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米国が引き起こしたロシアと中国の決済問題は、BRICS支持者の大半を驚かせた(抄訳)

2024/09/07のアンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。あらゆる規模の中国の銀行が、二次制裁を恐れて突然米国の制裁に従い始めた。これは金融多極化を牽引するBRICSが、現実には制約が伴っていることを証明している。
Russia & China’s US-Provoked Payment Problems Caught Most BRICS Enthusiasts By Surprise



 中国の銀行が米国の対ロシア制裁に従う

 2024/09/06、RTは「米国は遂にロシア最大の貿易ライフラインを断つことに成功したのか?」と云う特集分析を掲載した。書いたのは金融アナリストのヘンリー・ジョンストンだ。
Has the US finally succeeded in choking off Russia’s biggest trade lifeline?

 これは米国が引き起こしたロシアと中国との間の決済問題についての記事であり、関心の有る読者は全文読むことをお勧めする。

 その内容は要するに、あらゆる規模の中国の銀行が、二次制裁を恐れて突然米国の制裁に従い始めた、と云うものだ。



 BRICSは「反西洋ブロック」ではない

 特別軍事作戦開始以来、BRICSが反西洋ブロックであると想像して来た平均的なBRICS支持者達にとって、これは全く衝撃的なニュースだった。

 彼等は次の様な希望的観測に基付く話を数え切れない程聞かされて来た。、

 1)ドルは死んだ/もう直ぐ死ぬ。
 2)ロシアと中国は同盟国であらゆる面で共同で西洋に抵抗している。
 3)米国の主導の一極覇権秩序に代わる新しい世界秩序は既に出現している。

 しかし、そのどれもが真実ではない。

 1)対ロシア制裁の所為で評判は傷付いたが、ドルは依然として世界の準備通貨だ。
 2)ロシアと中国は米国が引き起こした決済問題に陥っている。
 3)その原因は米国の一極体制の遺産なのだから、多極秩序はまだ完全には現れていない。

 中国は西洋諸国と複雑な経済・金融的相互依存関係を結んでいるので、この点で中国の主権には一定の制約が有る。

 ロシアのラヴロフ外相もインタビューでこの点に言及している。

 「勿論、今は誰もがそうした新たな機会を求めています。ですが中華人民共和国は、その経済規模、米国や西洋全体との貿易関係の量から言って、ロシア経済よりも遙かに西洋に依存しています。

 中国がこの依存を減らし、パートナー達とのコミュニケーションを徐々にその様な命令に関連しない形に移行して行くであろうことを、私は疑っていません。

 ですが中国人の考え方、中国人のやり方からすると、彼等はこれをゆっくりと行います。急な動きは好ましくないのです。

 この話題は中国の同僚達と話し合っています。彼等はかなり発達した銀行システムを持っていますが、それはグローバルな金融市場と非常に深く結び付いています。」




 5つの教訓

 この問題についてのポイントは5つだ。

 1)ラヴロフは、BRICSの熱心な支持者達の様に、「政治的に不都合」な事実が存在することを否定していないし、隠そうともしていない。

 2)「悲観論者」の様に問題を誇張する必要は無い。ジョンソンの様に、戦略的パートナー間の微妙な論争を冷静に議論すれば良いだけだ。

 3)ラヴロフの発言はBRICSの現実を浮き彫りにしている。BRICSは、金融の多極化を加速する為に自発的に政策を調整する国々のネットワークだが、そのメンバーは構造的制約と西洋との繋がりに応じて、その範囲や速度に制限を負っている。若しBRICSが本当に「反西洋ブロック」だったなら、中国の銀行が米国の対ロシア制裁に従うことは有り得ない。

 4)インドは中国よりも西洋の圧力に強いことが証明された。多くの熱狂的BRICS支持者達はインドと米国との(問題を抱えてはいるが)密接な関係に疑いの目を向けており、インドを西洋の「トロイの木馬」ではないかと疑うインフルエンサーも居る。
 
 だがロシアのズベルバンクの副CEOはインタビューで、同社の「インドでの業務に制限は無い」ことを認めた。同社は2023年のインドとのロシアの貿易額650億ドルの内70%を取り扱っている。

 5)BRICSの支持者達は、上記4つの教訓を取り入れて世界観を再調整し、現実をより正確に反映させなければならない。



 まとめ

 米国がロシアと中国との間に決済問題を引き起こしたことは、BRICSが抱える課題を浮き彫りにした。だがそれなりに制約は有るものの、それでもBRICSは金融世界秩序を世界の多数派にとってより公平な方向に徐々に改革しつつある。

 ジョンストンの分析はこう結んでいる。

 「衰退しつつある覇権国は、まだ効果的に使える切り札を幾つか持っている———そして現在それを使っている。しかしそうする度に、それらの切り札が時代遅れになる日が近付いている。」
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
2022年3月に検閲を受けてTwitterとFBのアカウントを停止された為、それ以降は情報発信の拠点をブログに変更。基本はテーマ毎のオープンスレッド形式。検閲によって検索ではヒットし難くなっているので、気に入った記事や発言が有れば拡散して頂けると助かります。
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