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西洋のメディアが公衆に訴える:中国に関しては自分の目を信じるな、我々の嘘を信じろ(抄訳)

2024/10/02のブライアン・バーレティック氏の記事の抄訳。「新疆ウイグル自治区でジェノサイドが起こっている」と云う嘘を垂れ流している西洋のメディアは、自分の目で新疆の実際の様子を見て来た観光客達は、中国に利用されているのだと馬鹿げたことを仄めかしている。

 実際に新疆を訪れた大勢の観光客達(2023年には何と2億6,544万人を超えている)は各種SNSで、「新疆行って来たよー。TVで言ってることとは全然違ってたよー」と云う趣旨の情報発信をどっさりしていて、自分で少し探せばその種の情報は直ぐ見付かる。従って「新疆ウイグル自治区でジェノサイドが起こっている」と云う西洋の主張が真っ赤な嘘であることは、一般常識で考えて直ぐに解る。大規模なジェノサイドがそれ程多くの人々の目からそう簡単に隠蔽出来る訳が無い。

 そうした情報には必ずと言って良い程脊髄反射的に、「中国に騙されてる」「北京からカネを貰ってるんだろ」などと云うコメントが寄せられるが、中国政府は年に2億人以上を完全に騙したり洗脳したり雇ったりする様なことがまさか本気で出来ると、彼等は信じている訳だろうか? 少なくとも「新疆でジェノサイドは起こっていない」と主張する人が中国政府に雇われていたと云う具体的な証拠は私は見たことは無いが、「新疆でジェノサイドが起こっている」と主張する人が米国政府に雇われていた証拠なら幾らでも見付かっている。

 そもそも現在進行形で大規模なジェノサイドが起こっている場所に、普通は観光客など訪れない。今のガザ地区を観光目的で訪れる人が世界中にどれだけ居るだろうか?………まぁ、探せばひょっとしたらそんな物好きが見付かるかも知れないが、年間2億人に達しないであろうことは確かだ。

 解っている人には今更言うまでもないことだけれども、中国のプロパガンダ能力は西洋のそれに比べて極めて貧弱だ。これがピンと来ない人は、プロパガンダを「宣伝」「広告」「CM」「PR」等と呼び換えてみれば良い。西洋のプロパガンダは巷に溢れ返っているが(戦争や大統領選からパンデミックまで、広告業者抜きには成立しない)、中国発の情報(特に物語構築情報)に直接接する機会を持っている人が(特に西洋社会の中に)どれだけ居るだろうか。殆どの人は「『これが中国発の情報だ』と西洋のメディアが主張するもの」を通して中国発の情報を知っているに過ぎない(両者が区別出来ない人が殆どだが)。

 しかも中国は西洋が発する数々の中傷プロパガンダに対して、情報攻撃でやり返したりはしていない。「真実は何時か理解される」と云う信念に基付いて愚直に事実を公開しているだけだ。これは極めて迂遠なやり方の様に見えるが、中長期的に見ればこのやり方が最も道徳的・戦略的に正しい。これは目先の成果だけに焦って飛び付く様な発想の国には出来ないことだ。
Western Media Urges Public: Believe Our Lies, Not Your Own Eyes
Western Media Urges Public: Believe Our Lies, Not Your Own Eyes Regarding China




 2024/09/21、英国のテレグラフ誌は、「英国の旅行ブロガー達は中国のウイグル問題について『歯に絹着せて』北京を喜ばせている」と云う記事を掲載した。

 この記事に拠ると、「新疆では100万人以上のウイグル人が再教育キャンプに拘留されていると考えられている」のだが、この地域を旅行したにも関わらず、この件や西洋のメディアが主張して来たその他の主張を裏付ける証拠を全く目撃したことの無い西洋の観光客達は、「いいね!」と現金を貰う為に、中国から指図されたことに従っているだけなのだそうだ。

 そして中国政府が新疆ウイグル自治区を含む中国西部への入国を容易にするビザを発行した狙いは、根拠の無い西洋のプロパガンダに対して透明性によって対抗することではなく、こうした「役に立つバカ」達を招き寄せる為なのだそうだ。

 この記事は大勢の観光客達が自分の目で見て旅行ブログで伝えた内容を否定しているが、その為にオーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institute/ASPI)の「サイバー・アナリスト」であるダリア・インピオンバトの発言を引用している。

