Bankruptcy:名古屋のあおなみ線、事業再生ADR
あおなみ線ができたときは名古屋にいたが、JR名古屋駅の新幹線ホームから新しいホームが建設され、入り口がよくわからない、経営もJRと同じなのか別なのかがよくわからない新線が出来るのだなぁという認識であった。
asahi.com:名古屋「あおなみ線」運営の三セク破綻、営業は続行
赤字経営が続くあおなみ線(名古屋—金城ふ頭間約15キロ)を運営する第三セクター・名古屋臨海高速鉄道(斎藤圭三社長)は5日、私的整理の一つ「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)」を使って再建を目指すと発表した。事実上の経営破綻(はたん)だが、営業を続けながら再建を進め、2013年度の黒字化を目指すという。
要するに需要予測が甘すぎて、建設したはいいが経営を維持できなかったということなのである。
なにしろ、開業初年度でさえも1日当たりの利用者を6万6千人と見込んだが、同年度は約1万8千人と大幅に下回った。現在は約2万7千人しか乗らないのである。
この事業再生だか、相変わらず甘い需要予測の上に成り立っているのではあるまいか? 記事によれば、「13年度の利用者を3万2400人と予測している」とのことである。
プチ親方日の丸というか、平成の武士の商法というか、相変わらず税金にたかって生きる第三セクターという感じだ。最初に需要予測を出した県や市の担当者、あるいは需要予測を下請けした企業の責任を問うことは出来ないものかと思う。何度繰り返されても、新規事業時にはバラ色の絵が出てきて、それを前提に事業を進めていくのである。
2004年というと、愛知県に万博が開催され、トヨタ絶好調で、明るい未来しか見えなかった時期だ。既にその頃からダメダメとみんな思っていた事業がいくつかあって、その典型が長久手町を横断するリニモなのだが、リニモはまだ命脈を保っている模様だ。
生き残りの余地があるものならば、破綻する前に、税金をあてにする前に、何とかするのが経営者というものであろう。
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コメント
元々,鉄道があったところを引き受けた,
というものではあるものの,
やはり予測は甘いですね。
ま,最初から赤字と分かっているものは,
議会等々で否決されるので出せないんでしょうが。
あおなみ線は愛知大学特需に頼るしか
ないのかもしれません。
おそらく,2013年に云々という話には
この特需が盛り込まれているのでは…と。
投稿: さわちゅう | 2010/07/06 10:33
愛大は豊橋から引き上げてくるという話ですね。特需といっても路線を維持するほどのモンかなぁ。
リニモも沿線の不便なところにある大学生がみんな乗ると言う計算だったと思うけど。よほどドアツードアで行かない限り、みんなでタクシー乗った方がよくて、案外安いとか。
投稿: 町村 | 2010/07/06 11:57
>最初に需要予測を出した県や市の担当者、あるいは需要予測を下請けした企業の責任を問うことは出来ないものかと思う。
冗談で書いているんですよね?まさか本気で、予言の類に法的責任を生じさせようとしているのですか?詐欺でも行った場合ならともかく、単に見積もりを出して事業の責任・処罰・損害賠償を甘受せよというのは、一般常識から外れると思うのですが。
投稿: こう | 2010/07/06 20:39
まともに予測したら、初年度の乗客数が1/4なんてことにはならないと思いますけどね。
高速道路でも空港でも、この手の偽装見積りの疑いが濃い需要予測が無駄な公共事業を可能にしているのに、その偽装工作をする連中を野放しにしているのは許しがたいということです。
会計監査人が会社経営者の言いなりとならなくなったのは、偽装がバレれば責任を取らされることが明らかにとなったからでしょう。
投稿: 町村 | 2010/07/06 23:41
>まともに予測したら
まともかまともではないのかは積算の根拠次第でしょうね。でも、まともな根拠で積算が間違っていた場合も、先生のご意見では責任を取れということになりかねないわけで、つまり、責任は予測が甘い見積りのせいだといえてしまう事実を無視してもらっては困るんですが。
>偽装見積りの疑いが濃い
見積もり云々以前に、偽装するときは偽装するのであって、責任を問うのであれば、偽装見積もりを選んで起業化した人間が責められるべきでは?ちなみに偽装した見積もりを出すこと自体は、実質詐欺ですから、そのような場合は見積もりを出した人が責任をとるのは当然かと。
>会計監査人
上場企業は決算期に来期予想を発表し、多くの場合発表は後々修正されますが、その場合、業績予想を認めた会計監査人が業績下落の責任や株価下落の責任を取ることは通常ありません。この事例で会計監査人を出すのは不適切だと思いますよ。
>偽装がバレれば責任
見積もりが甘いことと偽装をすることは本質的には違うわけで、それを同一視して責任を問うことはどうかと言っているわけですが。
投稿: こう | 2010/07/07 00:42
見積もりが甘いということと偽装をすることは本質的に違う、それはそうですね。
実際には1万8千人の需要しかないのに、6万6千人の利用者が見込まれるなどと見積もることを「甘い見積もり」と呼んであげたのが間違いの元だったのでしょう。
単に甘い見積もりだったと言うにとどまらず、偽装とか粉飾とか呼ばれる操作が行われたのではないかと、そういう疑いを持ちうるレベルだと思うわけです。
もちろんあおなみ線が実際どうだったのかは知らないわけですが、一般に言われているような、建設コストや維持コスト(それ自体が低い見積もりになっていることも多い)と採算レベルの需要計算が先にあって、それに見合った「予測」をこしらえる、いわゆる偽装が行われたのではないかと疑っているわけです。
で、その疑いが正しいのだとすれば、その担当者が責任をとるべきだし片棒担いだ予測の実行者も責任を免れないということです。
そして実際の需要の4倍もの需要を予測したケースでは、偽装の疑いを持って調査するべきではないかと。舌足らずだったかも知れませんが、そういう趣旨のエントリでした。
会計監査人の例も、粉飾決算をお目こぼししたような例を念頭においてますから、不適切な例というわけではありません。
投稿: 町村 | 2010/07/07 01:30
通常、こういう需要予測は、外部のシンクタンクに調査を依頼して行われます。行政や三セクにはそんな機能はありませんから。
ところが、シンクタンクは、クライアントに都合のいいレポートを出すバイアスがあります。
リーマンショックの遠因は、格付け会社のクライアントが債権発行者だったことでした。債券発行者から金をもらって格付けをしたら、BB(投資不適格)なんて評価は出せませんわな。
投稿: 井上 晃宏 | 2010/07/07 02:37
だから、私が思うに、シンクタンクや格付け会社そのものを、さらに格付けする仕組みが必要だろうと思うのです。
それは公開情報で外部性が高いから、市場的には不可能で、政府が行わざるを得ません。
投稿: 井上 晃宏 | 2010/07/07 02:41
利用者が少ないという現実
↓
利用予測が過大
↓
シンクタンクがヘボ
↓
事業者が予測調査は出来ない
こうなると、どこがどう責任があるのか?という問題なのでしょうが、
結果だけを見ると「事業者が責任を取れ」にしかならない。
上記の例では、シンクタンクにも責任がありそうだけど、それは今やわけが分からない。
インターネット時代なのだから、どんどん情報を公開するべきでしょうね。
それが、気魚や行政の責任である、今回の場合は需要予測が最初からトンでもない過大見積もりであったと記録があれば「なんでこんな事で事業を推進したのだ」と議論になったでしょう。
わけが分からないまま、不満を合唱するような社会はもう限界でしょう。
投稿: 酔うぞ | 2010/07/07 11:18