西蔵に関する米国の法律:中国の学者:「拡大チベット」は歴史的に存在しなかった(抄訳)
2024/07/15のCGTNの記事の抄訳。米議会のチベット関連法について、中国メディアの解説。
"Greater Tibet"は通常は「大チベット」と訳されるが、比較級のニュアンスを強調したいので、ここでは「拡大チベット」と仮に呼んでおく。"Greater Israel"を「拡大イスラエル」と呼ぶのと同じだ。
公平を期しておくと、公式サイトの説明に拠ると、ダライ・ラマは拡大チベットを呼び掛けてはいないそうだ。
また、バイデン大統領の公式声明は、「本法は、チベット自治区及び中国のその他のチベット地域を中華人民共和国の一部として承認すると云う米国の超党派の長年の政策を変更するものではありません」と述べている。
だが法案の実際の中身を見てみると、「この法律はチベットをチベット自治区及び青海省、四川省、甘粛省、雲南省のチベット地域を含むものと定義している」とバッチリ書かれていて、中国側の説明の方が正しいことが解る。
現在のダライ・ラマ個人の思惑がどうであるか、また彼がどれだけ高い徳を積んでいるかに関係無く、米国の方としては彼を中国を不安定化させる為の政治的兵器として利用したいであろうことは明らかだ。また、ダライ・ラマと云う身分は伝統的には奴隷を所有する専制君主であり、民主主義的価値観とは全く関係が無いことも付け加えておくべきだろう。
歴史的問題については得意な方にお任せするが、米国がやっていることが中国に対する国際法違反の内政干渉であることは明らかだ。これがピンと来ない人は、例によって立場を置き換えたり一般化して考えてみれば良い。例えば日本の国境問題(これらはそもそも日本を地域内で孤立させて自分達に依存させる為に米国が種を蒔いておいたものだが)について、米議会がああしろこうしろと指図する法案を成立させたらどうだろう。それは明らかに一主権国家が他の主権国家に対してやることではない。御主人様が臣下に対してやることだ。米国はよくチベットの人権問題について中国を非難するが、中国の主権をそもそも歯牙にもかける気の無い連中が人権を気にしているフリをするなど片腹痛い。これが差別であることに気が付かないとしたら、その人自身も差別を内面化していると云うことだ。
U.S. Law on Xizang: Chinese scholar: 'Greater Tibet' never existed historically
2024/07/12、米議会で「チベット・中国係争解決促進法(Promoting a Resolution to the Tibet-China Dispute Act)」が成立した。
この法律は「拡大チベット(Greater Tibet)」と呼ばれる地域を承認し、チベットに関する中国の偽情報とされるものに対抗する活動に資金を提供するものだ。
以下、中国チベット学研究センター現代研究所所長Zhang Shigao氏の解説。
米国の西蔵関連法は、チベットを西蔵自治区だけでなく、甘粛省、青海省、四川省、雲南省のチベット地域も含むように再定義しており、これはダライ・ラマとその支持者達が主張する「拡大チベット」概念を正当化するものと見られる。
だが所謂「拡大チベット」は歴史上、存在したことは無い。
ダライ・ラマ・グループと一部の西洋勢力がこの概念を提唱する理由は、分離主義者は西蔵の元地方上流階級だけでなく、他の省のチベット人地域の首長やその子孫達も含んでいるからだ。「拡大チベット」を主張しなければ、彼等のグループは崩壊に直面することになる。
この法律はまた、米国政府とそのチベット問題特別調整官に対し、中国政府による「チベットに関する偽情報」と称するものに対抗するよう求めているが、実際にはこの法案自体が偽情報を広めている。
この法律の目的は、その名前から解る様に、「チベット・中国係争の解決促進」だが、そもそもそんな係争は起きていない。長年の発展の後、西蔵は現在、経済成長と安定した社会を享受している。様々な民族が調和して暮らしており、宗教活動の為の友好的な環境が整っている。
チベット人は中国国家の不可欠な構成員であり、彼等の歴史と発展は中国の歴史と切り離せない一部。チベット人が居住する地域は常に古代中国の境界内に在った。
以下現地報告。
65年前はこの高原地帯はまだ封建農奴社会だったが、今ではそんな昔は想像に難い。
2023年に中国が発表した白書に拠ると、今日の西蔵では極度の貧困が根絶され、人々の所得水準は急速に上昇している。
子供達は、給食・授業料・宿泊費を支払うこと無く、15年間の公費教育を受けている。
宗教的信仰と宗教活動の自由は保証されており、僧侶と尼僧には医療保険・年金・生活手当が包括的に支給されている。
