県民性
県民性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/19 03:38 UTC 版)
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県民性(けんみんせい)とは、日本の各都道府県に所属する人々の地域ごとの特色である[1]。「都道府県民性」の略称であり、特定の県に限らず全ての都道府県について言及される。県民性には、考え方や気質だけでなく、風土や食文化の傾向、住宅や自動車などの購買金額の差、預貯金の金額の差などの要素が含まれる。要素ごとに、それがはっきりと現れる県と、漠然としてあまり明確には現れない県がある[2]。地域ごとの気質や文化の違いは古くから人々の関心を集め、調査の対象とされてきた(調査の節を参照)。
県民性を作り出す原因
各県ごとに歴史背景は大きく異なるが、県民性を作り出しているものとしては歴史や風土が挙げられる[2]。あるいはもっと具体的に、地形や気候、人口、産業といったものを原因として挙げる人もいる。地域ごとに流布状況の異なる宗派(宗教)の影響も挙げられる[3]。
表現の変遷
そもそも「県民性」というのは比較的新しい言葉である。もともとは「お
調査
戦国時代に成立したとされる『人国記』[注釈 1]は、当時の各地の風俗・気質の違いを律令制に基づく国ごとに記している。武田信玄はその内容を参考にして戦いを有利に進めていたともいわれている。江戸時代初期には、この『人国記』の改訂版『新人国記』も書かれた[5]。
近年では、日本放送協会による調査などが行われている。また、県別の統計データを集めたデータブック集なども複数出版されており、ビジネスマンたちはそれを活用して、ある商品が売れやすい県、売れにくい県などを考慮しつつ、県ごとの出店計画立案などに役立てている。
県民性とされる具体的な例
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(ステレオタイプ的なものや既に過去のものとなったもの、県内の一部にしか該当しないものが含まれる)
- 北海道 - 3日住めば道産子[6]
- 青森県 - 津軽のじょっぱり(強情張り)[7][8]。
- 秋田県 - 秋田美人[9]。えふりこき(見栄っ張り)。
- 山形県 - 泥棒も山形では落ち着いて暮らせる(人情が深く、人を疑わないお人好しの意)。
- 宮城県 - 伊達者[8]。
- 福島県 - 会津っぽ(会津地方)。
- 茨城県 - 水戸っぽ。水戸の三ぽい(怒りっぽい・理屈っぽい・骨っぽい)。茨城の三ぽい(怒りっぽい・忘れっぽい・飽きっぽい)[8]。
- 群馬県 - カカア天下。「上毛かるた」を暗誦できる。
- 東京都 - 江戸っ子。江戸の飲み倒れ(酔い倒れ)。江戸の買い倒れ。宵越しの銭は持たない。
- 神奈川県 - ハマッ子(横浜)、スカッ子(横須賀)、湘南ボーイ(逗子、鎌倉、藤沢、茅ヶ崎)。
- 新潟県 - 男と杉は育たない(新潟市)。
- 富山県 - 越中強盗。売薬。
- 石川県 - 加賀乞食。能登はやさしや土までも[10]。
- 福井県 - 越前詐欺。
- 長野県 - コタツ文化(理屈っぽく議論好き)[8]。教育県。県歌「信濃の国」を歌える。
- 山梨県 - 甲州商人。めちゃかもん(忍耐強く金に細かい)[8]。
- 静岡県 - 伊豆乞食・駿河詐欺・遠州強盗(金銭に窮した時の行動例。飲食に窮した場合には、伊豆餓死・駿河乞食・遠州強盗となる)。 浜松市など西部(遠江)は「やらまいか」(チャレンジ精神が旺盛)。
- 愛知県 - 名古屋の貯め倒れ。偉大なる田舎。
- 岐阜県 - 美濃地方南西部の輪中根性。
- 三重県 - 伊勢商人、伊勢乞食。
- 滋賀県 - 近江泥棒。琵琶湖の鮎は外に出て大きくなる。
- 京都府 - いけず(意地悪)[8]。京のぶぶ漬け。京の着倒れ。面錦に裏木綿。
- 奈良県 - 奈良の寝倒れ[8]。奈良の建て倒れ。大仏商法(進んで集客をしない消極的商法をいう語)[8]。
- 大阪府 - 大阪の食い倒れ。堺の建て倒れ。現実主義。
- 兵庫県 - 神戸の履き倒れ。淡路島の瀬戸内海側から日本海側まで、各地域で異なる風俗習慣を持ち、兵庫県民としての連帯感が無い。
- 広島県 - あの世へ行けば"すべてチャラ"発想の楽観主義者が多い[11]。熱しやすく冷めやすい[8][11]。新しいことへのチャレンジ精神やフロンティア精神にあふれる[12]。広島独特のルールが横行し、閉鎖的[11]。
- 山口県 - 長州の小提灯。内閣総理大臣輩出日本一(9人)。
- 香川県 - 讃岐のへらこい(抜け目がない)[8]。讃岐の賭け倒れ。
- 愛媛県 - 伊予の建て倒れ。
- 高知県 - いごっそう(男性)[8]、はちきん(女性)。
- 福岡県 - おおまん(博多・大ざっぱの意)。博多美人(筑前)。筑豊の川筋者。目立ちたがりな筑前、保守的な豊前、粘り強い筑後[13]。
- 佐賀県 - 佐賀のふうけもん(いひゅうもん)[8]。佐賀人が通ったあとはペンペン草も生えない。
