判断に打ちのめされながらも、制度の改正を訴え続けてきた眞野さんの闘いを間近で
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者) なんとも後味が悪いのは…… 名将野村克也監督によって広く知られるようになった「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とは、かつての平戸藩主松浦静山の言葉だが、兵庫県知事選挙の結果には多くの人たちが得も言われぬ、なんとも言えず後味の悪い感想を持っているようだ。 当然のことであろう。ただでさえ地方議会の不信任決議は、衆議院51人以上で提起でき出席議員の過半数で成立する内閣不信任決議と比べても、議員の3分の2以上の出席が求められ4分の3以上の賛成で成立するという条件のため、よりハードルが高いものとなっている。 地方議会は国政と異なり、首長も議員も直接に有権者の投票で選ばれる二元代表であることがその背景にあると考えられる。 その不信任決議が全会一致で採択されたことを契機に議会の解散ではなく、失職を選んだ知事が再び選ばれたのだから困惑して
アメリカ大統領に返り咲くトランプ氏は「言論・表現の自由を守る」と宣言している。具体的には、「偽情報や誤情報を選定する学術団体やNPOに対しての補助金を停止する」という。この姿勢に共感しているのが実業家のイーロン・マスク氏だ。同氏は旧Twitter社(現X社)を買収後、偽情報などを監視する役割を担っていた人員を解雇した。マスク氏に対しては偽情報やヘイトを拡散させているとの批判も多い。「テクノ・リバタリアン」の著者、橘玲氏に、ネット上の言論空間は今後どうなるのかを聞いた。 (湯浅大輝:フリージャーナリスト) 【作家・橘玲氏が読み解く米大統領選(1)】 トランプを勝たせた有色人種の「白人化」とZ世代の右傾化、多様性や環境という「リベラルの物語」は崩壊した イーロン・マスクがTwitterを買収したワケ ──トランプ氏の勝利に大きく貢献したのがイーロン・マスク氏です。マスク氏は「(合衆国憲法修正第
共和党のトランプ氏がアメリカの次期大統領に就任する。著書『テクノ・リバタリアン』などで米国社会を鋭く分析してきた作家の橘玲氏は、トランプ勝利には「18〜29歳の若者と黒人やヒスパニックなど有色人種の支持」が大きな原動力となったと分析する。民主党のハリス氏が訴えた「政治的正しさ」のナラティブ(物語)は、もはや米国のZ世代にもマイノリティにも刺さらなくなったと指摘する。 (湯浅大輝:フリージャーナリスト) 【作家・橘玲氏が読み解く米大統領選(2)】 トランプとマスクが掲げる「言論の自由」にも一理ある、SNSが抱えるジレンマに民主主義社会はどう向き合うか 左派のナラティブが崩壊した ──米大統領選はトランプ氏の圧勝でした。上下院も共和党が制して、もはやトランプ氏は怖いものなしの状況です。大手メディアを含め、事前予想では接戦ではあれほどハリス優勢との見方も根強かったわけですが、事前の予想を覆して、
「放送法を見直すべきだ」という声が根強いようだが、筆者の考えでは放送法、おそらくは政治的公平性を定めた第4条の見直し(削除)は却って悪手だ。 (国内放送等の放送番組の編集等) 第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。 二 政治的に公平であること。 三 報道は事実をまげないですること。 四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。(放送法第4条より引用) アメリカは1987年に日本の放送法第4条と似た公正原則を撤廃した。現在のようなそれぞれ党派性を強く帯び、相互参照されることの少ないメディア状況になってしまった。同じ途を歩んでしまいかねない。 むしろ運用の改善、とくに報道表現の試行錯誤と創意工夫活発化と公
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