true tears第1話「私…涙、あげちゃったから」感想
全然期待せずに見てみたら、独特の作風で一気に引き込まれたアニメ。「せっかくだし、1話だけでも見てみようか」から「必ず見る」に変更。
今風のお約束をしっかり押さえつつも、細部の作りこみが他の多くのアニメとは違うんですよね。絵は綺麗で、現実にはほぼあり得ないシチュエーションだけど妙にリアルっぽい。そして、行動の多くが何かを象徴・暗示しているように見える(本当にそうなのかどうかはともかく)。しかしさほどテンプレ的でもない。あえて似た傾向の作品を挙げるなら…
sola、
ef - a tale of memories、
Myself;Yourselfあたりかな?
今の漫画やラノベやアニメは、ウケを狙い続けた結果記号化が進みすぎ、こういうちょっと方向性を変えたアニメがすごく斬新に見えるんだろうと思います。キャラクター原案の
上田夢人さんの絵も、萌えを狙いすぎてない絵柄でいい感じ。
これで「電波ヒロインは宇宙人」「電波ヒロインは生霊」「ヒロインが死ぬけど奇跡が起こる」「最終回で主人公が刺され、ヒロイン同士が対決」「淡々と日常が描かれ、投げっぱなしでおしまい」みたいな結末だったら自分的にはがっかりだけど、監督談話を聞く限り多分それはないと思います。
制作は、これが初のテレビシリーズ元請作品となるP.A.Works(ピーエーワークス)。富山県南砺市城端町の会社だそうで、このアニメの舞台も城端町らしいです。ただ、城端町は海に面していないので、完全に同じというわけでもないようですが。キャラの名前は富山の地名が由来になっているようです。
ゲーム版とは全く違う。完全なオリジナル作品
勘違いがすごく多いようなので、最初に。
true tears(トゥルーティアーズ)は2006年にPC版が、2008年3月にPS2版が出るけど、
アニメとゲームは完全に別物です。アレンジとかいうレベルですらない。タイトルと「涙がテーマ」という以外は、全くの別作品。最初からそういう方針でアニメ制作依頼があったようです。なぜこういう特殊なメディアミックスをやったのかは不明ですが。
前半
キャプ画像。造り酒屋の跡取りだが、絵本作家になりたいと思っている仲上眞一郎。家には、湯浅比呂美(ゆあさひろみ)が同居している。比呂美のいつも寂しそうな雰囲気が気にかかる眞一郎は、ある夜「涙を集めてくれる天使が、涙で首飾りを作って木に飾る」という情景をイメージする。その天使は、見知らぬ女の子の姿をしていた。
家にいる時とは全然違い、学校では明るい比呂美。
眞一郎は、木の上で赤い実を取る女の子を見かける。彼女は、昨夜イメージした天使とそっくりだった。「空を飛びたいニワトリのために、高いところにある食事を取っていた」らしい。飛ぼうとしないニワトリ扱いされた眞一郎が彼女を挑発すると、「あなたに不幸が訪れますように」と呪い(?)をかけられる。
女の子の名前は石動乃絵(いするぎのえ)。電波少女として有名な子だった。
父親の知り合いが亡くなり、娘の比呂美が引き取られたのは去年。眞一郎と比呂美は小学校時代からの知り合いだが、家での比呂美はいつも沈んでいる。
主人公と、メインヒロイン2人の紹介。電波な石動乃絵(いするぎのえ)は好みがわかれるだろうけど、記号的要素が薄いせいか好感度は高いです。このぐらいのレベルだと現実にギリギリいそうな感じもするし。
- 仲上眞一郎と湯浅比呂美は、小さい頃からの知り合い。
- しかし「仲のいい幼なじみ」ではなさそうに見える。
- ただ、少なくとも眞一郎は比呂美の事をかなり意識している。
- 母親は、比呂美の事をどこかうとましく思っている。
ここらへんはギャルゲ原作アニメのテンプレに似てはいるものの、細部はかなり違います。普通なら比呂美は眞一郎にわかりやすく好意を持ち、母親は比呂美と仲良くし、父親はほとんど出てこない、というところでしょう。どうも、比呂美は仲上家とは何らかの確執がありそうなんですよね。
主人公もよく服を着替えてますねぇ。「i AM 801」とか…。
後半
城端むぎや祭りの練習後、安藤愛子(あんどうあいこ)の実家が経営する今川焼きの店へ。
帰宅後、お風呂に入る比呂美を見てしまう眞一郎は、ニワトリの模型を作る。
翌朝、東京の出版社からの不採用通知の手紙を母親に見とがめられる。眞一郎は乃絵にニワトリを渡し、呪い(?)を解いてくれるよう頼む。ニワトリの模型を受け取った乃絵はすごく喜ぶ。
ニワトリ小屋は狸に襲われていた。空を飛びたがっていた雷轟丸は食べられ、空を飛ぼうとしなかった地べたは生き残っていた。乃絵が泣くと思っていた眞一郎は、乃絵が泣かなかった事を意外に感じる。
乃絵「私…涙、あげちゃったから」
友だち(三代吉)の彼女(愛子)の、主人公への態度が気になる。序盤にこういう印象だとほぼ確実に修羅場が来るけど、このアニメはどうなるか。
1度見ただけだと見逃すような細かい演出がたくさん。城端むぎや祭りの練習中、一瞬だけ眞一郎が愛子の方を見てます。朝ごはんを食べる時、比呂美の服が一瞬透けて見えるとか。フカンとアオリの使い分けにも、何か意味がありそうに思えてしまう。
そして、何度見ても今ひとつわからない演出もたくさん。たとえば、眞一郎の「比呂美が肩身のせまい思いをしてる事について考える→乃絵に渡すニワトリの模型を作る」という行動がよくわからない。
- 比呂美と気まずい雰囲気になり、乃絵のまじないが気になった
- 天使のイメージから、「比呂美が家でも明るくなるきっかけを、乃絵が与えてくれるかも」と無意識に感じた
というあたり? でも、乃絵が眞一郎に一気に好感を持ったのは、眞一郎の思考に共感を持ったためと思われます。ティッシュで作ったニワトリの人形を持っていくとか、普通の感性ではなかなか出来ない。
次回、いきなり修羅場っぽい展開。
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