ゴールデンタイム1 春にしてブラックアウト [★]
ゴールデンタイム 1 (電撃文庫 た 20-16) 竹宮 ゆゆこ アスキー・メディアワークス 2010-09-10 売り上げランキング : 2 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
晴れて大学に合格し上京してきた多田万里。大学デビュー、東京デビュー、一人暮らしデビュー、と初めてのことづくしで浮足立つ彼は、入学式当日、不意打ちにあう。
圧倒的なお嬢様オーラ! 完璧な人生のシナリオ! 得意なのは一人相撲!
下手人の名は加賀香子。薔薇の花束を万里に叩きつけた彼女は、万里の友達でもある幼馴染みの柳澤を追いかけて、同じ大学に入学してきたという。しかし、柳澤からは避けられ、周囲からも浮きまくる。そんな眩しくも危うい香子を支援することになった万里の青春は黄金色に輝くのか?
ゆゆぽ先生の待望の新作です。舞台は大学に上がり、自由度が上がりそう。
まあ結論からいうとおもしろかったです。おもしろかったのですが、この1巻ではなんとも言えないのが現状だったりします。それでもつかみは十分すぎるほどであったので期待値としては大きいのですけれど。それにしても駒都えーじと組むことになろうとは誰が予想したか。
高校三年以前の記憶をなくしてしまった万里、その大学での初めての友達柳沢、柳沢を追って同じ大学まで進学した香子。序盤はこの三人による淡々とした人間模様が描かれているのですが、新歓を経てまでのその移ろい方がおもしろい。岡千波、リンダ先輩も交えて徐々にその輪を広げ、今後どのような人間関係を作り上げるのか楽しみであり、若干怖くもあります。なんせ、舞台が大学ですからね。いつでもなにが起こるかわからないフリーダム性さが高校生までとはわけが違います。言っちゃえば大学生は何でもありだからな。
にしても香子です。
非のない完璧なお嬢様。圧倒的な非凡オーラ。自らのシナリオに楯突くものはすべて排除しようとする荒々しさ。これらすべてを個に収めた存在である香子は、ずっと想ってきた柳沢を追いかけて大学までやってきました。私も最初はただの面倒くさそうでストーカー気質の重い女だと思いました。
でも違うんです。ただ真っ直ぐすぎて方法がわからなかっただけなんです。
だから、ここまでハッキリと否定しているのにもかかわらずこんなに香子に付き纏われても、柳沢はきちんと彼女に対する気持の整理と距離感・振る舞いを考えて行動していたと思わされたときは、あーこいつはいいやつだなあと思いました。おまけにイケメンです。
こうまでお互いのことを想い合っていたのに、こういう形でそれがこじれてしまっていたのはとても物悲しいですね。すれ違い、とはまた違うのかもしれないけど、こんなにも長い付き合いだったのに。
だから香子がこれからどう立ち直っていくかも(これは万里によってほぼ達成されたけれど)、どのような恋路を選ぶのかも、応援したくなってしまいます。
万里も万里で記憶を失う前にリンダ先輩と、なにやらただごとならない関係をもっていたようで? でもそれが香子に思いを打ち明けてしまった手前だからモヤモヤしているという感じなんだろうか。
まあいずれにしても今後が楽しみなシリーズですね。いやー、これこそ青春です。
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