音の大きさ
音の感覚に関する性質のひとつで、音の物理的な強さに対する聴感覚である。音の大きさは主として刺激の音圧に依存するが、周波数、波形、継続時間にも依存する。基準の音に対して何倍の大きさに聞こえるか、という主観的な尺度としてつくられたリニアな尺度でソン(sone)という単位が用いられる。音圧レベル40dB、1000Hzの純音を1ソンとし、正常な聴力をもつ人がそのn倍と判断する音の大きさをnソンと定義している。
参照 音圧レベル、周波数分析音の大きさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/04 08:16 UTC 版)
音の大きさ(ラウドネス、英: loudness)はヒトの聴覚が感じる音の大小を示す心理量である[1]。
解説
空気中の音圧の変化が耳に達すると、音がするという感覚が得られる。耳では音圧の振幅の大小により基底膜の振幅が定まり、それに応じた数のインパルスをコルチ器官が発して大脳へ伝えることで、知覚される音の大きさの大小が定まる。一方で、基底膜の振動部位は音の周波数によって異なるため、音の大きさは周波数によっても左右される[2]。
こうした音の知覚的な大きさを表す音の大きさ(ラウドネス)は、感覚量であり、物理的に直接測定することはできないが、基本的には音のエネルギーと対応しており、音の強さが増せば音は大きく感じられる。音の大きさは、音の強さのほかに音の時間構造、また後述のとおり周波数スペクトル構成にも依存する[3][4]。
同じ周波数の音であれば音圧が増大するほどヒトは音を大きく感じる。しかしヒトの聴覚の感度は周波数によって異なるため、同じ音圧であっても周波数が異なればヒトの感じる音の大きさは異なる。音の大きさが一定となる純音の音圧レベルを結んで得られる周波数と音圧レベルの関係を図示したものが等ラウドネス曲線である。
推定
ラウドネスは心理量であるため、本来的には個々人が感じた「音量」を調査することでしか記録できない。一方、ラウドネスは物理量である音圧と強い関係性があることから、音量測定・操作においては、心理量であるラウドネスを補正した音圧により表した尺度が用いられている(騒音レベル(A特性音圧レベル)、Moore-Glasberg法[5]など)。
ラウドネスレベル
ラウドネスレベル (あるいは音の大きさのレベル 英: loudness level)は、ある音の大きさについて、同じ大きさ(ラウドネス)に聞こえる周波数1,000ヘルツ[Hz]の純音の音圧レベル(単位:デシベル[dB])の数値で表したものである。単位はフォン[phon][6]。
同じ音圧の音であっても周波数が異なれば、その音の大きさ(音の知覚的な大きさを表す感覚量)は、必ずしも同じではなく[7]、 概して、低い周波数領域では、最も感度の良い1 - 5 kHz付近に比べて、相対的に高い音圧レベルでないと同じ大きさに聞こえない[8]。
この周波数による音の大きさの違いについて、同じ大きさに聞こえる周波数の純音の音圧レベルを線で示したものが等ラウドネス曲線である[7]。等ラウドネス曲線の測定は古くから測定が繰り返されており、フレッチャー=マンソンによるものが著名であるが、近年では、鈴木と竹島によるものがISO 226:2003として規格化されている[7][8]。
この曲線において、周波数1000ヘルツ[Hz]の純音のラウドネスレベル(フォン[phon])の値は、その音圧レベル(単位:デシベル[dB])の値に等しく、これ以外の周波数では、同じラウドネスに聞こえる1000ヘルツの純音の音圧レベルに等しい[6]。したがって、同じフォン値のラウドネスレベルの音は(個人差等もあるがほぼ)同じ大きさに聞こえる。
ラウドネスレベルは、聴覚の特性に合わせて音圧レベルを周波数補正し標準化した物理量である[9]といえるが、 等ラウドネス曲線が等間隔でないため、同じ周波数で音圧レベルが1デシベル増えてもラウドネスレベルが1フォン増えるとは限らず、後述の騒音レベルとは異なり、ラウドネスレベルのフォン値のみが判明している2つの音について、それらの音を合成したラウドネスレベルの値を算定することはできない。
算定ラウドネスレベル
同じ音圧であっても、純音のラウドネスがその周波数によって変わる事実に基づき、等ラウドネス曲線などにより音声信号からラウドネスレベルを計算することができる。このように計算によって求めたラウドネスレベルをJISでは算定ラウドネスレベルといい、単位は同じくフォン (phon)である。計算方法はISO 532に示されている[10][11]。
周波数によらずラウドネスレベルが等しければラウドネスも近似的に等しい[12]。例えば さまざまな周波数により構成される音の大きさの評価について、周波数による感覚的な音の大きさの違いを踏まえて、周波数による聴感補正を行った音圧を用いる。通常用いられるサウンドレベルメータ(騒音計)には、このような周波数による聴感補正を行う周波数補正回路が、音の大きさのレベルを近似的に測定する目的で挿入されている[19]。 騒音の測定に用いる聴感補正は、A特性によるものが一般的である。A特性は、フレッチャー=マンソンの40 phonにおける等ラウドネスレベル曲線を逆にしたものに近似される。このA特性により周波数重みづけを行った音圧pAを用いて算定した音圧レベル(A特性音圧レベル)LAを、騒音レベルといい、騒音の大きさの評価に用いられる[20]。 音響機器・オーディオソフトウェアが発する音声信号の音量調整/volume control(音量正規化)にラウドネスは用いられる。 異なる2つの楽曲の音量について、最大振幅において出力される音圧のパワーレベルが同じになるように制御しても、ラウドネスは音圧のみによらず周波数成分などにも左右されるため、それぞれの楽曲のピークレベルの音に対して聞き手が感じる音の大きさ(ラウドネス)が一致しない場合がある。聞き手のラウドネスを一致させたいのであれば、機材側での音量調整段階でラウドネスを揃えればよい。すなわちラウドネスレベル等の聴感補正が行われた値を用いて、複数の音声信号間でラウドネスを均一化することをラウドネス正規化という。
平坦特性をZ特性といい、A,C特性は等ラウドネス曲線のそれぞれ60,100 phonに近似した重みづけである。その中間のB特性と、航空機騒音評価のために提案されたD特性は音源の改善により用いられなくなった[18]。利用
音量調整
脚注
出典
参考文献
関連項目
「音の大きさ」の例文・使い方・用例・文例
- 音の大きさのページへのリンク