舛添要一氏が当選しました。
彼は田母神氏の政策の一部を後から追加してたので、是非その点はお忘れなく都政に生かして頂きたいと思います。
先ず最大の敬意を。(ボキャブラ不足で「ごくろうさん」的な文字列になってしまうのですが…)
約2週間、寒さの中、45年ぶりの大雪になった最終日もまったく怯むことなくがんばってくださった。
田母神俊雄さん、一緒に活動したスタッフの皆さん。
選挙カーでマイクを握り語りかけた皆さん。
ポスティングや電話など選挙運動をがんばったボランティアの皆さん。
ネットで支援運動を重ねた皆さん。
本当にお疲れ様でした。
結果は4位でした。残念、と言うよりは、悔しいです。
昨日は、クサクサした気分で口汚い毒をドクドク出したい気分でした。
ボクはストレートに出す歳ではないですが、出したってイイじゃないか、昨日くらいは、と思いました。
というわけで落ち着きまして、是々非々で長々書きますよ。
東京都選挙管理委員会の投票結果です。
投票数(下3桁は四捨五入)
当日有権者数:10,685,000人
投票者数:4,930,000人
棄権者数:5,755,000人
投票率:46.14(前回投票率:62.60%)
候補者別得票数(主要4候補、下3桁四捨五入)
舛添要一:2,113,000票
宇都宮健児:983,000票
細川護煕:956,000票
田母神俊雄:611,000票
雪の影響もあり投票率は46%、過去3番目に低い数字だった。
棄権した人の方が多い選挙だったわけで、適切な民主主義を発動させるには少なくとも過半数が意思表明していないのは問題ありだと思います。
一票の格差より、投票率が上がらない状況を改善する工夫のが急務なんじゃないでしょうか。
政治家、公務員は少ないくらいなんですから。
すでに行われてる地域もあるようですが、人口の多い街であれば投票所を繁華街の近くに増設する。少ない所は不便な場所でないか再点検して移設する、など加速した方が良いでしょう。
昔は地域社会と一体だった学校や公民館などが現代では必ずしも人が集まる場所でなくなったので、再点検は必要でしょう。…田母神さんの視点は地域社会の再構築にあったんですけどね。。。
携帯・スマホに投票所入場整理券のデータをQRコードなどで読み込めるようにして券なしで投票できるようにする。旧来の方法と情報通信技術を可能な範囲で投票に組み合わせ、将来のネット投票につながるようにすれば良いと思う。そのような取組み自体が選挙への感心を高めるのでは?と思います。
…今回の都知事選では、投票率が上がった場合、パーセンテージからして宇都宮・細川両氏、特に50代以上の得票が多かった細川氏の得票が増えたんだろうと予想できますけどね。
この数字で最も衝撃だったのは政策らしい政策が全くないと言って良い細川氏が95万6千票も取って3位だったことです。
唯一の「即時原発ゼロ」も出口を示さない無責任な政策だったにもかかわらず、です。
自民党が舛添氏を支援したのはなぜか?