 「大きなプラットフォームを持つブロガー達には、きちんとした情報を得て懐疑的になる責任が有る。」

 ASPIのアナリストが「きちんとした情報を得る」と言う時、それは略間違い無く、米国政府から指図されたことに従うことを意味する。

 テレグラフの記事は遠回しに中傷しつつも、「ブロガー達が中国政府の命令で行動したり、中国政府から資金を受け取っていると云う兆候は無い」と認めている。

 他方、ASPIは米国政府、その他の西洋諸国政府、ロッキード・マーティン、タレス、サーブ、ボーイング等の西洋の武器製造業者から多額の資金を受け取っている。



 中国のテロ対策

 もう何年もの間、米国政府、西洋主流メディア、そして米国政府が資金提供している組織の大規模なネットワーク(ASPIを含む)は、中国西部の新疆ウイグル自治区で「ウイグル人のジェノサイド」が起こっていると云う神話を広めて来た。

 これに先立って米国政府は分離主義とテロリズムを支援して来たが、この脅威はこの地域のみならず、中国とアジアの他の地域、そして地球を半周してシリアの戦場までをも揺るがして来た。

 2014年の英国BBCの報道は、中国を悩ませている以下の様な凶悪な一連のテロ事件について伝えている。

 ・2012年6月、ウイグル人6人によるハイジャック未遂事件。

 ・2013年4月、流血事件。

 ・同6月、ナイフで武装した暴徒達が地方政府庁舎を襲撃して警察が発砲し、27人が死亡。

 ・同10月、北京の天安門広場で新疆分離主義者の車が群衆に突っ込み炎上。

 ・2014年3月、新疆分離主義者の刺傷事件で29人が死亡。

 ・同4月、ウルムチの南駅で爆弾とナイフによる攻撃。3人が死亡、79人が負傷。

 ・同5月、ウルムチの市場に2台の車が突っ込み、群衆に爆発物が投げ込まれ、少なくとも31人が死亡、90人以上が負傷。
 
 ・同7月、政府庁舎が襲撃され96人が死亡。この数日後、中国最大のモスクのイマームが刺殺される。

 ・同9月、警察署、市場、店舗の外で爆発が有り、約50人が死亡。

 BBCはこれらの一連のテロ暴力について、中国政府がETIM(中国から分離独立した東トルキスタンの建国を目指す東トルキスタン・イスラム運動)、またはそれに触発された人々を非難していることに触れ、米国務省もまた2006年に、ETIM は「ウイグル族の分離主義グループの中で最も過激」だと述べたことにも触れている。

 だが他ならぬ米国政府は、CIAのフロント組織である全米民主主義基金(NED)の助成金を通じて、新疆は中国政府に「占領」されている「東トルキスタン」であり、中国からの分離独立を目指すと公言している以下の様な多数の組織に資金を提供している。

 ・世界ウイグル会議
 ・ウイグル人権プロジェクト
 ・ウイグル人の為のキャンペーン
 ・ウイグル移行正義データベース・プロジェクト

 米国が支援する分離主義者と彼等が用いる残忍なテロリズムに対して、中国は過激主義と、そもそも住民が過激主義に陥る原因となっている貧困を根絶することによって対抗した。具体的には、徹底的な安全対策、インフラ整備、教育・訓練計画、雇用斡旋プログラム等だ。

 他方、テロを支援している米国政府は、「ジェノサイド」や「強制労働」が行われていると云う主張を口実にして、中国、特に新疆ウイグル自治区のウイグル人を雇用している中国全土の企業に対して、制裁(一方的な強制措置)を課して来た。その目的は中国経済全体に打撃を与えると共に、過激主義、テロリズム、社会不安を助長する様な社会経済状況を再び作り出すことだ。



 テロに対する2つの異なる姿勢

 西洋メディアは10年前は新疆で蔓延する暴力について公然と熱心に報道していたが、今では完全に手の平を返して、テロやテロ対策に関する全ては「中国のプロパガンダ」に過ぎないと主張している。

 テレグラフの記事は、新疆を旅行した英国人観光客が、安全対策は全ての人の安全の為だと結論付けたことに対して、それは現行のテロ対策はテロに対する「過剰反応ではない」と云う中国政府の公式説明を連想させる、と当て擦りを行っている。

 だが「過剰反応」と言えば多くの人の頭に真っ先に思い浮かぶのは米国の事例だ。2001/09/11に起こったたった1件のテロ攻撃を口実にして、米国は「グローバルな対テロ戦争」に乗り出し、同時多発テロには全く関与していなかったアフガニスタンとイラクに対して侵攻と占領を行った。また2003年侵攻前も、米国の制裁によってイラクの5歳未満の子供だけでも50万人が死亡しており、その後の戦争と占領で更に(少なくとも)100万人のイラク人が死亡した。

