係る
「係る」とは、関係する・手にかかる・担当することを意味する表現である。
「係る」とは・「係る」の意味
「係る」とは、「関係する」「つながる」「手にかかる」「受け持つ」「担当する」ことを意味する表現である。「部の存続に係る事件」のように「関係する」という意味や、小学校での「保健係」「黒板係」のような「仕事を受け持つ」「担当する」という意味などがある。また、文法において「主語が述語に係る」「修飾語が被修飾語に係る」のように、文章の構造において係り受けという関係性を説明するときに用いる表現である。例えば「青い鳥」という言葉では、「青い」が「鳥」に係る、「鳥」は「青い」を受ける、という関係性になる。「かかる」には「係る」「掛かる」「懸かる」「架かる」「罹る」などの漢字があり、文脈により使い分ける。「係る」と「係わる」の違い
「係る」は「係わる」や「関わる」とも言い換えることができる。「関係する」という意味での「係る」は、特許や商法関連の資料、契約書などのビジネス文書、官公庁の公用文などでよく使われる固い表現で、口語にはあまり用いられない。日常語で「関係する」という意味では「関わる」を用いることが多く、表外読みである「係わる」は使用されにくい。
「係助詞」とは
「係助詞」とは、単語に助詞を付加することで強調や逆説などの意味を込め、文末も連動して定型の結び方になるという古文の表現である。主に「ぞ」「こそ」「なむ」などがある。「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」という古今和歌集収録の和歌では、「風の音にぞおどろかれぬる(風の音で秋の到来にはっと気づきました)」の「~ぞ~ぬる」という係り結びの形式を用いて、強意の効果を持たせている。また「やへむぐら繁れる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり」という拾遺和歌集収録の和歌では、「人こそ見えね(人は見あたらないけれども)」の「~こそ~ね」という係り結びの形式を用いて、逆説の意味を持たせている。
「係る」の読み方
「係る」は「関係する」という意味で「かかる」と読む。「係(かかわ)る」を「係る」と書いても誤りではないが、「係る」と区別しやすいように「係わる」、あるいはより一般的な「関わる」を用いることが多い。「係る」の熟語・言い回し
係る費用とは
係る費用とは、前に関係する項目を添えて「~に関係する費用」という意味で用いる表現である。公文書などで用いられる固い言い方である。
係る書類とは
係る書類とは、「~に関係する書類」という意味の固い表現である。「番号制度に係る税務署への申請書等の提出」のように使用する。
係る言葉とは
係る言葉とは、日本語の文法において係り受けの用法を説明するときに用いる表現である。係り受けでは主語と述語、修飾語と被修飾語の関係を説明しており、述語から見ると主語が「係る言葉」、被修飾語から見ると修飾語が「係る言葉」となる。
何々に係るとは
何々に係るとは、何かに関連している、または手にかかる、行為によることを示す表現である。「人命に係る仕事」だと「人命に関係する仕事」という意味になり、「巨匠に係る作品」では「巨匠の手で作られた作品」という意味になる。
主語に係るとは
主語に係るとは、文法における係り受けの関係性を説明する際に用いる表現である。例えば「赤い花が美しい」という文章では、「赤い」が主語の「花が」に係っている、という関係性になっている。
「係る」の使い方・例文
「関係する」という固い表現では、「駅前賑わい創出事業に係る企画競争の実施について」「当該当期控除額は、社会保険診療の所得以外に係る欠損金等であり」「社会保険関係法律等に係る医療費を被保険者に代わって都道府県が支払った金額」「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」「その延長に係る期間は、通じて8日をこえてはならない」のように用いることができる。「係り受け」の説明としては、「黄色い花という文において、黄色いという言葉が花という言葉に係る」のような使い方がある。
「手にかかる」「人の行為による」という意味では、「総て鉄にして正吉氏の作に係る」「政府の撰に係るものを定めて教科書となす」「ただしこれは5年前の作に係るものだ」「これはドイツではなくアメリカのメーカーの製造に係るものだ」という使い方がある。
係る
かか・る【掛(か)る/懸(か)る/係る】
読み方:かかる
[動ラ五(四)]
1
㋐上が固定された状態で、高い所からぶらさがる。上から下へさがる。「壁に絵が—・っている」「カーテンの—・っている部屋」
㋒目につくように高い所に掲げられる。「高札が—・る」「磔(はりつけ)に—・る」
2 (「繋る」とも書く)船が停泊する。係留される。「客船が桟橋に—・っている」
3
㋐火に当てるために容器が上からつるしさげられる。また、火の上に据え置かれる。「ガスに鍋が—・っている」