候補者別の得票数を見て下さい。
舛添氏は211万票。
二位の宇都宮氏の倍以上です。ダントツと言って良いでしょう。
しかし、当初、「脱原発」で一本化しようという動きが細川氏からありました。
この2人は「原発問題」で概ね一致し、その他の政策でも安倍政権の基本政策を批判していました。
政党支援では宇都宮氏には共産党、社民党、緑の党が付き、細川氏には有名人や民主党が支援し、反与党で一体的だったのです。
つまり、投票した人も両者で違いは大きくなかったと見て取れますから、宇都宮+細川で98万3千票+95万6千票=193万9千票。
もう少しで200万票に届きます。
東京は元々革新・左派系が強いと言われていましたが、この数字には驚きです。
もし、自民党が田母神氏を支援していたら、公明党の支持母体が揺らぐ可能性があったでしょう。憲法改正や核武装の議論も活発に発言している田母神氏を公明党の票田は支持できそうにないからです。
そして、労組系も割れる可能性があります。田母神氏は公共事業を推していましたが、これまでの自民党流とは変える可能性が伺えました。
旧来の支持企業が利権を失いかねないとグラついた可能性も予想出来ました。
つまり、自民党は田母神氏を支援しても「おいしくない」結果が見えていたのでしょう。
加えて、田母神氏のマッチョなイメージで離れる人々を最も警戒したと考えられます。
細川氏で逆転したかは微妙です、しかし、宇都宮氏一本ならあり得たかもしれません。
これは本当に恐ろしいことですから、自民党が警戒し堅実に見える舛添氏を支援したと考えられますね。
他に候補が居ないのも頼りないのですが…。
もしかしたら、小泉純一郎氏は自民党の頼りなさや舛添氏の評判の悪さを心配して、宇都宮票を割るために細川氏を担いだのでは?そんな疑念すら湧いてしまいます。一本化の話の時「ん?(あやしい)」と思いましたけど、結果を見ると、マジだったのかなぁ、なんてね。
麻生政権時に論文で政権にダメージを与えた田母神氏より、野党転落時に後ろ足で砂をかけて去っていった舛添氏を支援した事情には、このような「現実的」な計算があっての事だったと思います。
マスコミ的に言えば「党利党略」ですね。
政策で見たって自民党が田母神さんを支援しないのはおかしい!と思いますか?
ボクはそうは思いません。政策でも舛添氏だったのだと思います。舛添氏が党首だった新党改革はたちあがれ日本と統一会派だったり首相指名の決選投票で谷垣氏に入れたり、自民党と政策が近かった。
だから、田母神氏が出る以前は消極的に舛添氏かな?と考えていたのです。
ブログで繰り返し書いたように、田母神氏は金融緩和は維持した上で財政出動を積極的に行う政策を提言しており、安倍政権の新自由主義的な傾向にぶつかる可能性がありました。
自民党内では新自由主義的な経済観を持つ人が多数。媚中派も多くいますから田母神支援はあり得なかったのでしょう。
もちろん、それで良いとは思いません。
だ か ら 田母神さんを応援してたんです。
…ふぅ。
数字から分かるのは、東京の「革新・左派」の強さと「自民・公明の組織票」の強さです。
それに引っ張られる形で「それ以外」の浮動票が主に上位3者に配分されたのでしょう。
低投票率では「政党・組織」の票が固く。配分された「浮動票」が少なかったと言えると思います。
「政党・組織」の固定層と「それ以外」の浮動層
田母神氏は61万1千票取りました。
この数字をどう見るか。
ボクは選挙戦で繰り返し『「政党・組織」の支援を受けない(主要)候補は田母神氏だけ』と書いてきました。
ボクと同じ考えでもっと早くからこの点を強調してた方もいます。
数字から分かるのは、「政党・組織」のしがらみから離れ自民党とも違う「保守」な人が61万人近くいるのだろうということです。
古谷経衡さんはヤフーに投稿した記事で、そのような新しい保守層を「新保守」と名づけました。そして投票結果から「新保守」が全国に250万人いると試算しています。
