いつも心に剣を2 [★]
正統派ファンタジーかと思ってたけど、なんか展開が重い!
ユユが「バカなレーレ」というたびにニヤニヤするシリーズだと思ってたのに、終盤にかけての展開がすごく重いというか、鬱になりそうな気がしなくもない。
でもすごく先が気になるなぁ。これは今後期待が高まりそう。
いつも心に剣を〈2〉 (MF文庫J)
魔女という存在が恐れられていた時代。魔女の砦での戦いを経て、ユユとレーレはネルリンという街にたどり着く。そこで聖騎士のヨナハンとセルジュに再会した二人は、彼らとヨナハンの故郷へ向かう。
だが、久しぶりの故郷を喜ぶヨナハンを待っていたのは彼を失意の底へ叩き落とす大事件だった!!
一方、セルジュはユユが魔女ではないかと執拗に疑い、彼女に探りを入れてきて……。魔女と人間の戦いの先に、ユユとレーレは何を見て、何を思うのか。
―――「放ってはおけないわ。友だちだもの」
人間と魔女の醜くも必然な争い、そして二人の想いの先は――。
こーれーは、なんとも辛い展開になってきましたねー!
いやまさかこんなに暗くて重い展開になるとは思わなかった。いや、正確に言えば「人間の魔女間での戦争」という物語の重み自体はそれなりにあったんですけど、今度は人間関係で攻めてきたかー。
前半はヨナハンの活きの良さとかがあったおかげで、それなりにコミカルで楽しかったんですけど、彼の許嫁が投獄されていると知ったところから一変。ヨナハンに彼女の救出の協力を頼まれたユユとレーレがそこに赴くも、さらに魔女間との対立もあって色々と複雑です。
1巻で魔女裁判にかけられたユユは、魔女たちと面識があることを知られるわけにはいきません。しかしセルジュというやたら鋭くて油断できないキャラが出てきたおかげで、常時ハラハラさせられます。最初は一方的にユユを嫌っていたんですが、だんだん友好的になっていく二人を見ると和みます。ですが、終盤ではなかなかトリッキーな動きを見せますよね彼女。えー、ユユとの関係はどうすんの!? 的な。
それとレーレがどうあってもユユに固執しているのが目立ちます。固執じゃないか……依存のが正しいか?
彼にとってはユユが一であり全でもあります。そして善でもあるのです。何が悪いとか何が善いとかそんなもの自分の意志と関係なく、ユユが悪いと言えば悪い、善いと言えば善いとなる。生きることまでユユに託しているのだから、この絆は本当に特別なんだなぁと改めて認識。ただ絆というよりは明らかに主従関係になっているとも言えますが。でもユユもそんなレーレを心のよりどころにしているから、やっぱりお互い様なんじゃないだろうか。一緒に寝るシーンとかすごいニヤニヤできたんですけど。
そして人間と魔女との争いも、この物語の根幹を担っていますね。でも圧倒的に魔女側がいい人たちというイメージ抱いちゃわないですかね。それが作者の狙いだとは思いますが、協調することさえ眼中にない人間たちの勝手な思惑で淘汰される彼らの身にしたらたまったもんじゃありません。
そんな中でユユは魔女達と関わりを持ち、しかも命の恩人と言っていいほどの扱いを受けているのですよねー。そんな状況がユユ、そして連れられてレーレを中立的な立ち位置となっています。人間も魔女も騙し、二人は自分たちの力だけで生きて行かなければいけませんから。
そしてラストのあれですよ。もうどうなっちゃうんですかホント。
セルジュの思惑はなんとなく分かるけど、その思惑が実際になってしまったらユユとレーレの絆が崩れてしまいそうで怖いです。うーむ、よく出来た作品だと思う。ハラハラしながら次巻を待ちましょう。
面白いです。ただ、この先が怖い……でも読みたい。続きが気になるなー! オススメ。
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