パクリ問題について語る夕べについて語る
- 2021/06/22
- 02:19
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- ボードゲームと著作権・パクリ問題について/座談会に向けた事前まとめ
- ボードゲームのパクリ問題メモ
上記を拝聴・拝読致しました。
ボードゲーム有識者会議「パクリ問題と著作権を語る夕べ」の第2回(正確には「アナザー版」とのことですが。)が行われるとのことなので、その前に、お気持ち派として、お気持ち派なりに、現時点で自分の思うことをまとめてみました。
● 前提の確認
まず、「パクリ」を扱うに当たって、George@キジトラ㌠ さんの以下の分類がとても便利なので、引用させて貰います(以下、A,B,C,D,Eの符号はこの分類を示します。)。
ボードゲームと著作権:
— George@キジトラ㌠ (@George7650) May 30, 2021
A) 海賊版
B) 内容クローン、外見変更
C) 概要同一かつ細部変更
D) 類似点がある
E) オリジナル
法律アウトなのはA。
お気持ちアウトはA~B~C~Dで、人とケースにより幅がある。B,C,D,Eの境界もグラデーションで、線引きはどうしても恣意的になる。
- 第一回有識者会議での川崎さんの資料から行けば、現行法の一般的な解釈上では、デザイナーにゲームルールの「中味」(ルールを指示する「文章」とは区別して考えている、ということ)に関する著作権(等)は認められなさそう。つまり、B~Dに当たるゲーム作品の制作は、現行法の一般的な解釈上では違法とは言えないっぽい。
- 少なくともBに当たるゲーム作品の制作については、現行法の一般的な解釈上は違法と言えないとしても、その制作に対して元のゲームのデザイナーが何かしら不満に思うことは、自然ではある/理解は出来る。つまり、Bに当たるゲーム作品の無制限な制作については、何らかの悪性が見出されうる(ただし、その不満・悪性が直ちに解消されるべきかどうかは別問題)。
- お気持ち派(つまり、無制限な制作を戒め、ゲーム制作に関して何らかの規制(この場合、法律などの明文化された規制だけではなく、モラルとかマナーとか言われるような不文律による規制も含む)が必要であると考える人々)であっても、B~Dのうちどのレベルのものから悪である(したがって、規制されるべき)か、統一見解があるわけではない。
- 何らかの形で規制が必要だというのであれば、そうした法整備のために動くべき。一方で、個人が独立にそうした運動を行うことは実際上不可能。お気持ち派は、個人では果たせないそうした運動の先導者・まとめ役を、有識者会議やデザイナー組合(?)に期待しているのかも。
- パクリ問題と「著作権」ではなく、パクリ問題と「創作者権利」についての議論を。
パクられる側という意味での創作者だけではなく、先行アイデアを元にそれをブラッシュアップしていくような側の創作者の権利も同時に考えていくのが良いのではないか、ということです。究極的には、すべてのゲーム制作者は両方の在り方を兼ねているはずなので。 - こうあって欲しいというみんなの考えに合った法整備を目指す(法律の整備ではなく、何らかの社会システムの構築を目指すということもあり得るだろう。それが本当に全体にとって有益かどうかは別問題だが。)のであれば、その中味の意見集約を。
- 何らかの規制が必要であるなら、具体的に、どんなゲーム制作をどのような形で規制(多分、最も過激なお気持ち派も「B~Dに当たるゲームの制作は一律に認めない」とまでは言わないだろうから、どういう条件を満たせば(例えば、Cのレベルの作品の場合には先行参照作品を明示する、など)認めることにするのか、などということ)するのが良いのか。
- あるゲーム作品が別のある先行ゲーム作品に対して、B~Eのうちのどのレベルに当たるものなのかを判定する方法はどんなものがあり得るか。また、それらのうちどれを採用するのか。
● 有識者会議に望むこと
まずもって、著作権の話は、先に述べたように基本的に結論は出ている(現行法の一般的な解釈上では、デザイナーにルールの中味に関する著作権(等)は認められなさそう)ものとして良いのではないでしょうか。
その上で、ボードゲームのゲームルールの中味の創作に関して現行法が示すあり方と、こうあって欲しいというみんなの考えとの間に齟齬があるのなら、有識者会議はその齟齬を埋めるためにどうすれば良いのかを議論する場(もしくは、本当は齟齬はない、ということをみんなに気付かせる場)であって欲しい、と思います。