ボクは、田母神氏には「新保守」以外の浮動票は多く入らなかったと考えています。
浮動層はそれほど田母神氏に動いていないのではないか?と。
それは選挙運動がネットと街頭演説に留まり、昔ながらの「どぶ板」的な地道な活動が不足していたと言われること。投票した人が30代までに偏って年配の支持が得られていないことから分かります。
チラシのポスティングに地道な努力をしたボランテティアの方々には最大限の敬意を払った上で、現実を見ればそれでは足らなかった、あるいは別な手法と連携する必要があったのだろうと受け止めざるを得ません。
「それ以外」のほとんどは世間の話題性や知名度、イメージに左右される感覚中心の「浮動層」です。マジョリティという言い方もできます。
このような層を味方に付けられるかどうかが当否を左右すると思います。
アニメに置き換えて考えてみる
ボクもアニメファンでしたから、社会のマイノリティとして忸怩たる思いを今でも持っています。その点で田母神ファン、今回支援した方々(ボクもです)と通じるものがあります。
コアなアニメファンが一定程度います。これを「固定層」と設定します。
それ以外を「浮動層」と設定します。
ざっくり言って一般のアニメの受け止め方は「ジブリ以外はオタク向け」だと思います。(かなりざっくりですが、実際そういう話をアニメファンでない人から何度も聞いたことがあります。)
アニメの社会的認識が、漫画ほどに広く認識されるには「浮動層」を捕まえないといけません。
漫画にはそれが可能な広い視点と作品群があります。
飲み友達に漫画編集者がいますが、実にいろんなことに興味を持ち勉強しています。
アニメにはそれが足らないとボクは感じています。
・漫画など他のエンタメコンテンツに比較してお金(コスト、人手)がかかること。
・確実に利益を確保するためコア層向けのビジネスモデルに偏っていること。
・デフレ不況がそれに輪をかけてリスクの高い浮動層獲得を結果的に切り捨ててしまっていること。
だと考えています。
現場も製作側も一般層に訴えるアニメを作れれば良いと考えていますが、上手くいってません。
アニメは漫画ほど広い「固定層」を得るための努力をして来たか疑問なのです。これも、伝統文化の継承と同じように長い時間がかかるのだと思います。
確実に売る努力を続けてきたために自ら需要を狭め、幅のある供給力を失うループにハマった。伝統文化を失わせる方向に時間をかけてしまってたんじゃないでしょうか。(個々人に責任があるかというと、そうとは言い切れない。みんな努力してるのです。後述)
このままでは「アニメはオタクが見るもの」というイメージの固定化が更に進みます。
とはいえ、いきなり「浮動層」を捕まえようと気張って作っても、両方からそっぽを向かれてしまう、というのがこれまでの経験則です。
挑戦的な作品が、見識の高いコアなアニメファン「固定層」を唸らすことが出来なければ「浮動層」にも広がらず「こういうアニメもあるんだな」と認識を新たにしてもらえない。
一時の挑戦でなく作り続けることで需要の幅も広がり、供給側の表現力も広がっていきます。これが望ましいループ。業界の成長なのだろうと思います。
東映系と手塚アニメの2大勢力から、虫プロ、東京ムービー、シンエイ、日本アニメ、サンライズ、マッドハウス、AIC、ガイナックス…と90年代までに広がっていった表現力の幅が今はずいぶん縮小しているのでは?と(挑戦してる人はいるけど経済的に報われないから広がりにくい)と感じます。
挑戦して賛否両論よりは少し前の評判に従って作った方が良い。評価(利益)を得るための努力が却って表現力を限定させていく。みんなの努力が互いに首を絞め合う、まさにデフレです。
アニメ経済も、15年のデフレ不況で緊縮傾向に慣れてしまい、現状維持を望む経済状況と符号するんですよね。