- 長崎県 - 横道者(おうどうもん)。和華蘭(わからん)文化。
- 熊本県 - 肥後の議論倒れ[8]。肥後もっこす(頑固)[8]、わさもん(新し物好き)。肥後の中将
- 大分県 - 赤猫根性(がめつく、利己的で協調性に乏しい)[8]。
- 宮崎県 - いもがらぼくと、日向かぼちゃ。日向時間(時間にルーズ)。
- 鹿児島県 - ぼっけもん。薩摩隼人。薩摩おごじょ。薩摩飛脚(薩摩に行った飛脚は帰ってこない、それほど閉鎖的という意)。
- 沖縄県 - ウチナータイム(時間にルーズ)。チャンプルー文化。テーゲー主義。
留意点
文化人類学者の祖父江孝男は、「個人差の存在を忘れて、県民性を結論付けするとしたら、人種偏見の場合と同じ危険を犯すことになってしまう。しかし現実には、このような結論に飛びつく場合が多いと思う。滋賀県や大阪府の県民性に関するイメージは、近江商人や大阪商人に関する固定観念(ステレオタイプ)から生み出された部分が大きいので、平均的な県民性を考える場合には、よほど慎重にする必要がある。」との指摘を行なっている[14]。
統計学によるデータとは、県民性に関する説明に限らず、数字のままで表現されているうち(~県人の~%は....である)は正確である。だが、それを統計も知らない人に説明するために平易な言葉に置き換えて、「~県人は~の傾向がある」などと表現しはじめた段階から、(統計を知らない)受け手の側の一部に誤解が生じ始める。統計というものの性質を理解せず、「-県人の全員がその性質を持っている」と思い込む人がいるためである[15]。
時間とともに県民の性質が変化し、イメージが実態と乖離してしまうことがある。すなわち、ある段階では実像であったものが、時代の変化と伴に「虚像」になってしまっている[16]。例えば江戸っ子気質というものは、かつては確かにあったが、昭和30年代から40年代にかけて、地方から東京都への著しい人口流入、地価高騰による人々の周辺地域への移動で、東京に代々住み続けている「江戸っ子気質」は殆ど見られなくなった。
人の性質の変化する境界線が、必ずしも現在の県の区切りではなくて、もっと細分化された地域区分であることがあり、現在の県ごとに統計をとると数字でははっきりと現れず、歴史を考慮して地域を限定するとはっきりと現れることがある。例えば、滋賀県という単位で統計をとっても「近江商人」の性質は統計上はっきりとは現れないが、歴史的に近江商人が住んでいた地域に限定して(たとえば彦根市で)統計をとると「堅実」「勤勉、倹約」といったことを重んじる「近江商人」の態度が、全国でも最高ランクで、統計的にはっきりと現れる[17]。
そもそも、百数十年の歴史しか持たない都道府県が、千数百年の歴史を持つ令制国や郡を超越した風土を形成する括りとなるに至ったのかという大前提となる問題がある。前節の通り、「お国柄」を言い換えているに過ぎなかったり、国や郡の他にも多種多様に存在する地域性を無理やり府県という括りに当てはめたものが非常に多い。例えば、兵庫県は旧国で区分すれば摂津・但馬・丹波・播磨・淡路の5国となり(厳密には備前・美作も含まれる)、旧藩で区分すればもっと多くなる。また、筑前・筑後・豊前の3国に分かれている福岡県なども同様である。
脚注
注釈
出典
- ^ 『県民性』 - コトバンク
- ^ a b 祖父江、p.14
- ^ 祖父江、p.19
- ^ 広辞苑より[要ページ番号]。「他人に親切なお国柄」などという用法も掲載されている。
- ^ 注 - 現代でも『人国記』にちなんで、県民性を扱ったコンテンツで「人国記」という言葉を用いることがある(例:鉄矢のにっぽん人国記)
- ^ 3日住めば皆道産子!北海道の田舎暮らし
- ^ じょっぱりとは(コトバンク) 2011年7月4日閲覧
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “着想のヒント、差し上げます(3):47都道府県の基礎知識”. 公募ガイド (2023年12月18日). 2024年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月17日閲覧。
- ^ akita-train
- ^ ““能登はやさしや 土までも””. 日本放送協会 (2024年2月7日). 2024年3月26日閲覧。
- ^ a b c “広島県民――あの世へ行けば“すべてチャラ”発想の陽気なラテン気質”. PRESIDENT Online. プレジデント社 (2013年5月15日). 2024年5月17日閲覧。広島県の県民性と,それが何に起因するかを知りたい。 – レファレンス協同データベース伊藤佳代子他. “「47の県民性プロポーズ」第7話 “広島男子”は仲間のエールを受けながら……!?”. ゼクシィ. リクルートホールディングス. 2024年5月17日閲覧。 “Q.4 他都市と比べて広島の良い点、悪い点をあげてください。”. E–タウンデータ. 中国放送 (2000年). 2024年5月17日閲覧。コラム・取材記事 サッカー スポーツ熱に溢れた広島に、サッカー文化を根付かせたい – スポーツアクティベーションひろしま
