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自覚無き帝国秩序の手先達:おめでたい左派(要点)

以下は西側には何故最早左派は存在しないのかについての、ジャン・ブリクモンの2013年のエッセイ The Unwitting Agents of the Imperial Order: “The Wishful Thinking Left” の要点。


 1970年代初頭、中国の文化大革命、ラテンアメリカのゲリラ、プラハの春、東ヨーロッパの「反体制派」、フランス五月危機、市民権運動、ヴェトナム戦争への反対、アフリカとアジアの名目上社会主義的な反植民地運動、南欧の「ファシスト」体制について、当時の左派は悉く解釈を間違えていた。似た様な過ちは、コソボやリビア、アフガニスタンやイラクについても繰り返された。

 シリアについては左派は請願書を発表してアサド大統領の「弾圧」を非難して辞任を求め、シリア政府を支持していることでロシア、中国、イランも非難しているが、そもそもシリアについて提示されている諸事実は非常に疑わしく(事実カラー革命と非正規戦争による侵略に合わせた偽情報作戦だった)、国際法の観点からシリアの現在の政府は合法で、その援助要請に応えるロシア、中国、イランの行動も完全に合法だが、反政府派に武器を送ることはそうではない。米国がリビアのレジームチェンジの為に国連を利用した時にロシアと中国は反対したが、両国がシリアに対してリビアの様なことを繰り返させたくないと思うのは当然だ。請願書は世界の他の様々な運動を引き合いに出しているが、外国の介入に真っ向から反対し、国家の主権を尊重するラテンアメリカの反帝国主義政府への言及は何故か全く避けている。

 西側の左派は共産主義体制を非難して来たが、レーニンがツァーリズムと戦い、スターリンがヒトラーと戦い、毛沢東が国民党と戦い、金日成が日本人と戦い、金日成とポル・ポトが米国と戦ったことを彼らは忘れているのだろうか? 抑圧と戦うことは人を聖人にする訳ではない(革命は綺麗事ではない)。

 反政府派は武器を望んでいるが、ロシア、中国、イランやアサド政権は繰り返し交渉を呼び掛けている。何故これが「民主的な未来」に繋がらないと考えるのか? 外交ではなく「人道的介入」を支持する左派は、一体誰を支持しているつもりなのか? 請願書は何もしないより悪く、西側の自称「平和主義者」達は、第二次世界大戦の頃に比べて帝国主義の手法が変化したことに気が付いていない。

 軍国主義と介入主義に反対する人々の幅広い左右の連立を樹立することは完全に可能だろうが、革命的なロマン主義の幻想に屈したり、見せ掛けの弱者を支持したりする人々は、現在の帝国主義の戦術に引き込まれている。だがより平和でより公正な世界秩序を志向し、この秩序の前提条件が米国帝国主義の弱体化であると考える人々は、この偽装を容易に見抜くことが出来るだろう。従来の左派右派等の区別を超えて、異教徒同士の同盟が必要なのかも知れない。
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川流桃桜

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