都知事選に話を戻します。
・選挙にはお金(コスト、人手)がかかること。
・元々の保守層に向けた演説に偏りすぎた。後半は修正しましたが十分でなかった。
・デフレ不況下の、下手に挑戦して悪化するより現状維持でじっとしてた方が良い、という消極姿勢を動かすレトリックが不足し、理解が広がらなかった。
加えて、田母神氏が自衛隊出身という影響でいえば、阪神淡路や東日本大震災での組織力、隊員個人個人の献身的な活動がある程度知られていても、未だに悪いイメージが貼り付いている、そう認めざるをえない点でしょう。
「保守層」という確実な「固定層」が「浮動層」を牽引して支持者を広げるまでに育てられていないのが、田母神氏(や保守政治)が一般に広がらない大きな原因の一つであり、そのループから出ていないのではないか。と思います。
今回、そのループから出ようと支援者は足掻きました。でも、まだまだ「浮動層」をこちらに惹きつけるには至らなかった。
マスメディアが田母神氏を泡沫扱いして無視していたとしても、そこに原因を持って行ってはダメなのです。
方法に間違いがあったのでは?と反省しなければ、このまま「田母神氏はネトウヨにしか需要がない」と固定してしまうでしょう。
いきなり「浮動層」に働きかけても引いてしまうし、「固定・浮動」の双方から批判を受けてしまう。
まずは「固定層」の意識を改めて、広く受け入れられるための方法論を(ガチの人には不本意だろうと)工夫しないと広げることは出来ないでしょう。
わかりやすく言えば「中韓叩き」や「戦後レジーム批判」だけ、或いはそれに偏っていては、まったく支持者を広げない。焦って声高に叫べ叫ぶほど、むしろ共感を減らしてしまう弊害の方が大きい、ということだと思います。
「またか」と思ったこと
告示前から、消費税増税の時と同じく、経済を勉強してる一部の人々(保守を自称しているはずなのですがね…)が細川氏の悪質なコラージュを作成して拡散してる人たちがいました。
ボクは思わず、またか、とつぶやきました。
それと同じ人たちが、敗けた田母神陣営を揶揄しています。
この人々はボクが見た限り「消極的に田母神氏だ」と言っていた人たち(一般の人が思う消極的とは明確に違います。)で、選挙期間中、積極的に田母神氏を支援することがなかった「一派」です。
なぜか。
金融政策派と財政政策派で考えればわかります。田母神氏は彼らが消費税増税政局で攻撃した麻生副総理に近い政策を掲げていたからです。
しかし、筋の悪い舛添氏を積極支援することも出来ませんから、「消極的に田母神」であって、この選挙期間中は静かだったのでは?と疑っています。
結果が出た途端、田母神陣営や応援した人を揶揄するツイートやFB投稿を活発に行なっています。
正直、結果が出て急に元気になりやがった、と思いましたよ。
ボクはこの人たちには社会を前向きに変えることなど出来ないと思ってます。経済学の使い方も含めて、不誠実ですから。
特徴的なのは田母神さん本人には言及せず選挙運動を指揮した団体や積極支援した人たちを揶揄していることです。
消費増税の時は決して安倍首相を批判しなかったのと似ています。
…こういうことは無くならないのでしょうが、少なくとも、それをクダラナイ戯言だと多くの人が眉をひそめるまっとうな民主主義が広がらないと、選挙や重要な政策課題が議論される度に政局じみたクダラナイ雑音にリソースを食われることになります。
無視すれば良いのですが、「浮動層」にそこそこ影響力があるようなので今回だけ書くことにしました。
まとめ。今後への提言
まずは「固定層」側の「保守(新保守)」が自らの思想や方法論を精査し、間違いを反省して今後に生かすこと。
「固定層」がその内側の程度の差、多少の温度差を越えて「浮動層」…大きな世論に働きかけることが出来るツールを持つこと。
