五臓六腑とは？ わかりやすく解説

読み方：ごぞうろっぷ

五臓六腑とは、五臓六腑の意味

五臓六腑とは、中国から発祥した漢方医薬において人間の内臓全体を表現する用語で、五臓は「心臓」「肺臓」「肝臓」「腎臓」「脾臓」を、六腑は「胃」「小腸」「大腸」「膀胱」「胆嚢」「三焦」を示している。 「三焦」は中国漢方における独特の概念で、大まかに人体を3つの部位に区分した、上焦（みぞおちより上方）、中焦（上焦と下焦の中間）、下焦（へそより下の部位）を意味しており、特定の臓器や器官はない。なお、五臓六腑には「膵臓」が含まれないため、「三焦」を特定の臓器として考えるときは、膵臓に該当させるのが妥当であるとの考え方もある。

五臓六腑の語の由来・語源

漢方医薬では、五臓六腑を単に解剖学的な臓器や器官としてではなく、互いに関わりあって物質代謝や精神活動と関連した機能単位としてとらえている。各臓器と器官は相生・相剋関係があるため単独で異常になることは少なく、臓は「陰」、腑は「陽」の性質が、さらに「臓」と「腑」には裏と表の関係があり、片方が不調になると、もう片方に影響するとされる。そのため臓器や器官が病むと、複数の特徴のあるサインが現れるので、それを見逃さないようにすることが非常に重要となる。 現在、「五臓六腑」という言葉は、体の隅々まで食べ物や飲み物が行き渡るような感覚を言葉にしたもので、漢方医薬の概念を基に「体の隅々」または「体全体」の意味で使われる。さらに芸術などに感動した「心や感情の状態」を比喩的に表す意味で用いられる場合もあるが、「五臓六腑」という言葉自体は「内臓」を連想させるため、相手が意味を理解しにくい可能性もある。

五臓六腑の例文・使い方

最も頻繁に使用される表現が「食べたもの（飲んだもの）が五臓六腑に染み渡る」で、口に入れたものが単に美味しいだけではなく体の隅々まで行き渡るような感覚を言葉にしたもので、実際にすべての臓器に味や感触が行き渡っているということではなく、心の充足感を表現する場合に使用する。例文として「仕事終わりのビールは、五臓六腑に染み渡る」「長い海外生活の後、久しぶりに味わう日本料理は、五臓六腑に染み渡った」などである。また、音や香りなどに強く感動したときの心境を表現する際にも使用される。例文として「今回のライブはとても迫力があって、五臓六腑に響いた」「新しい香水は、五臓六腑に染み渡るほど強烈な香りだった。」などだ。

五臓六腑の類語・使い分け方

五臓六腑にはあまりしっくりとした類義語はない。「四肢五体」という言葉があるが、感覚的な意味合いはなく、体全身を現わす様な表現に使用される。

五臓六腑の英語

「五臓六腑」は抽象的な概念であるため、本来の意味を表す英語は存在しない。単に表記上の内臓・器官の意味であれば「the internal organs」もしくは「viscera」が相当する。

読み方：ごぞうろっぷ

五臓六腑とは、五臓六腑の意味

五臓六腑とは、肝・心・脾・脾・肺・腎の五臓と、大腸・小腸・胆・胃・三焦・膀胱の六腑の総称のこと。転じて、はらの中、心の中、全身という意味を表すようになった。

五臓六腑は西洋にない概念であり、英語で正確な訳出は難しいが、the internal organs が最も近い訳出であるといえる。

五臓六腑は、中国漢方に語源を持つ四字熟語である。中国漢方において、臓は「陰」、腑は「陽」の性質があるという。そのため、「臓」と「腑」には裏と表の関係があり、片方が不調になると、もう片方に影響するとされる。

五臓六腑の六腑に含まれる三焦は、中国漢方独特の概念である。中国漢方では、大まかに横隔膜と腹膜をもって人体を3つの部位に分け、上部から上焦、中焦、下焦と分けた。腑としての三焦は、上焦、中焦、下焦の原気を擁しており、体全体に行き巡らせる役割を担うとされる。

五臓六腑の語の例文、使い方

五臓六腑を、中国古典における内臓の総称として用いる元来の使い方は、現代ではほとんど用いられない。五臓六腑は、現在では元来の意味が転じて生じた「体全体」、「心の中」といった意味を表すために用いられることがほとんどである。
例文としては、次のようなものが挙げられる。

• 仕事終わりの一杯は五臓六腑に染み渡る
• ギターの音色が五臓六腑に響くようだった

前者における「五臓六腑」は決して具体的な内臓を指しているわけではなく、「体全体」という意味で用いている。また、後者にける「五臓六腑」は、内臓や体を指しておらず、「心・感情」という意味で用いており、精神的な充足感を表現するために用いられている。このように、必ずしも「五臓六腑」が物理的に内臓や体のことを表すとは限らない。