パニハイを酒を飲みながら楽しむゲームであると評されるかたがいて、うむ、確かにある一面ではその通りであるなぁと思うわけですよ。
4種類ある「策謀カード」のうち3種類は、任意のプレイヤーの手札を1~2枚減らすというもので、全100枚のうち16枚もあるんですね。枚数といい効果といい、カードゲームによるあるようなちょっとしたアクセントとしての手札破壊・嫌がらせというのレベルではありません。まさにガチ妨害なんです。
そのため、未経験者・初心者同士のプレイでは、互いに策謀カードを送りあう光景がよく見られます。また、特定の一人に対して策謀カードが連続的に送りつけられ、その人が手札0枚になることもよくあります。このとき、手札0枚になった人以外は盛り上がります。「すまないなのび太、このゲームは5人用なんだ」「ドラえも~ん、ジャイアンたちが何もさせてくれないよ~!」みたいな感じでネタトークもかわされることでしょう。酒や笑いと相性いいですよ、たしかに。パニハイにはパーティゲームとの側面があるのも事実です。
ただ、それだけをやっていると、単に範囲の狭いやりあいになったりいじめもどきになるんですね。パニハイの面白さが味わえているとは言えないんです。特定の人物同士でやりあっているだけだと、「その瞬間で真に狙うべき相手が得をしている」ことになることが実に多い。そのため、本来であれば狙うべき相手がゲームに勝利しようものなら、「なんだ、ケンカしてる間に終わっちゃった」「楽しいけど、勝敗にからめないなぁ」みたいな感想になってしまうことでしょう。過去20年間でパニハイをいろいろな人とやってきたり見てきたりしましたが、プレイ後に「いまいち…」という顔をしている人は、だいたい勝負にからむことなくゲームを終えてしまっています。そして、そういう人はもうあんまりパニハイを付き合ってくれない。
もったいないんですわぁ。パニハイの本当に面白い部分を味わう前にやめちゃってる。そういうのも時にはいいんですけど、もっとシビアに読みあいができると面白さが跳ね上がるんです。その最たるものがトーナメント形式での戦いなんです。
トーナメントでは3卓にわかれて、5~6人で3回戦を行います。で、3回戦の合計得点(場所カード1枚=1点)が最も高い人2名が決勝トーナメントに進みます。ボードゲームやカードゲームではありがちな形式ですが、このトーナメントをやると、、「得点の高い人=決勝へ進めそうな人」に対して集中して策謀カードやわいろが飛びかい、手札も場所カードも0にさせられるんですね。まさに再起不能になるんですが、つまるところ、パニハイの相手を直接攻撃する要素がめっちゃ生きてくるんです。
場所カードを1枚取る・取られるというところに、ものすごく神経を使うようになる。リードすれば集中砲火が待っているからです。また、策謀カードの使う相手をものすごく考えるようになり、無駄打ちをしないようにもなる。悪い奴ほどよく眠るではありませんが、気配を殺している相手や、こっそり戦力をためている相手を見抜くことができるようになってくる。策謀カードの使いかた――誰を攻撃するかによって、ゲームの質が変わる。あんなにワイワイ楽しくやっていたゲームが、緊迫感あふれるゲームになるんですね。
もともとガッチガチのウォーシミュレーション好きのかたが、そのルールを簡略化して作ったであろうゲームですからね。トーナメントをするまでもなく、自分の手札を捨てられようが無視して勝利につながるプレイングをする…パーティゲーム的な要素を「勝ち抜くために仕掛ける」ように変換すれば、ぐぐぐっとゲームの面白さが増してきます。逆から言えば、「勝ち抜くために仕掛けさせない」テクニックも向上しますから、虚々実々、丁々発止のやりとりが楽しめるようになってくるんです。
酒を飲みながら楽しむゲームから、ちょっとだけ殺伐としたウォーシミュレーションの世界へ足を踏み入れてみてください。20年は余裕で楽しめまっせ!
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