 中国が自国内で行っているテロ対策はこれより遙かに建設的なものだが、米国は中国に説教している最中も、中国国境のアフガニスタン側に潜伏していたテロ・グループに対して爆撃を行って来た。

 2018年のNBCニュースの記事「中国はアフガニスタンのタリバン戦闘員だけでなく、中国のウイグル過激派も標的にしている」に拠れば、米軍は、中国の分離主義テロ・グループの支援もしているタリバン過激派キャンプに対して一連の記録的な懲罰的爆撃を実施したと発表した。

 米国は中国が「100万人以上のウイグル族」を拘禁したと非難しているが、米国自身はテロへの対応として、世界中で何百万人もの人々を拷問し殺害し、数え切れぬ避難民を生み出して来た。米国のグローバル戦争で荒廃した地域は今日まで暴力と荒廃の中に打ち捨てられた儘だが、対照的に中国の新疆ウイグル自治区は繁栄している。



 自分の目ではなく、米国の嘘を信じよ………

 AP通信の2021年の記事は西洋プロパガンダ寄りに偏向してはいるが、新疆で大量強制収容所、拷問、大量殺人、「文化的ジェノサイド」の証拠は見付からなかったと認めている。代わりに見付かったのは、地元住民に堅実な雇用を提供する為の訓練プログラム、将来性の有る若いのイマームが信仰についてもっと学ぶ為に外国に渡航する為の奨学金、そして多くのモスクだった。この記事は公共の建物の周りの有刺鉄線も、軍の迷彩柄の中学の制服も、装甲兵員輸送車も姿、監視カメラも、不気味なサイレンも、全て「姿を消していた」と書いている。

 2021年の時点でそうなのだから、西洋の観光客達が目撃した様に、それ以降状況が更に改善したことは、何故テレグラフにとっては信じ難いのだろうか。

 本質的に、テレグラフとその記事が仕えている特殊利権は、公衆に、自分の目や経験を信じないよう説得し、証拠が殆ど或いは全く無いにも関わらず、彼等自身が提示する物語を信じるように仕向けようとしている。

 皮肉にも、テレグラフの記事は締め括りに、中国が「物語を掌握し支配している」と不満を述べているが、それは正に彼等自身がやろうとしていることだ。

 中国は確かに物語を掌握しようとしている。だがそれは愚直な透明性を通じてのことだ。中国は新疆ウイグル自治区を世界に向けて開放し、人々が真実を自分で見て、自分の目で見たものと西洋のメディアや米国政府が主張することとを比較対照出来るようにしているだけだ。

 嘘の上に「テロとの戦争」と称して世界中で様々な戦争を遂行して来た米国は、中国についてもまた嘘を吐いている。米国は、アフガニスタン、イラク、シリア、リビア等に対して行って来た様に、中国を弱体化させ、脅迫し、可能であれば分断して滅ぼそうとしている。

 テレグラフがやろうとしているのは、「物語」に対する支配権を再び西洋が握れるようにすることだが、西洋の信用が低下すると同時に中国の透明性が高まっていることで、そうしたことは不可能ではないにしても困難になっている。

 ウクライナで進行中の紛争の場合と同様だ。西洋は自分達が捏造した現実を世界の市民達に売り込むことが出来ないので、西洋が支配するソーシャルメディア・プラットフォーム全体では益々検閲が厳しくなっている。米国政府は既にMetaやYouTube等のプラットフォームに、ウクライナとロシアに関する米国のプロパガンダに異議を唱えるアカウントを削除するよう指示しているが、中国に関する米国のプロパガンダに異議を唱える人々が同様に沈黙させられるのは時間の問題だろう。相手が政治に関心の無い旅行ブロガー達であっても例外ではない。

 従って多極化した世界にとって、YouTubeやMeta(ロシアでは禁止されている)やXの様なものに代わるプラットフォームを開発することが、これまで以上に急務となっている。世界中の市民が情報を共有し、視聴者を増やし、活動を継続することが出来て、しかも西洋の検閲の手が届かない場所だ。

 テレグラフの様な中傷記事は、今後益々大きくなり、更に切羽詰まって来るであろう情報戦争の先触れに過ぎない。多極化した世界の政府も個人も、今後更に多くの攻撃に備えることが重要だ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
全体像が知りたい場合は「カテゴリ」の「テーマ別スレッド一覧」を参照。

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