これまでは「尖閣問題」「慰安婦問題」「天皇、ご皇室」がツールの中心でしたが「浮動層」にはまだハードルが高い。これらを声高に叫んで引き下げようとしても却って扉は閉ざされてしまいます。
ツールは硬いものから柔らかいものまで幾つか持つ必要があるでしょう。
三橋さんもブログで書いていたように日本人の保守思想と相通づる様々なツールやレトリックを、少々あざとかろうが使っていくことを考えないといけないのだろうと思います。
軸がしっかりしてくれば「またか」のようなことも減るでしょう。
それぞれが自由な意思でツールを使いこなすことができれば、田母神的な需要はじっくりと拡大してくと思います。
若者層では、田母神氏の得票は2位だったそうです。
リアルに支援活動した方々の成果だと思います。
将来を造るのは若者ですから、そこに希望を見出そうと思います。
これからも、微力&拙いのは承知で発言していきますよ。
仕事でも、少しづつ出来ることからやっていきます。
彼は田母神氏の政策の一部を後から追加してたので、是非その点はお忘れなく都政に生かして頂きたいと思います。
先ず最大の敬意を。(ボキャブラ不足で「ごくろうさん」的な文字列になってしまうのですが…)
約2週間、寒さの中、45年ぶりの大雪になった最終日もまったく怯むことなくがんばってくださった。
田母神俊雄さん、一緒に活動したスタッフの皆さん。
選挙カーでマイクを握り語りかけた皆さん。
ポスティングや電話など選挙運動をがんばったボランティアの皆さん。
ネットで支援運動を重ねた皆さん。
本当にお疲れ様でした。
結果は4位でした。残念、と言うよりは、悔しいです。
昨日は、クサクサした気分で口汚い毒をドクドク出したい気分でした。
ボクはストレートに出す歳ではないですが、出したってイイじゃないか、昨日くらいは、と思いました。
というわけで落ち着きまして、是々非々で長々書きますよ。
東京都選挙管理委員会の投票結果です。
投票数(下3桁は四捨五入)
当日有権者数:10,685,000人
投票者数:4,930,000人
棄権者数:5,755,000人
投票率:46.14(前回投票率:62.60%)
候補者別得票数(主要4候補、下3桁四捨五入)
舛添要一:2,113,000票
宇都宮健児:983,000票
細川護煕:956,000票
田母神俊雄:611,000票
雪の影響もあり投票率は46%、過去3番目に低い数字だった。
棄権した人の方が多い選挙だったわけで、適切な民主主義を発動させるには少なくとも過半数が意思表明していないのは問題ありだと思います。
一票の格差より、投票率が上がらない状況を改善する工夫のが急務なんじゃないでしょうか。
政治家、公務員は少ないくらいなんですから。
すでに行われてる地域もあるようですが、人口の多い街であれば投票所を繁華街の近くに増設する。少ない所は不便な場所でないか再点検して移設する、など加速した方が良いでしょう。
昔は地域社会と一体だった学校や公民館などが現代では必ずしも人が集まる場所でなくなったので、再点検は必要でしょう。…田母神さんの視点は地域社会の再構築にあったんですけどね。。。
携帯・スマホに投票所入場整理券のデータをQRコードなどで読み込めるようにして券なしで投票できるようにする。旧来の方法と情報通信技術を可能な範囲で投票に組み合わせ、将来のネット投票につながるようにすれば良いと思う。そのような取組み自体が選挙への感心を高めるのでは?と思います。
…今回の都知事選では、投票率が上がった場合、パーセンテージからして宇都宮・細川両氏、特に50代以上の得票が多かった細川氏の得票が増えたんだろうと予想できますけどね。
この数字で最も衝撃だったのは政策らしい政策が全くないと言って良い細川氏が95万6千票も取って3位だったことです。
唯一の「即時原発ゼロ」も出口を示さない無責任な政策だったにもかかわらず、です。
自民党が舛添氏を支援したのはなぜか?