- ^ 『ひろしま未来チャレンジビジョン 改定版』 第1章 総論 (PDF) 広島県庁 2015年10月 p.11,大竹美喜 (2013–04). “広島県 地域未来構想 政治経済に今も息づく開拓精神”. 「月刊事業構想」オンライン. 2024年5月17日閲覧。
- ^ 究極の県民性|福岡|Actiz(アクティズ)
- ^ 祖父江『県民・日本人気質』河出書房新書編集・発行(木津川計『含羞都市へ』p.61~62より)
- ^ 門倉貴史『統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?』光文社〈光文社新書〉、2006年。ISBN 4-334-03375-X
- ^ 祖父江、p.p.16-17
- ^ 祖父江、p.175
参考文献
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。 |
- 祖父江孝男『県民性の人間学 - 出身県でわかる人柄の本』新潮社〈新潮OH!文庫〉、2000年。ISBN 4102900586。
- NHK放送文化研究所『現代の県民気質 - 全国県民意識調査』NHK出版、1997年。ISBN 978-4140092798。
- 祖父江孝男『出身県でわかる人柄の本〔日本人の常識〕』同文書院、1993年。ISBN 4810371484。
関連項目
外部リンク
県民性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 21:20 UTC 版)
貯蓄率は高く、「越中の一つ残し」と言われるほどである。「自分の家を持って一人前」という風潮があり、持ち家率は全国最高である。さらに家のサイズ(延べ床面積)も全国一大きい。 子弟の教育にも熱心な傾向があり、全国学力調査など教育関係の統計で、上位に位置することが多い。 大家族傾向があるため、世帯収入が全国最高水準である。逆に生活保護家庭の割合は極端に低く、全国ワーストである。 乳幼児を祖父母等に預けることが比較的容易なこともあって、共働き率が全国最高水準である。石川の「嫁は越中から貰え」という格言は、富山の女性は働き者とされるところからきている。コロッケの消費が多いのも共働きが多いからとされる。 「サラリーマン小説」を得意にした富山市出身の源氏鶏太は「富山県人である宿命」(『わが文壇的自叙伝』集英社)に同窓会に出てみんな泥くさいとし「私自身、極めて泥くさい人間であることを知っているし、それが富山県人の特性であると信じている。ただし、あえて弁解すれば、泥くさいということは、軽薄でないということだ」と書いている。 富山で過ごしたことがある宮本輝『天の夜曲 流転の海・第四部』には主人公の友人・久保敏松が富山人というのは、地味ではあっても、進取の気概を内に秘めていて、粘り強く自分の仕事に工夫を凝らすという特質を持っているような気がする、という。 この勤倹克己を地で行くような県民性は、安田財閥で安田講堂に名を残す安田善次郎や、浅野財閥の浅野総一郎、ホテルニューオータニの大谷米太郎のような経済的成功者を多く生み出してきた。 海産物を好む食文化を持っており、魚介類の消費額が全国一多い。特にコンブ、ブリ、イカの消費額が群を抜いて大きい。 北陸地方は一向一揆で知られる浄土真宗が盛んで、歴史的にも富山県民の価値観にも強い影響を与えてきた。たとえば堕胎・間引きを忌んだことから、江戸時代から人口増加率が特に高く、全国に移住者を出していた。関東での銭湯経営者に新潟県と共に富山県出身者が多い理由は、これは厳しい仕事だからとされる。北海道開拓においても、富山県出身者が有意に多く、北方領土からの引揚者も北海道に次ぎ2番目に多い。北陸銀行も北海道各地に支店が存在し、北海道銀行とほくほくフィナンシャルグループとして経営統合するに至った。 県内の広範囲から見られる立山連峰は、山岳信仰の舞台になっていて立山は富士山・白山と共に日本三霊山の一つである。 プロ野球の父と呼ばれる正力松太郎の出身地であることや、『読売新聞』の発行部数が多いことなどから読売ジャイアンツ(巨人)のファンと、『北陸中日新聞』の発行エリアであることから中部地方唯一のNPB所属球団である中日ドラゴンズのファンが多いと言われる。ちなみに、フジテレビアナウンサーの石本沙織は巨人ファン、千葉ロッテマリーンズの石川歩は中日ファン、元鹿島アントラーズの柳沢敦は阪神タイガースファンを公言している。これは、「富山県民は人と違うことをしたがらない」とされる県民性があるからである。 県民性に関する本の多くは浄土真宗信者の勤勉さと家族の絆、富山の売薬によるパイオニア精神などを通して、勤勉でありながら、結婚式などのライフイベントでお金を蕩尽する部分にフォーカスしている。NHKなどの県民調査では石川県とのライバル意識が強いとされる。
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