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ニュージーランドの調査で20万人が国家や宗教団体の養護施設で虐待を受けていたことが判明(抄訳)

2024/07/24のアル=ジャジーラの記事の抄訳に少し補足した。2024/07/24に発表されたニュージーランドの報告書は、約70年間で約20万人が、国や宗教団体の養護施設で虐待を受けていたことを明らかにしている。

 度々指摘している様に、人種差別や優生学イデオロギーに基付く断種や強制不妊は決して過去のものではなく、現在進行形の極めてアクチュアルな問題だ。「劣った存在は人間として扱わなくて構わない」、「価値の無い人間には尊厳を認める必要は無い」、「利益の最大化に貢献しない者には権利は無い」———こうした発想は新自由主義や帝国主義、植民地主義と極めて親和性が高いので、同様の事例なら幾らでも見付かる。所謂「リベラリズム」に関しても同様で、歴史的に言って特に経済的自由主義は各種平等主義とは折り合いが悪く、人の間に優劣を付けたがる傾向が強い。現在のキャンセル文化やロシア拒絶症ははそうした傾向が過激化して行き着いた果てだとも言える。他者に対する想像力や共感力を自分から放棄しようとするのは所謂「右派」の特権ではない。

 ここ4年は世界的な遺伝子ワクチン接種運動の背後に有る隠された動機として優生学が度々指摘されているが、それを抜きにしたとしても、人の間に優劣をつける思想は、時に極めて危険で非人道的な結果を齎すことが珍しくない。従って私は標的が誰が誰であろうと、他者を非人間化しようとする試み全般に対して、原則の問題として反対する。「他者に対する想像力を自ら放棄するのは不道徳である」と云うのが私の基本的な立場であって、「我々」と云うカテゴリーの適用範囲の最大化(「黄金律の普遍化」とでも言おうか)に努めることを止めてしまった瞬間から、私達はファシストになる。こうした姿勢をどう呼んでも構わない、それは二次的な問題だ。
New Zealand inquiry finds 200,000 abused in state and religious care




 2024/07/24、ニュージーランドの養護施設に於ける虐待に関する王立調査委員は、6年間の調査の後、1950〜2019年に国や宗教団体の養護施設に居た人の約3人に1人が。「国の恥(national disgrace)」に相当する虐待を経験していたとする最終報告書を発表した。約20万人の子供、若者、社会的弱者に対する虐待が約70年に亘って続いて来たことになるが、報告書は「この不正が解決されなければ、我が国の国民性に永遠に汚点として残るだろう。」と断った上で、以下のことを明らかにしている。

 性的虐待は「日常的」に行われており、虐待者は保護下に置かれた人々を手懐け、生存者を一般市民に人身売買する事例も有った。

 身体的虐待は「あらゆる場面で蔓延」しており、スタッフの中には「武器や電気ショックを使って可能な限りの苦痛を与えようとする過激な行動」を取る者も居た。

 虐待とネグレクトは「殆ど常に」行われており、入所初日から退所するまでずっと続いた。

 マオリと太平洋諸島の人々は、文化遺産や慣習への関与を妨げられる等、民族性を理由に標的にされた。「これらの(施設の)指導者達には、人々を育て、保護し、豊かな生活を送ることを助ける義務が有った。彼等はその義務を怠った」と報告書は非難している。

 王立委員会は2,300人以上の虐待被害者達と面談し、虐待者の責任追及を容易にする法改正や養護省の設立等、130以上の勧告を行った。

 ニュージーランドのクリストファー・ルクソン首相は、この報告書は国の歴史の中で「暗く悲しい日」の記録を残すことになったと発言した。

 「国として、何が起こったのか厳しい真実を明るみに出して理解し、共に前進しようとすることが重要です。………生存者の方々に言いますが、この重荷はもうあなた方一人で背負うべきものではありません。」

 ルクソンは、政府は報告書の勧告に取り組み、11月に生存者達に公式に謝罪すると述べた。



 虐待の中には本人の同意を得ない強制不妊措置も含まれていたが、西洋の報道では余り大きく扱われておらず、「強姦、不妊手術、電気ショック」などと、他の虐待と一緒に簡単に触れられているだけだが、日本では優生保護法に基付く強制不妊問題に再び注目が集まっていた時期だった所為か、「先に日本でも問題となった強制不妊手術が行われていたことも確認された」と特に読者の関心を引いている。
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川流桃桜

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