候補者別の得票数を見て下さい。
舛添氏は211万票。
二位の宇都宮氏の倍以上です。ダントツと言って良いでしょう。
しかし、当初、「脱原発」で一本化しようという動きが細川氏からありました。
この2人は「原発問題」で概ね一致し、その他の政策でも安倍政権の基本政策を批判していました。
政党支援では宇都宮氏には共産党、社民党、緑の党が付き、細川氏には有名人や民主党が支援し、反与党で一体的だったのです。
つまり、投票した人も両者で違いは大きくなかったと見て取れますから、宇都宮+細川で98万3千票+95万6千票=193万9千票。
もう少しで200万票に届きます。
東京は元々革新・左派系が強いと言われていましたが、この数字には驚きです。
もし、自民党が田母神氏を支援していたら、公明党の支持母体が揺らぐ可能性があったでしょう。憲法改正や核武装の議論も活発に発言している田母神氏を公明党の票田は支持できそうにないからです。
そして、労組系も割れる可能性があります。田母神氏は公共事業を推していましたが、これまでの自民党流とは変える可能性が伺えました。
旧来の支持企業が利権を失いかねないとグラついた可能性も予想出来ました。
つまり、自民党は田母神氏を支援しても「おいしくない」結果が見えていたのでしょう。
加えて、田母神氏のマッチョなイメージで離れる人々を最も警戒したと考えられます。
細川氏で逆転したかは微妙です、しかし、宇都宮氏一本ならあり得たかもしれません。
これは本当に恐ろしいことですから、自民党が警戒し堅実に見える舛添氏を支援したと考えられますね。
他に候補が居ないのも頼りないのですが…。
もしかしたら、小泉純一郎氏は自民党の頼りなさや舛添氏の評判の悪さを心配して、宇都宮票を割るために細川氏を担いだのでは?そんな疑念すら湧いてしまいます。一本化の話の時「ん?(あやしい)」と思いましたけど、結果を見ると、マジだったのかなぁ、なんてね。
麻生政権時に論文で政権にダメージを与えた田母神氏より、野党転落時に後ろ足で砂をかけて去っていった舛添氏を支援した事情には、このような「現実的」な計算があっての事だったと思います。
マスコミ的に言えば「党利党略」ですね。
政策で見たって自民党が田母神さんを支援しないのはおかしい!と思いますか?
ボクはそうは思いません。政策でも舛添氏だったのだと思います。舛添氏が党首だった新党改革はたちあがれ日本と統一会派だったり首相指名の決選投票で谷垣氏に入れたり、自民党と政策が近かった。
だから、田母神氏が出る以前は消極的に舛添氏かな?と考えていたのです。
ブログで繰り返し書いたように、田母神氏は金融緩和は維持した上で財政出動を積極的に行う政策を提言しており、安倍政権の新自由主義的な傾向にぶつかる可能性がありました。
自民党内では新自由主義的な経済観を持つ人が多数。媚中派も多くいますから田母神支援はあり得なかったのでしょう。
もちろん、それで良いとは思いません。
だ か ら 田母神さんを応援してたんです。
…ふぅ。
数字から分かるのは、東京の「革新・左派」の強さと「自民・公明の組織票」の強さです。
それに引っ張られる形で「それ以外」の浮動票が主に上位3者に配分されたのでしょう。
低投票率では「政党・組織」の票が固く。配分された「浮動票」が少なかったと言えると思います。
「政党・組織」の固定層と「それ以外」の浮動層
田母神氏は61万1千票取りました。
この数字をどう見るか。
ボクは選挙戦で繰り返し『「政党・組織」の支援を受けない(主要)候補は田母神氏だけ』と書いてきました。
ボクと同じ考えでもっと早くからこの点を強調してた方もいます。
数字から分かるのは、「政党・組織」のしがらみから離れ自民党とも違う「保守」な人が61万人近くいるのだろうということです。
古谷経衡さんはヤフーに投稿した記事で、そのような新しい保守層を「新保守」と名づけました。そして投票結果から「新保守」が全国に250万人いると試算しています。
ボクは、田母神氏には「新保守」以外の浮動票は多く入らなかったと考えています。
浮動層はそれほど田母神氏に動いていないのではないか?と。
それは選挙運動がネットと街頭演説に留まり、昔ながらの「どぶ板」的な地道な活動が不足していたと言われること。投票した人が30代までに偏って年配の支持が得られていないことから分かります。
