「万華鏡」
漢字で書くと、何の違和感もないのに、
「まんげきょう」
と口にすると、何と想像力を刺激する響きなのだろう。
* * *
先日、通過待ちで停車中のガラ空き鈍行列車内での光景。
お婆さん2人とその片方の孫娘(小学校低学年)が坐っていた。
女の子はポーチの中からお気に入りの万華鏡を取り出して覗き始めた。
お婆さん2人も代わる代わる見させてもらった。
「何これ。こんなの万華鏡じゃない」
「今の子は本物の万華鏡を知らないのかしらね」
2人の会話はとどまるところを知らなかった。
たしかにその万華鏡が安物で、
きっと華というよりは、
カラフルな砂粒のようなものが浮遊しているのでは……
という印象に思えた。
それでも女の子にとっては宝物である。
お婆さんたちの遠慮ない散々な言い方はひどくないか。
女の子はすっかりいじけてしまっていた。
そして、お婆さんたちの「万華鏡」の連呼。
* * *
「まんげきょう」
声に出してはいけない日本語だと思う。
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畳風呂・
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