不知火
「不知火」とは、九州に伝わる怪火・柑橘系の果物のことを意味する日本語表現である。
「不知火」とは・「不知火」の意味
「不知火」とは、九州に伝わる怪火のことで、妖怪の一種である。海岸から離れた沖で、海面から浮いた位置に火が現れる。火ははじめ一つ二つだが、徐々に横へ広がり数kmに及ぶこともある。旧暦8月1日ごろの新月の夜に見られやすいと言われ、出現する時間帯は、午前3時の前後2時間ほどである。八代海や有明海で見られる。龍神の灯火とも言われ、「不知火」が出ているときには漁に出ることを禁じられていたときもあった。不吉の象徴とされたが、江戸時代に刊行された「今昔画図続百鬼」では景行天皇を助けた良い妖怪として登場している。現在では、「不知火」は大気光学現象の一つとされ、光の異常屈折により起こるといわれている。熊本県宇城市不知火では、「不知火」にちなんだ祭り「不知火海の火祭り」が開催されている。永尾剱神社で神事が執り行われ、その後、海上で花火大会が行われる。県内外から多くの人が訪れるイベントである。
柑橘類に「不知火」の名を持つ果物がある。1972年に「清見」と「ポンカン」の交配により誕生した。当初は長崎県で開発が行われていたが、その後試験栽培中の苗木が熊本県の不知火町(現在の宇城市)に移され、「不知火」と名付けられた。オレンジのように甘味が強いことや、みかんのように袋ごと食べられること、種が少ないことなどから、柑橘類の中でも人気が高い。果梗部の凸型が特徴で、露地栽培では3月から4月が旬である。「不知火」の中で、糖度13度以上、酸度1パーセント以下でJAから出荷されるものを「デコポン」という。値段は100円/個ほどのものもあれば、贈答用では1,000円/個のものもある。
「不知火」は、漫画やゲームの中でも、登場人物や技の名前などでたびたび使われる。週刊少年ジャンプで連載されていた漫画「鬼滅の刃」では、登場人物がそれぞれ呼吸を使った技を繰り出す。鬼殺隊の炎柱である煉獄杏寿郎は、炎の呼吸を操る。型式が複数あるが、そのうち壱の型を「不知火」といい、相手との間合いを一気につめて斬りつける剣技である。中国のゲーム会社NetEaseによるスマートホン向けゲーム「陰陽師」には、式神として「不知火」が登場する。ステータスは耐久面を除いてトップクラスであり、致命傷を受けた時の回復スキルを持つ。
コナミデジタルエンタテインメントが制作したトレーディングカードゲーム「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム」では、「不知火」と名のついたカードがあり、属するモンスターは全て守備力ゼロのアンデット族である。そのうち「不知火の隠者(かげもの)」は、除外された他の不知火を最大で2体帰還させることができる。花とゆめで連載されていた漫画「天使禁猟区」では、日本刀の名前として「不知火」が登場する。
その他、「不知火」は俳句において9月の季語としても使われる。また、苗字としては「不知火」は大変珍しい。
「不知火」の読み方
「不知火」は「しらぬい」と読む。「不知火」の語源・由来
景行天皇が熊襲征伐のために九州を訪れた際、乗船中に暗くなり辺りが見えなくなってしまった。そのとき、海上に火の光が現れ、そちらに向かって船を進めて岸にたどり着くことができた。その火の出どころは分からず、天皇が「人の燃やした火ではあるまい」と話したことから、「知らぬ火」、「しらぬい」と呼ばれるようになったと言われる。「不知火」の熟語・言い回し
不知火現象とは
不知火現象とは八代海や有明海で見られる蜃気楼現象のことである。八代海や有明海の干潟では、旧暦8月1日ごろ放射冷却により夜に冷たい空気の塊ができることがある。海面上の気温が高いと、冷たい空気のかたまりと温かい空気のかたまりが複雑に存在しあいながら波上に移動する。これにより光の異常屈折現象が起きて、漁火や民家の灯りが「不知火」として海上に見えるようになる。
しらぬ‐い〔‐ひ〕【▽不▽知▽火】
読み方:しらぬい
九州の有明海や八代海(やつしろかい)で、夜間無数の光が明滅する現象。漁船の漁火(いさりび)が異常屈折によって光像を作るために起こる。八朔(はっさく)(陰暦8月1日)ごろの月のない夜に多くみられる。《季 秋》「—の見えぬ芒にうずくまり/久女」
しらぬ‐ひ【▽不▽知火】
読み方:しらぬひ
⇒しらぬい(不知火)
不知火
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/30 04:46 UTC 版)
不知火(しらぬい、しらぬひ)
有明海・八代海にまつわるもの
交通・乗物
- 道の駅不知火 - 国道266号沿いにある道の駅。
- 不知火号 - 名鉄バスと九州産交バスが共同運行していた高速バス。
- しらぬい (列車) - 日本国有鉄道が運行していた急行列車。 ⇒ 山陽本線優等列車沿革
- 不知火 (東雲型駆逐艦) - 大日本帝国海軍の駆逐艦。
- 不知火 (陽炎型駆逐艦) - 同上。
- しらぬい (護衛艦) (あさひ型護衛艦 (2代)) - 海上自衛隊の護衛艦。
相撲
- 四股名「不知火」を名乗った力士。熊本県出身者が多い。
- 不知火光右エ門 (初代) - 宝暦年間(1760年前後)の力士。最高位前頭3枚目。
- 不知火光右エ門 (2代) - 寛政年間(1790年代後半)の力士。最高位大関。初名磐石荒五郎。
- 不知火諾右エ門 - 天保年間(1840年前後)の力士。第8代横綱。初名黒雲諾右エ門→濃錦里諾右エ門。
- 不知火光右衛門 (3代) - 明治初期(1860年代)の力士。第11代横綱。初名殿リ勝五郎。
- 不知火光右エ門 (4代) - 1880年前後の力士。大阪相撲所属。最高位大関。福岡県出身。他の光右エ門と区別するため不知火光五郎の通り名で呼ばれることが多い。
- 不知火光右エ門 (5代) - 1900年前後の力士。最高位前頭4枚目。栃木県出身。初名藤ノ嶽光右エ門。
- 不知火 (年寄名跡) - 年寄名跡の一つ。
- 不知火型 横綱土俵入りの型の1つ。
その他
- シラヌヒ - 清見にポンカンを交配して育成した柑橘類。条件を満たした一部果実は「デコポン」という商標名で販売されている。
- 不知火 (プロレス技) - プロレス技のひとつ。 ⇒ DDT (プロレス技)#リバースDDT、丸藤正道#フィニッシュ・ホールド
- 不知火 (A・A・アタナジオの小説) - クトゥルフ神話作品。
フィクションの事物
キャラクター
- 不知火守 - 漫画『ドカベン』の登場人物。
- 不知火舞 - SNKのゲームなどの登場人物。
- シラヌイ - ゲーム『天外魔境ZERO』の登場人物。
- 不知火亮 - ライトノベル『緋弾のアリア』の登場人物。
- 不知火半袖、不知火半纏 - 漫画『めだかボックス』の登場人物。
- 不知火一樹 - ゲーム『Starry☆Sky』の登場人物。
- 不知火フレア - ホロライブ所属Vtuber3期生。
技
その他
脚注
- ^ 白泉社文庫『天使禁猟区』#2、参照。
不知火(しらぬい)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/16 15:14 UTC 版)
両手で刀を持って振り上げ、炎を浴びせる。強は前進しながら技を出し、終わり際に若干の隙がある。
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