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2023.12/06 [Wed]
第4章 どんな「リンチ」があったのか?

さらに立花氏は「鑑定書によると、これらの傷は生前に受けた、つまりリンチによる傷だとされている。これだけの傷を与えるのに、どんなリンチをしたのか、宮本氏にたいする判決では、前記のとおり比較的簡単にしか描写されていないが、袴田氏、秋笹氏にたいする判決では、もっと共犯関係者の内容を引用して、同一事実についてその場面を詳しく書いている」として、判決文にある逸見の供述を引用しています(212~213ページ)。
なんで「生前に受けた傷」が、つまり「リンチによる傷」に飛躍するのかわかりませんが、引用した中身を読むともっと驚かされます。中身を要約しましょう。
<12月23日午後1時頃より査問をはじめた。
いちばん最初に宮本と袴田が小畑を脅して訊問にはいったが、宮本、袴田、秋笹の三名は小畑を打ったり、撲ったり蹴ったりし、秋笹は「なぜウソを言うか」といって薪割用の小さな斧で、小畑の頭をこつんと叩いたこともあった。
小畑の訊問を一応終わり、三名は小畑に目隠し、猿ぐつわをはめ、耳にもつめたと思う。小畑は査問中両手を後ろにまわし針金となわで縛られ、足も同じようにぐるぐるまわしでしばられたままだった。
翌24日は午前9時半頃に会場についた。窓は黒い布で覆い、小畑は押入からだされ頭に黒布をおおわれてしばられていた。それをみて前夜相当厳しい査問がおこなわれたことを想像した。
袴田がきて、宮本、秋笹、木島、自分の5人で小畑の査問をした。
袴田は殴りつけたり、宮本は「警察の拷問はこんなものではない」とおどし、木島が「自白すれば命は助けてやるから言ってしまえ」というと、小畑は「一層ひと思いに殺してくれ」と叫んだ。
秋笹は「共産主義者はウソはいわない。助けるといったら助けるから言ってしまえ」といい、自分も小畑を2、3回蹴飛ばした。
さらに、午後1時頃より査問のなかで、自分が知る限りもっとも残酷な査問がおこなわれた。
まず宮本、袴田、木島、秋笹が小畑をとりかこんで脅していたが、秋笹が火鉢の火を挟んできたので、自分はこれは「やるんだなー」と思って立ち上がって小畑のそばにいった。
小畑はこの時、足を投げ出して座っていたが、肩のあたりを動かないように宮本が押さえつけ、両脇には袴田と木島がいた。秋笹が小畑の両足の甲に火をのせると、小畑は「熱い」と叫んで足をはねると火は付近に散乱して畳を焦がした。
この間「どうだ白状するか、言うか」とみんなで責めた。
またそのとき、小畑を長く寝かせて押さえつけ、木島が小畑の胸腹のところをひろげ、硫酸の瓶を押しつけて「そら硫酸を付けたぞ、流れるぞ」といって脅かした。
袴田が小畑のズボンをはずして、みんなで股を押さえつけ、締めたり殴ったりすると、小畑は「言うから待ってくれ」と言うので手をはなしてきくと、まとまったことを言わないのでまたみんなでいじめるという風にした。
この間、木島は硫酸の瓶の栓をはずし、小畑の下腹に硫酸をたらたらとたらした。
硫酸の付着した部分はすぐに一寸幅位に赤くなり、少しすると熱くなったと見え小畑は悶えはじめた>
すごい!残酷なリンチ!!(爆笑)
立花氏は、宮本氏をのぞく他の関係者の供述はこの事実関係でほぼ一致しているとして、判決は下されたとしています。ここに立花氏の特高史観ぶりがハッキリと顔を見せています。
真実は関係者の供述の多数決できまるもんじゃあありません。供述はそれを裏付ける証拠があって信憑性をもつものです。
ところが、「一寸幅の硫酸傷」「両足甲のやけど」をつけたとする逸見供述を裏付ける証拠は、「宮永鑑定」の解剖検査記録にもでてきません。
これは1934年1月15日、大泉が麻布鳥居坂署にかけこんで、即日警視庁から発表された「党内派閥の指導権争いによるリンチ殺人事件」「硫酸をあびせ錐で刺す、4日がかりの小畑殺」という「特高シナリオ」にもとづく、密室の取り調べに迎合して関係者の一人である逸見重雄がのべたことを鵜呑みにしているにすぎません。
このシナリオは、1月18日の「東京日日新聞」で「小畑の死体解剖の結果、錐で突き刺した跡も硫酸をかけた形跡もなく、錐傷と見られたのも過り…」とくつがえされたもので、あわてた特高警察が、記事差し止め、報道禁止を命じた代物です。
これをおどろおどろしく書き連ねる立花氏の歴史観を特高史観と言わずして、何を特高史観というのでしょうか。
しかも、この「事実関係」について「ほかの関係者の供述も一致している」とのべているがこれも真っ赤なウソである。24日午後1時すぎに硫酸を小畑に垂らしたとされた木島は「自分は徹夜明けだったので寝ていた」と供述し、宮本氏も「木島といっしょに炬燵で眠った」と公判でのべている。炭団を押し付けたという秋笹には具体的な供述がなく、袴田も逸見のいうような暴行を働いたとの供述はありません。
立花氏は、一般的には手に入りにくい事件の判決や調書をいいことに読者にウソをついているのです。こんなもので真実をゆがめられたらたまりません。
警察べったりの宮永鑑定にすら否定された代物を「審理せずとも、最初から判決文が書ける」暗黒法廷の判決文に書かれているというだけで(しかも一人だけ!)、「これが真実だ」と叫びたてる。こんなものを「真実」といえる人は「治安維持法マインドコントロール」に毒された頭の持ち主だけでしょう。
頭以外の小畑の傷についていっておくと、解剖検査記録に記載されているものは米粒サイズから胡桃サイズの皮下出血が20個前後、鶏卵サイズが1個とその他3、4ヵ所に皮がむけたところがあるだけの「軽微なもの」です。これがどうやってついたのか。宮本氏は公判のなかで、押入れから出し入れされたときに敷居などでつけたものだろうとのべています。
さらにわたしは、すべてがすべて23日、24日につけたわけではないと思います。皮下出血はさわってみて痛みを感じる程度のものだから、会場に来る前に小畑がつけたものだってある。逃亡をはかって取り押えられたわけだから、そのときついたものもある。しかしこれらをもってリンチがあったというのはまったくの見当違いでしょう。
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