チラシのポスティングに地道な努力をしたボランテティアの方々には最大限の敬意を払った上で、現実を見ればそれでは足らなかった、あるいは別な手法と連携する必要があったのだろうと受け止めざるを得ません。
「それ以外」のほとんどは世間の話題性や知名度、イメージに左右される感覚中心の「浮動層」です。マジョリティという言い方もできます。
このような層を味方に付けられるかどうかが当否を左右すると思います。
アニメに置き換えて考えてみる
ボクもアニメファンでしたから、社会のマイノリティとして忸怩たる思いを今でも持っています。その点で田母神ファン、今回支援した方々(ボクもです)と通じるものがあります。
コアなアニメファンが一定程度います。これを「固定層」と設定します。
それ以外を「浮動層」と設定します。
ざっくり言って一般のアニメの受け止め方は「ジブリ以外はオタク向け」だと思います。(かなりざっくりですが、実際そういう話をアニメファンでない人から何度も聞いたことがあります。)
アニメの社会的認識が、漫画ほどに広く認識されるには「浮動層」を捕まえないといけません。
漫画にはそれが可能な広い視点と作品群があります。
飲み友達に漫画編集者がいますが、実にいろんなことに興味を持ち勉強しています。
アニメにはそれが足らないとボクは感じています。
・漫画など他のエンタメコンテンツに比較してお金(コスト、人手)がかかること。
・確実に利益を確保するためコア層向けのビジネスモデルに偏っていること。
・デフレ不況がそれに輪をかけてリスクの高い浮動層獲得を結果的に切り捨ててしまっていること。
だと考えています。
現場も製作側も一般層に訴えるアニメを作れれば良いと考えていますが、上手くいってません。
アニメは漫画ほど広い「固定層」を得るための努力をして来たか疑問なのです。これも、伝統文化の継承と同じように長い時間がかかるのだと思います。
確実に売る努力を続けてきたために自ら需要を狭め、幅のある供給力を失うループにハマった。伝統文化を失わせる方向に時間をかけてしまってたんじゃないでしょうか。(個々人に責任があるかというと、そうとは言い切れない。みんな努力してるのです。後述)
このままでは「アニメはオタクが見るもの」というイメージの固定化が更に進みます。
とはいえ、いきなり「浮動層」を捕まえようと気張って作っても、両方からそっぽを向かれてしまう、というのがこれまでの経験則です。
挑戦的な作品が、見識の高いコアなアニメファン「固定層」を唸らすことが出来なければ「浮動層」にも広がらず「こういうアニメもあるんだな」と認識を新たにしてもらえない。
一時の挑戦でなく作り続けることで需要の幅も広がり、供給側の表現力も広がっていきます。これが望ましいループ。業界の成長なのだろうと思います。
東映系と手塚アニメの2大勢力から、虫プロ、東京ムービー、シンエイ、日本アニメ、サンライズ、マッドハウス、AIC、ガイナックス…と90年代までに広がっていった表現力の幅が今はずいぶん縮小しているのでは?と(挑戦してる人はいるけど経済的に報われないから広がりにくい)と感じます。
挑戦して賛否両論よりは少し前の評判に従って作った方が良い。評価(利益)を得るための努力が却って表現力を限定させていく。みんなの努力が互いに首を絞め合う、まさにデフレです。
アニメ経済も、15年のデフレ不況で緊縮傾向に慣れてしまい、現状維持を望む経済状況と符号するんですよね。
都知事選に話を戻します。
・選挙にはお金(コスト、人手)がかかること。
・元々の保守層に向けた演説に偏りすぎた。後半は修正しましたが十分でなかった。
・デフレ不況下の、下手に挑戦して悪化するより現状維持でじっとしてた方が良い、という消極姿勢を動かすレトリックが不足し、理解が広がらなかった。
加えて、田母神氏が自衛隊出身という影響でいえば、阪神淡路や東日本大震災での組織力、隊員個人個人の献身的な活動がある程度知られていても、未だに悪いイメージが貼り付いている、そう認めざるをえない点でしょう。