㋑《竿秤(さおばかり)にぶらさげて計量するところから》はかりに受けとめられる。…の目方がある。「重すぎてはかりに—・らない」「4キロ—・る(=目方がほぼ4キロある)」
4
㋐(「架かる」とも書く)物が一方から他方へまたぐように渡される。「橋が—・る」
㋑ひも・縄などが物のまわりにかけ渡される。「水引の—・った祝いの品」
㋒張り巡らすようにして作られる。一時的に設営される。「クモの巣が—・る」「小屋が—・る」
㋓《仮小屋を作って行われたところから》興行される。上演・上映される。「見世物が—・る」「評判の映画が—・っている」
5
㋐ほかのものの上にかぶさる。一面を覆う。「イチゴにミルクが—・っている」「霧が—・る」
㋑水や粉などが飛び散って当たる。ふりかかる。「しぶきが—・る」「ほこりが—・る」
6 仕掛けなどで捕らえる。また、捕らえられた状態で動きが止まる。「大きな魚が—・る」「網に—・った鳥」「凧(たこ)が木の枝に—・る」
7 仕組まれた謀(はかりごと)に陥る。はまる。「相手の罠(わな)に—・る」「計略に—・る」「暗示に—・る」
8
㋐(「…の手にかかる」の形で)傷つけられたり、殺されたりする。「敵の手に—・る」
㋑(「目にかかる」の形で)目にとまる。見られる。「勘当したからは二度と親の目に—・るな」「お目に—・る(=お会いする)」
9 偶然に物にさわる。「うっかり手が—・ってしまった」
㋐他から作用・動作が及ぶ。「技が—・る」「ちっとも誘いが—・らない」
㋑送られてきて、こちらに届く。「声が—・る」「電話が—・ってくる」
㋒付いている仕掛けが働いて、本体が動かないように固定される。「錠が—・る」
㋓装置が作動して機能を発揮しだす。「車のエンジンが—・らない」「ひと晩じゅうラジオが—・っている」
11 何かが心にしっかりと付いてその状態にとどまる。「気に—・る」「心に—・る日本の将来」
㋐望ましくないことがこちらの身に及んでくる。身にふりかかる。「迷惑が—・る」「疑いが—・る」
㋑負担すべきものとして押し付けられる。課せられる。「税金が—・る」
13 (「罹る」とも書く)病気や災難などを身に受ける。とりつかれる。「伝染病に—・る」
14 時間・費用・労力などが必要とされる。費やされる。要する。「手の—・る仕事」「完成に10年—・る」
16 攻撃的に挑む。攻めていく。「束になって—・る」「攻略に—・る」
㋐物事に着手する。しはじめる。「仕事に—・る」「取り壊しに—・る」
18 ある範囲・場所・期間にまで及ぶ。経過してきてその所・時間に至る。「鼻に—・った声」「急勾配に—・る」「工事が来春まで—・る」
19 重みなどがそちらに加え乗せられる。力などが向けられる。「体重が—・った姿勢」「揉(も)み消しの圧力が—・る」
㋐物心の両面にわたって頼みとする。他のものに頼る。養ってもらう。「老後は子供に—・る」
㋑処置・処理をまかせる。扱われる。「医者に—・る」「あの人に—・ってはかなわない」
21 議案などが公の場に持ち出されて取り扱われる。「案件が委員会に—・る」「裁判に—・る」
22 重大な結果が予想される。「優勝の—・った大一番」「懸賞が—・る」「この建物には保険が—・っている」
㋐(係る)物事がかかわる。重要なところに関係をもつ。「存否に—・る問題」
㋑その人によって作られる。その人の手になる。「空海大師の開基に—・る」
25 (係る)文章中のある語句の文法上の働きが、あとの他の語句と関係をもつ。修飾する。「『青い空』の『青い』は形容詞の連体形で、『空』に—・る」
26 多く、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えた形に付いて、初めからそのような状態で、またはそのように思い込んで、事に対する意を表す。「相手をのんで—・る」「だめだと決めて—・る」
「神有(ま)して、皇后に—・りて誨(をし)へまつりて曰く」〈仲哀紀〉
㋐今にも…しそうになる。また、ちょうど…する。…しはじめる。「溺(おぼ)れ—・る」「崩れ—・る」「通り—・る」「立ち—・る」
㋑ある動作を他に向ける。何かに向かって…する。「飛び—・る」「寄り—・る」
[補説] 「掛かる」以外の表記は、次の観点で使い分けることが多い。
懸かる…中空にある。また、重大な結果につながる。「空に月が懸かる」「優勝が懸かる」
係る…関係する。「人命に係る問題」
繋る…船をつなぐ。「船が桟橋に繋る」
架かる…一方から他方へわたす。「橋が架かる」
罹る…病気などにあう。「風邪に罹る」
[下接句] 息が掛かる・意地に掛かる・御座敷(おざしき)が掛かる・御目(おめ)に掛かる・嵩(かさ)に懸かる・肩に掛かる・気に掛かる・食って掛かる・口が掛かる・口に税は掛からぬ・口の端(は)に掛かる・声が掛かる・心に掛かる・手が掛かる・縄に掛かる・箸(はし)にも棒にも掛からない・人手に掛かる・褌(ふんどし)を締めてかかる・刃(やいば)に掛かる
「係る」の例文・使い方・用例・文例
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