さよならピアノソナタ2 [★★★]
うん、やっぱりこういう物語が好きだ。
なんか透き通ってるというか、純粋というか、青春特有の甘酸っぱさとかね。
ということで読了感想。
さよならピアノソナタ (2) (電撃文庫 (1570)) (2008/03/10) 杉井 光 商品詳細を見る |
天才ピアニストにしてピアノを弾かず、人を寄せつけない蛯沢真冬をギタリストに迎えた音楽研究部。
「あたし、海に行きたいなぁ」
「どうやったら海でバンドの練習ができるんだよ」
「いや、できるよ。 実はもう別荘を借りる手筈ができている」
幼なじみ・相原千晶と、手回しのよすぎる自称革命家・神楽坂響子の一言で、あっという間に海での合宿が決定する。
海といえば海水浴!と妙にはりきる千晶、珍しく思い悩んでいる様子の神楽坂、そしてやっぱり部活に馴染みきれない真冬。
そんな三人との合宿で波乱がないわけはなく、ナオはすっかり翻弄されるが……。
おかしくて少しせつない、恋と革命と音楽が織り成すボーイ・ミーツ・ガールストーリー、第2弾!
その名は「フェケテリコ」。恋も革命も音楽も、一波乱の夏合宿がスタート!
今回もクラシックやロックの著名人や名曲が物語に所々出てきます。分かる人間にしか分からないけど、分かる音楽あるとすごい共感できちゃうんだよなぁ。
気になる物語は……とりあえず、ナオの鈍感さが異常。
ハーレムの中の鈍感主人公という設定はもう鉄板な感じだけど、それも踏まえて上でもね。
常にツンツンしている真冬に対してはまだ分からなくないんですが、幼馴染みである千晶のアプローチにはさすがに気づいてほしいと思うわけですよ。ここまで来ると逆に呆れます。
「あのね? あたしが民音にいる理由は、半分は先輩のためだけど」
千晶は真冬の手を握ったまま言う。
「もう半分は、真冬と同じなの。わかる、よね?」
千晶がかわいそうだよ。彼女たちの為にも早く気づいてあげてください。
そして今回最も印象を受けたのはやはり革命家もとい神楽坂先輩でしょう。
器用で、何でもできて、おまけに美人というまさに完璧人間だと思ってたんですけど、そんなのは勘違いで実は結構脆い人だったんですね。意外な過去も明らかとなりました。もしかしたら「何でもできる」からこその悩みなのかもしれません。
というか先輩も実はナオのことを狙ってたりするんでしょうか。
一巻ではあまり目立つことがなかった千晶が今回はすごいがんばってた。
ライブ用のTシャツをデザインしたり、何といっても既に始まってしまったライブをドラマーのソロでずっと持ちこたえていたこと。ナオが真冬を探してくるまで。大勢の観客の前で一人ですよ? 度胸があるというか、すごい強い子なんですね。すんごく好感でした。
うんやあ、やっぱり面白いなぁ。同じ作者さんの「神様のメモ帳」も期待しておこう。
言葉にではできないけど音楽で伝えられるって素敵だと思います。カッコいい。
植田さんの可愛らしい挿絵も相まってオススメです!
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