

さよならピアノソナタ3 [★★★]
もう何度も思ったけど本当に杉井さんはやってくれます。このシリーズ読んでると、またもう一度ギターやろうかなって気さえ起きる。
ナオの鈍感さも神がかり的なものだけど、今回はやってくれた。なにこの超青春。読んでてこっちまで気持ちいいくらいさ!
ホントこのシリーズ素敵で大好き。あの美麗な表紙がアマゾンではまだ画像登録されてないことが残念。
![]() | さよならピアノソナタ 3 (3) (電撃文庫 す 9-9) (2008/08/10) 杉井 光 商品詳細を見る |
はじめてのライブを終え少し距離が縮まったナオと真冬は、息つく暇もなく二学期のイベントシーズンを迎える。
合唱コンクールに体育祭、そしてフェケテリコ初の単独ステージとなる文化祭。神楽坂率いる民俗音楽部の面々は、ときに敵としてときに仲間としてしのぎを削る。
そんな折、真冬の前にひとりのヴァイオリニストが現れる。ジュリアン・フロベール。通称ユーリ。
いたいけな女の子みたいな見た目で、真冬に気安く接する彼は、かつて共に演奏旅行をした仲だという。
さらに彼の出現を境に真冬の指が動くようになり、ナオの動揺を誘うが──。
時に音楽は、幾千の言葉よりも大切なものを伝えられる、ただ一つの手段――。
いやいや、全く音楽ってスバラシイです。このシリーズ読んでると本当に思う。
ぶっちゃけるとこの本は、高校生4人がバンド組んでどうのこうのってだけの話です。
それでもこんなに「面白い!」って自信持って絶賛できるのは、それだけ物語の動かし方とかキャラの心情とかを鮮明に描写できる杉井さんの手腕によるものでしょう。
さてさて、この3巻の物語としては「合唱祭」「体育祭」「文化祭」と数あるイベントが滔々と進んでいきます。
そこに新たな登場人物、天才ヴァイオリニスト・ユーリが来日という形で加わり、物語をかき回す。
このユーリ、最初の印象は悪かったんですけど中々の食わせ者。もちろんいい意味で。真冬の知り合いで真冬が難なく接せる数少ない人間に一人でもあります。
しかしこの3巻ではかなり重要人物です。ものすごいかかわり具合です。
「ナオミは、真冬の、なんなの?」
例えばこんなことをドストレートでナオにぶち込みます。他にもそれっぽいことをときどき。
ユーリとの邂逅で、改めて真冬の存在を意識し始め、色々と悩むナオの姿はああもう青春しやがって! という僻みさえでてきます。灰色の青春ですいません(苦笑)。
それにしてもナオの鈍感さはいい加減なんとかならないものか。
いや、それがこの物語の味でもありますし、杉井さんもおそらく意識してやっているのは分かりますよ。
でもさ、真冬と千晶がものすごい不憫でならないっ! 早く気づいてあげてよホント! 焦らしプレイ禁止!
特に千晶は見てるともうなんかこっちまで悲しくなる。普通ギャルゲとかだと「幼馴染み」ってだけで何らかのアドバンテージがあるけど、確かに千晶の言うとおり『最初から距離がゼロ』っていうのはある意味で酷なのかもしれない。ああ、千晶……頑張ってくれ。
しかしながらいくら鈍感なナオとて、最後にやってくれましたよ。
あの「ブラックバード」はさぁ、反則でしょう。1巻思い出して泣きそうになると同時にすっごく感動しました。
「あなたは、わたしのベーシストでしょ」
真冬がもう! 真冬がもうっ!(大事なことなのでry
いつもはつれない態度でもいちいち仕草が可愛い真冬ですけど、もう今回はすごかった。
もうこれでナオが真冬に行くことは決定事項と言ってもいいでしょう。千晶がかなりかわいそうだけど。
本当に流麗なメロディのたとえといい、とっても綺麗でちょっぴり切ない最高の物語でした。
文句なしの一作です。是非! 未読なら是非読んでみてください! 超オススメです!
それにしても真冬のエプロンドレス姿は異常なほど可愛かった。イラストの植田さんにはGJと言わざるを得ない。
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