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2011/06/04

ブルゴーニュ南部シャロレー地域の旅行 その6】


前回の日記(シャロレー種の牛たちと道端の草花)に書いた散歩から帰ってキッチンを物色すると、ちょうど良い大きさのガラス製の計量カップがありました。

それに摘んできた花を活けてみました。



草の実は淡いピンク色になっているものを選んでいました。いってみれば雑草たちですし、見本帳のように色々な草を摘んだので統一感がありませんが、なかなか綺麗♪ と満足。

この夜はお腹がいっぱいだったので、持ってきたチーズとパンとワインだけで簡単な食事をすることにしていました。食卓に花があるのも嬉しい。 


雑草の花束には価値がない?

宿に泊まるのは1晩だけでした。活けた花束をどうしよう?...

宿に残していっても良いのですが、昔は農家だったこの家の人が見たら「なんだこんな草花を活けて…」と、そのままゴミ箱に捨ててしまわれるはず。

野原で摘んだものを花瓶に活けたら、いたく喜ばれてプレゼントまでいただいてしまったこともあったのですが...。
ブラックベリーがいっぱいの散歩道

それで、水を含んだティッシュ―で包んで持ち帰ることにしました。

翌朝、ご主人にお別れの挨拶しながら、私の花束を見せました。

キョトン、という反応。

何か言うべきだろうけれど、何と言って良いかと、言葉を探しているようす。

ご主人は、牛を飼っていたのですが、引退していました。草を見ると、牛が食べるかどうかということくらいしか思い浮かばなかったのではないかな?…  「これは牧場にもある」などと言いました。

私の花束に緑を添えるために入れていたシダを見て、さらにひとこと。
「これがあるのはダメな土地なのですよ」

へえ、シダって、きれいだと思っていたのですけど…。


この旅行で撮影したシダ


花束を見せる前には、ご主人から昔の牛飼いの仕事の話しを聞いていたのです。このあたりは家畜を飼う牧場としては土地が適していないのだそう。

家の向こうにあるモミの木の森を指差して、モミの木があるところの牧場はダメなのだ、と言っていました。

それに加えて、シダもあるから牛がよく育たない土地なんですか?

このあたりはシャロレーと呼ばれる地域で、そこ原産のシャロレー種の白い肉牛が飼われています。ところが、宿のあるあたりは、シャロレー地区の中でも貧しい土地なのだそうです。

それで、ご主人は牛に子どもを生ませて、子どものうちに売るという仕事をしていたとのこと。少し離れた地域では牛がよく育つのだそう。

このあたりのシャロレー牛は、ランクが下がる「プチ・シャロレー」なのだと言いました。ワインのシャブリにも、シャブリとプチ・シャブリがありますが、ブルゴーニュが誇る肉牛シャロレーにもそういう区別があるとは知りませんでした。

畑にできない土地を牧場にするもので、牧場が放牧にむいているかどうかなどというのは気にしたことがありませんでした。

でも、そう言われれば、あちこちで食べるシャロレー牛肉にも、歴然とした美味しさの差があるとは感じていました。もっとも、オス牛か、子どもを産む前のメス牛かなど、肉の部分の他にもフランスでは品質を区別するのですけれど。

シャロレー種の牛肉が日本ではかなり市販されているようなので意外に思ったのですが、このブルゴーニュ原産の牛は外国でも飼育されていて、日本に入ってくるのはフランス産ではないような気がしました。


ご主人は、はっと気がついたように言いました。

「庭にバラがたくさん咲いていますから、花束を作ってあげますよ」

「いえ、いえ」、と私。

それでも… という感じのご主人は、もう庭の方に行こうと体を向けています。

理由を説明しないと~!
「私の家にもバラはありますから、こういう雑草が珍しいのです」

納得できない顔のご主人。道端の草なんか摘んできた私は同情されてしまったみたい!

奥様の方だったら反応が違ったのではないかとも思うのですが、ハイキングの会があって、朝早くから出かけてしまっていたのです。


モミの木とシダを嫌ったご主人

モミの木は育ちが早いからと、日本の杉のようにやたらに植えてしまったという話しはフランスでよく聞いていました。クリスマスツリーには欠かせないのですが、木としての材質は良くないので、あって嬉しい木ではないらしい。

でも、シダが生える土地は悪いというのは意外でした。「悪い」というのも、牛を育てるのに悪いというだけのことでしょうが。

でも、考えてみると、シダが生えている土地というのは肥えているわけではないかもしれない。

フランスでシダがたくさんある土地というとブルターニュ地方を思い出すのですが、あそこはそれほど農業に適した土地ではなかったかもしれない。

ブルターニュ地方は豚の生産ではフランスで一番の土地です。養豚場がたくさんあって、それが農業による環境破壊の代表例のように批判されていました。小屋の中で豚を飼ってフンなどを垂れ流している、というもの。

放牧では農業がやっていけない土地だから、小屋の中で豚を飼っていたのかな?…

今は改善されたらしく、もう槍玉にされることはなくなったように感じますが、Wikipediaでブルターニュ地方の農業のページを開いたら、やはり小屋の中で鶏や豚を飼っている写真がこの地方の代表例のように入っていました。こういうのを見ると食欲が減退します...。

でも、豊かな土地でないところで農業をするのは辛いのだろうな... と、ご主人の話しぶりから感じました。同じ仕事をしても、それだけの成果が違うのですから。

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