"Greater Tibet"は通常は「大チベット」と訳されるが、比較級のニュアンスを強調したいので、ここでは「拡大チベット」と仮に呼んでおく。"Greater Israel"を「拡大イスラエル」と呼ぶのと同じだ。
公平を期しておくと、公式サイトの説明に拠ると、ダライ・ラマは拡大チベットを呼び掛けてはいないそうだ。
また、バイデン大統領の公式声明は、「本法は、チベット自治区及び中国のその他のチベット地域を中華人民共和国の一部として承認すると云う米国の超党派の長年の政策を変更するものではありません」と述べている。
だが法案の実際の中身を見てみると、「この法律はチベットをチベット自治区及び青海省、四川省、甘粛省、雲南省のチベット地域を含むものと定義している」とバッチリ書かれていて、中国側の説明の方が正しいことが解る。
現在のダライ・ラマ個人の思惑がどうであるか、また彼がどれだけ高い徳を積んでいるかに関係無く、米国の方としては彼を中国を不安定化させる為の政治的兵器として利用したいであろうことは明らかだ。また、ダライ・ラマと云う身分は伝統的には奴隷を所有する専制君主であり、民主主義的価値観とは全く関係が無いことも付け加えておくべきだろう。
歴史的問題については得意な方にお任せするが、米国がやっていることが中国に対する国際法違反の内政干渉であることは明らかだ。これがピンと来ない人は、例によって立場を置き換えたり一般化して考えてみれば良い。例えば日本の国境問題(これらはそもそも日本を地域内で孤立させて自分達に依存させる為に米国が種を蒔いておいたものだが)について、米議会がああしろこうしろと指図する法案を成立させたらどうだろう。それは明らかに一主権国家が他の主権国家に対してやることではない。御主人様が臣下に対してやることだ。米国はよくチベットの人権問題について中国を非難するが、中国の主権をそもそも歯牙にもかける気の無い連中が人権を気にしているフリをするなど片腹痛い。これが差別であることに気が付かないとしたら、その人自身も差別を内面化していると云うことだ。
U.S. Law on Xizang: Chinese scholar: 'Greater Tibet' never existed historically
2024/07/12、米議会で「チベット・中国係争解決促進法(Promoting a Resolution to the Tibet-China Dispute Act)」が成立した。
この法律は「拡大チベット(Greater Tibet)」と呼ばれる地域を承認し、チベットに関する中国の偽情報とされるものに対抗する活動に資金を提供するものだ。
以下、中国チベット学研究センター現代研究所所長Zhang Shigao氏の解説。
米国の西蔵関連法は、チベットを西蔵自治区だけでなく、甘粛省、青海省、四川省、雲南省のチベット地域も含むように再定義しており、これはダライ・ラマとその支持者達が主張する「拡大チベット」概念を正当化するものと見られる。
だが所謂「拡大チベット」は歴史上、存在したことは無い。
ダライ・ラマ・グループと一部の西洋勢力がこの概念を提唱する理由は、分離主義者は西蔵の元地方上流階級だけでなく、他の省のチベット人地域の首長やその子孫達も含んでいるからだ。「拡大チベット」を主張しなければ、彼等のグループは崩壊に直面することになる。
この法律はまた、米国政府とそのチベット問題特別調整官に対し、中国政府による「チベットに関する偽情報」と称するものに対抗するよう求めているが、実際にはこの法案自体が偽情報を広めている。
この法律の目的は、その名前から解る様に、「チベット・中国係争の解決促進」だが、そもそもそんな係争は起きていない。長年の発展の後、西蔵は現在、経済成長と安定した社会を享受している。様々な民族が調和して暮らしており、宗教活動の為の友好的な環境が整っている。
チベット人は中国国家の不可欠な構成員であり、彼等の歴史と発展は中国の歴史と切り離せない一部。チベット人が居住する地域は常に古代中国の境界内に在った。
以下現地報告。
65年前はこの高原地帯はまだ封建農奴社会だったが、今ではそんな昔は想像に難い。
2023年に中国が発表した白書に拠ると、今日の西蔵では極度の貧困が根絶され、人々の所得水準は急速に上昇している。
子供達は、給食・授業料・宿泊費を支払うこと無く、15年間の公費教育を受けている。
宗教的信仰と宗教活動の自由は保証されており、僧侶と尼僧には医療保険・年金・生活手当が包括的に支給されている。
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