映画「涼宮ハルヒの消失」感想
涼宮ハルヒの消失、2/7(日)に見てきました。
結論を言うと
すごくいいです。特に、
長門が可愛い。消失長門も、元に戻った長門も。
涼宮ハルヒの消失 公式サイト
涼宮ハルヒシリーズ中でも特に評価が高い『涼宮ハルヒの消失』を、アニメ向きに多少調整しつつほぼ原作のままに再現。京都アニメーションの映像表現とあわせて、非常に完成度の高い映画になってます。約2時間40分(163分)だけど、長いとは全然感じなかった。
京アニはもともと高品質な萌えアニメの制作が売りだけど、消失はさらに高密に。阪急の甲陽線~西宮北高校あたりを相当しっかり描いてます。音楽もいい雰囲気のものを要所に使っている。
キョンは元の「騒がしくも楽しい非日常」を選んだけど、正直、消失長門と二人静かに文芸部の活動を続けるのもよかった気が。
でも、改変された世界から脱出する方法が用意されキョンがハルヒを大急ぎで探した時点で、すでに答えは出てたんでしょう。いや、3年前の七夕の事を思えば、全て「既定事項」だったのか。長門にとってはちょっと切ない話ですが…。
ただ、キョンは今まで何度も長門に助けてもらいつつも彼女をどこかぞんざいに扱ってきた雰囲気があったけど、今回で「長門の事を気にかけ、守ろう」と考えるようになったわけで、かなりの進歩だと思います。
割と普通な客層
グッズはパンフレット以外ほぼ全部売り切れ。あと、記念品でメモパッドもらえました。席は真ん中あたりを予約。
客の男女比は7:3ぐらい? だけど、マクロスFに比べると客層がかなり広い印象。50代ぐらいに見える人もいるし、中学生ぐらいの女数人連れや親子連れも普通にいましたね。見るからにその筋という雰囲気の人は少ない。
なお、リピーターキャンペーンをやっていて、2/27以降にチケット半券を2枚持って行くと、フィルムブックマークがもらえます(※2枚のうち少なくとも1枚は2/27以降のものに限る)。
(2010/02/11追記)
2/6-2/7の土日興行収入は約8900万円。マクロスFより多いです。
物語がいったん収束し、新たな段階に
さまざまな伏線がいったん『涼宮ハルヒの消失』で収束。「ハルヒのいない世界」として、一つの形をなした長編となってます。
そして、キョンが本心を自覚しSOS団への関わり方を変えていくきっかけにもなっている。
次の大きな収束と変化は『涼宮ハルヒの分裂/涼宮ハルヒの驚愕』だと思ってますが、驚愕が発売延期になって早くも3年近く…
涼宮ハルヒの物語は、基本「あるはずないんだけど、あったらいいな」という非日常を描いてます。類似作に比べても、この「あったらいいな」のバランスがかなりうまく取れてる印象。作者は濃いオタじゃなさそうなんで、昨今流行の「ネタに困ったらヲタネタやパロでウケを狙う」のも少なめ。
現実の高校には宇宙人も未来人も超能力者もおらず、多少のドラマはあるとしても大抵の人は淡々と日々をすごし淡々と卒業する…つまり、「ハルヒが消失した世界」に近い。
- 高校入学以来キョンを悩ませ続けてきたはずの「涼宮ハルヒ」が突然いなくなり、平凡な日常が続く平凡な世界に放り出された
- そうなってみて初めて、キョンはハルヒという存在の大切さや、SOS団での非日常を楽しんでいた自分に気づいた
というわけ。
基本設定と笹の葉ラプソディは知ってる方がよい
アニメ1期(特に、時系列順の序盤1話~6話。ハルヒ登場~ハルヒが世界を再構築しようとするまで)+笹の葉ラプソディを見ていれば、この映画はほぼわかります。原作で言えば、1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』と、3巻『涼宮ハルヒの退屈』に収録されてる「笹の葉ラプソディ」。
もっとも、「ハルヒって誰?」という人はあまり見に行かないだろうし、アニメ本編未視聴or原作未読or消失のあらすじを全然知らない、という人も少なくなってるとは思います。
なお、映画は一般的に「その作品を全然知らない人でも、パンフレットを読めば基本設定はわかる」ようになっていて、涼宮ハルヒも一応そうなってます。でも、時間移動はもともとわかりにくい要素だし何度も行き来しているので、そこらへんで混乱しそう。
アニメ向きに多少改変
キョンの長々としたひとりごとは、やはりそれなりにカット。一方、
- 谷口がやたら元気そうにしてる→翌日一転して風邪気味に
- 室内での会話を屋外にする
- キョンの自問自答に、きちんと動くイメージ映像をつける
など、アニメ向きに調整。
劇場でよかったと思う
30分のテレビアニメは本編が実質21分ぐらいなので、『涼宮ハルヒの消失』の2時間40分は7話分ちょっとぐらいの長さ。原作1巻の『涼宮ハルヒの憂鬱』が6話構成だった事を思うと、かなり長い。
でも、いざ見てみれば映画で正解です。テレビアニメの制約を受けずに済んでるので。
テレビで『涼宮ハルヒの溜息』を見た人は、妙なぶつ切り感を感じたかと思います。あれは「原作を55ページごとに区切ってアニメ化」という試みをやっていたため。
ラノベは21分きっかりにまとまるよう書かれているわけじゃないし、テレビは予算や時間もかなり限られており、放送は3ヶ月(12話~14話程度)が1単位になってる。消失をテレビアニメにした場合、4話~5話構成で駆け足になった可能性が高い。
もちろんテレビ放送の方が作品の認知度は上げやすいだろうし、熱烈なファンの錬成、シリーズ化による人気の持続、グッズ展開などもしやすそうなわけですが。でも、「堅いファンがついてる有力作は、人気エピソードを少数の映画館で上映」というのは、今後も結構ありそう。
テレビアニメの話数構成にもう少し自由度があれば、笹の葉2話+エンドレスエイト3話+溜息4~5話、ぐらいを放送した後で消失映画が出来たのかも。
結果論だけどそのようにして、余った話数はらき☆すた特別編をやった方がよかった気が。
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