ミネルバⅡ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/09 18:05 UTC 版)
JAXAが開発した小型ローバー上記のミネルバと同じく、跳ねて移動するため、車輪等の移動装置は搭載されておらず、本体内部にあるモーターの回転を利用して移動をする。2018年9月22日、2機のローバーは着陸に成功、少なくとも1機が移動に成功した。
※この「ミネルバⅡ」の解説は、「探査車」の解説の一部です。
「ミネルバⅡ」を含む「探査車」の記事については、「探査車」の概要を参照ください。
ミネルバII
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 03:51 UTC 版)
「ミネルバ (ローバー)」の記事における「ミネルバII」の解説
ミネルバは小惑星イトカワへの着地に失敗し、人工惑星となった。しかしミネルバが目的とした工学実験の二本の柱のうち、ホップしながら小惑星表面を移動するという小天体用ローバーの移動メカニズムの実証は、イトカワ表面での実地検証を行うことはできなかったが、はやぶさ打ち上げ前に落下塔での無重力試験を重ねることによってある程度メカニズムを確立できており、一方もう一本の柱である自律的小惑星探査手法の実証については、18時間に及ぶミネルバの運用の中で超小型自律ロボットとしての実績を積むことができた。 はやぶさによるイトカワ探査によって、イトカワのような小さな小惑星であってもその表面は均質ではなく、場所によって差異が見られることが明らかとなった。表面が均質な天体であればランダーが降り立って探査すればよく、移動機能を有するローバーは必要とはされない。しかし場所によって表面の性質が異なる天体であるならば、移動機能を有するローバーによる探査の必要性が生まれる。イトカワのような小天体でも場所によって表面の性質に違いが見られることが明らかになったということは、太陽系小天体においてもローバーがその探査に有効であることを示している。 そこでミネルバ以降の小天体用のローバーとして求められる機能としては、小天体上の科学的に重要と見られる地点にローバーを誘導する機能が求められることになり、そのためにはまず小天体上のローバーの位置同定が必要となる。位置同定にはミネルバのような超小型ローバーでは探査機によって詳細に撮影された画像により作成された地図と、ローバーが撮影した写真を比較する方法、ローバーに搭載された太陽や星のセンサを用い、天体上で観測された重力方向を基準とする方法、ローバーが車輪を用いる場合には車輪の回転を分析することによって移動距離や方向を分析する方法などが考えられるが、ミネルバのようなホップして移動する超小型ローバーでは、車輪の回転を分析する方法はそもそも使用できず、小天体は多くの場合いびつな形状をしているので表面で観測される重力方向が不安定であるため、太陽や星のセンサーを用いる方法では精度が保障できないと考えられた。また超小型ローバーの場合、撮影した写真の視野が極めて狭いことが予想され、探査機によって撮影された地図と上手く照合できないと考えられた。結局、探査機から静止中のローバーまでの距離を計測し、探査機の運動と小天体の自転運動の動力学を利用して小天体上の位置の同定を行う方法が検討されている。 はやぶさに続いて小惑星を探査するはやぶさ2計画においても、ミネルバの後継機であるミネルバIIの搭載が計画された。結局はやぶさ2に搭載されたミネルバは2機構成のミネルバ-II1と、ミネルバ-II2の合計3機となった。ミネルバ-II1はJAXAと会津大学が開発を担当し、ミネルバ-II2は東北大学、東京電機大学、大阪大学、山形大学、東京理科大学によって構成された大学コンソーシアムによって製作された。 ミネルバIIでは、ミネルバが目指した自律的小惑星探査手法の実証、ホップしながら小惑星表面を移動するという小天体用ローバーの移動メカニズムの実証という工学的課題のほか、先述した小惑星上のローバーの位置同定、複数ローバーによるネットワーク探査、搭載コンピュータとしてSOIデバイスの宇宙空間での利用といった新たな工学的チャレンジが提案された。またミネルバ2では、探査目標の小惑星リュウグウの自転軸が不確かで、自転軸が横倒しの場合には日照が長時間連続する可能性があるため、搭載コンピュータの冷却機能の追加や、目標小惑星の公転軌道や探査時期から、1.2天文単位以遠での探査を見据えた大型化などが検討された。 ミネルバIIの科学観測は、ミネルバと同様のホップ中に上空から小惑星を撮影する単眼望遠カメラ、小惑星表面で表面の詳細撮影を行う接写ステレオカメラ、内部と外部の温度計、光量から太陽方向を測定するフォトダイオードの他に、ミネルバIIの姿勢変動を計測するジャイロ、ミネルバIIが小惑星表面に着地した正確な時刻の計測や、小惑星の表面重力の直接測定、更にははやぶさ2計画で行われる予定であるインパクター衝突時における振動の測定などへの利用が考えられる加速度計、そして炭素に富むC型小惑星であるリュウグウの表面探査を考慮して、LED照射による多色分光を行い有機物測定などを行う機器の搭載が検討された。 ミネルバ-II1は、はやぶさ2の目的小惑星であるリュウグウが、小惑星の表面重力加速度、温度、自転周期、自転軸の傾きなどがイトカワと異なることが予想されたためローバーの再設計を行わねばならず、またミネルバの経験を踏まえて多くの改良を加えることとなったため、完全な新規開発となった。ミネルバ-II1はローバー保持、分離機構とローバー本体の合計質量は約2500g、2機のローバーはそれぞれ約900gである。ミネルバで採用したターンテーブル方式は、ターンテーブル上にほとんど全ての回線配置を行う必要性から軸受けなどの構造を強化せねばならず、どうしても質量が大きくなってしまうため、ミネルバ-II1では採用されなかった。ミネルバ-II1は形状を薄型として、面積が広い面が小惑星表面に接地する可能性を高めるようにした。小惑星上でのローバーの姿勢がほぼ決まることにより、2つのアクチュエータを同時に動かすことによって任意の方向へローバーをホップさせることが考えられていたが、重量オーバーのため1つに減らすことになった。 一方、5大学のコンソーシアムによって2011年春に開発が開始されたミネルバ-II2は、ローバー本体とローバー保持、分離機構との合計質量は約1500gである。ミネルバ-II2は極めて小さな重力加速度下での移動機構の検証を主目的とし、カメラによる小惑星撮像などのミッションを行う計画である。ミネルバ-II2の製作に参加した5大学の役割分担は 東北大学は計画全体の取りまとめ、微小振動によるマイクロホップ型移動機構の開発 山形大学はバイメタルによる環境駆動型移動機構の開発 東京電機大学は永久磁石を利用した内部撃力型移動機構の開発 大阪大学は板ばねを用いた弾性エネルギー開放型移動機構の開発 東京理科大学はローバーに搭載するカメラの開発 である。
※この「ミネルバII」の解説は、「ミネルバ (ローバー)」の解説の一部です。
「ミネルバII」を含む「ミネルバ (ローバー)」の記事については、「ミネルバ (ローバー)」の概要を参照ください。
- ミネルバⅡのページへのリンク