「保守層」という確実な「固定層」が「浮動層」を牽引して支持者を広げるまでに育てられていないのが、田母神氏(や保守政治)が一般に広がらない大きな原因の一つであり、そのループから出ていないのではないか。と思います。
今回、そのループから出ようと支援者は足掻きました。でも、まだまだ「浮動層」をこちらに惹きつけるには至らなかった。
マスメディアが田母神氏を泡沫扱いして無視していたとしても、そこに原因を持って行ってはダメなのです。
方法に間違いがあったのでは?と反省しなければ、このまま「田母神氏はネトウヨにしか需要がない」と固定してしまうでしょう。
いきなり「浮動層」に働きかけても引いてしまうし、「固定・浮動」の双方から批判を受けてしまう。
まずは「固定層」の意識を改めて、広く受け入れられるための方法論を(ガチの人には不本意だろうと)工夫しないと広げることは出来ないでしょう。
わかりやすく言えば「中韓叩き」や「戦後レジーム批判」だけ、或いはそれに偏っていては、まったく支持者を広げない。焦って声高に叫べ叫ぶほど、むしろ共感を減らしてしまう弊害の方が大きい、ということだと思います。
「またか」と思ったこと
告示前から、消費税増税の時と同じく、経済を勉強してる一部の人々(保守を自称しているはずなのですがね…)が細川氏の悪質なコラージュを作成して拡散してる人たちがいました。
ボクは思わず、またか、とつぶやきました。
それと同じ人たちが、敗けた田母神陣営を揶揄しています。
この人々はボクが見た限り「消極的に田母神氏だ」と言っていた人たち(一般の人が思う消極的とは明確に違います。)で、選挙期間中、積極的に田母神氏を支援することがなかった「一派」です。
なぜか。
金融政策派と財政政策派で考えればわかります。田母神氏は彼らが消費税増税政局で攻撃した麻生副総理に近い政策を掲げていたからです。
しかし、筋の悪い舛添氏を積極支援することも出来ませんから、「消極的に田母神」であって、この選挙期間中は静かだったのでは?と疑っています。
結果が出た途端、田母神陣営や応援した人を揶揄するツイートやFB投稿を活発に行なっています。
正直、結果が出て急に元気になりやがった、と思いましたよ。
ボクはこの人たちには社会を前向きに変えることなど出来ないと思ってます。経済学の使い方も含めて、不誠実ですから。
特徴的なのは田母神さん本人には言及せず選挙運動を指揮した団体や積極支援した人たちを揶揄していることです。
消費増税の時は決して安倍首相を批判しなかったのと似ています。
…こういうことは無くならないのでしょうが、少なくとも、それをクダラナイ戯言だと多くの人が眉をひそめるまっとうな民主主義が広がらないと、選挙や重要な政策課題が議論される度に政局じみたクダラナイ雑音にリソースを食われることになります。
無視すれば良いのですが、「浮動層」にそこそこ影響力があるようなので今回だけ書くことにしました。
まとめ。今後への提言
まずは「固定層」側の「保守(新保守)」が自らの思想や方法論を精査し、間違いを反省して今後に生かすこと。
「固定層」がその内側の程度の差、多少の温度差を越えて「浮動層」…大きな世論に働きかけることが出来るツールを持つこと。
これまでは「尖閣問題」「慰安婦問題」「天皇、ご皇室」がツールの中心でしたが「浮動層」にはまだハードルが高い。これらを声高に叫んで引き下げようとしても却って扉は閉ざされてしまいます。
ツールは硬いものから柔らかいものまで幾つか持つ必要があるでしょう。
三橋さんもブログで書いていたように日本人の保守思想と相通づる様々なツールやレトリックを、少々あざとかろうが使っていくことを考えないといけないのだろうと思います。
軸がしっかりしてくれば「またか」のようなことも減るでしょう。
それぞれが自由な意思でツールを使いこなすことができれば、田母神的な需要はじっくりと拡大してくと思います。
若者層では、田母神氏の得票は2位だったそうです。
リアルに支援活動した方々の成果だと思います。
将来を造るのは若者ですから、そこに希望を見出そうと思います。
これからも、微力&拙いのは承知で発言していきますよ。
仕事でも、少しづつ出来ることからやっていきます。
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