2025-12-11

DDR5が「異常な価格急騰」を起こした理由

――AIバブル供給構造ねじれが生んだ新レンジ

2025年に入ってからのDDR5価格は、これまでのメモリ市況の常識を明らかに外れた動きをしている。

数ヶ月で2〜4倍という急騰は、ただの“市況の山”では説明しきれない。

この記事では、その原因を整理しつつ、今後数年の見通しをわかりやすくまとめる。

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## ■なぜDDR5は“異常な”価格になったのか

端的にいえば、

> **AIデータセンター向けの需要が爆増した一方で、

> メーカー側はDDR5の供給積極的に増やさなかった。**

その結果、一般向けPC自作市場に回ってくる在庫が極端に薄くなり、価格が跳ね上がった。

背景をもう少し分解するとこうなる。

### ●AI向けのメモリ需要がケタ違いになった

大規模言語モデルを回すサーバー群は、とにかくメモリを消費する。

GPUに直接載るHBMだけでなく、周辺のDDR5(RDIMM)も大量に使う。

メーカーにとってAI向けメモリ利益率が高く、

必然的に **「まずAI向けにラインを回す」** 動きになる。

### ●普通のDDR5に回す余力が実質的に不足

2023〜24年のDRAM不況で各社は減産しており、

そこに突然AI特需が来たので、供給能力はすぐには戻せない。

工場を建ててもフル稼働には数年かかる。

### ●メーカー自体が“高値を許容する戦略”を取った

実際、2024後半〜2025にかけて、

サムスンを含む主要メーカーが **契約価格を大幅に値上げ** している。

スポット価格短期間で数倍に跳ねた。

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## ■どうしてここまで「バブル的」になったのか

供給不足の上に、以下が乗った。

### ●「買えるときに買う」パニック需要

OEM流通自作勢まで

「上がる前に押さえろ」** モードになって在庫を抱え始めた。

これがさら市場を締め付け、

スポット雪だるま式に上昇した。

### ●コンシューマけが後回し

Micron2026年までにCrucialブランドを整理して

コンシューマ向けからAI寄りへ”と舵を切るなど、

一般向けDDR5は事業上の優先度が低い。

結果、

一般ユーザーが最も影響を受ける形になった。**

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## ■転換点はどこだったのか

2025年の秋ごろ、状況が“普通の値上がり”から“別次元”に変わった。

DDR5チップ単価が **数ヶ月で約4倍**

スポット価格は **+300%オーバー** という異常値

メーカー側が「まだ値上げする」と公然と言い始めた

このあたりで、市場が“新しい価格帯へジャンプ”したとみていい。

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## ■今後どうなるのか(2026〜2028

ここが一番気になるところだろう。

### ●2026年いっぱい:高値のまま

AI向けの需要が落ち着く気配がなく、

工場の立ち上がりもまだ先。

大手調査会社見立てもほぼ一致しており、

2026年中に安くなる可能性はかなり低い。**

### ●2027〜28年:供給増強が追いつき始める

ラインが本格稼働すると、

需要供給バランスが初めて正常化する。

メモリ業界は“過剰投資 → 過剰供給”の周期があるため、

数年後には再び値崩れのフェーズに入る可能性が高い。

ただし完全に昔の安値に戻るかは別問題で、

AI需要を前提とした“1段高い価格レンジ”が残る可能性は高い。**

### ●DDR6世代では構造固定化する

AI向けの最上メモリを中心に据え、

一般向けはその下位という

階層構造が今後のスタンダードになる** だろう。

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## ■まとめ

DDR5高騰の主因は **AI需要による構造的な供給不足**

メーカーAIを優先、一般向けは後回し

2025年後半〜2026年にかけて **価格は高止まりが続く**

2027〜28年にようやく落ち着く可能

ただし、旧来の“激安メモリ時代”には戻らないかもしれない

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