長寿命の屋上防水(4)ポリオレフィン樹脂を使用したシート防水
長寿命の屋上防水の工法について、どのような工法があって、それぞれどのような特徴があるのか調べています。今回はポリオレフィン樹脂を使用したシート防水について調べ、メモ書きしました。
(1)ポリオレフィン樹脂を使用したシート防水の高耐久性
1)可塑剤フリー
●従来の弾性防水材
・可塑剤が大量に配合されているが、この可塑剤には樹脂となじむ性質である相溶性があり、これが配合された樹脂からの他の素材への移行を招き、樹脂の硬化や収縮を引き起こす。
→屋上防水材中の可塑剤は徐々に雨水等へ移行し防水材の硬化や収縮の原因となる。特に高温時にこの現象が起こりやすくなる。
●ポリフィン
・素材自体に大きな弾性があるため可塑剤が含まれておらず、経年で弾性の低下が起こらない。
2)不飽和結合、加水分解ゼロ
・ポリオレフィン樹脂は炭素同士の多重結合がない飽和化合物で、飽和化合物は化学的に安定し水や酸との反応が起きない。
・屋上の水溜まりは、加水分解の現象により強度が低下するが、ポリオレフィン樹脂は加水分解せず、水溜まりを気にする必要がない。
●アスファルト
・アスファルトは天然物であるため炭素同士の多重結合のある不飽和化合物。
・多重結合の量は製品毎にバラつきがある。
●ポリ塩化ビニル
・製造時には不飽和結合はないが、経年で脱塩酸という現象が起こると不飽和結合ができ急速に劣化が起こる。
・金属との接触や高温により脱塩酸は促進される。
3)耐紫外線性
・最先端の紫外線吸収剤(UVA)と光安定剤(HALS)が配合されている。
・紫外線の光化学反応が全くなく、経年劣化しない。
●紫外線吸収剤(UVA)
・紫外線には強い化学的作用があり、有機物の分子結合を開裂し劣化させる(光化学反応)ため、樹脂の退色、クラックの発生、抗張力及び伸びの低下など防水性を低下させる様々な現象が起こる。
・紫外線吸収剤は光化学反応を防止する代表的な添加剤で、紫外線光子のもつエネルギーを無害な熱、光、振動などに変換し放出することにより有機物を基底状態に保つ作用がある。
●光安定剤(HALS)
・紫外線吸収剤だけでは防ぎきれない光化学反応を無害化する働きのある添加剤を光安定剤という。
・紫外線吸収剤と相乗作用があるため通常併用される。
4)通気性
・通気性があり、脱気装置は不要。
(2)カスター社のポリフィン
1)工法
●カバー工法
・既存の防水層を撤去しない機械固定カバー工法。
・下地の状態を問わない。
●防水層の機械固定
〇専用スパイク
・通常のビスは緩む方向に力が加わり、プラグビスはプラグが潰れることにより引抜強度が経年で低下してしまうが、ポリフィン専用スパイクは長期間高い引抜強度を保持する。
〇鍛造処理
・スパイク、 ディスクとも動きや大きな温度変化のある屋上に対応するため鍛造処理されたバネ性の高い鋼材を使用。
2)25年間防水保証
①施工後0~10年
・施工1、3、5年後に定期点検。
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
②施工10年後:小規模メンテナンス
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
・併用するシール材及びウレタン防水の再施工(有償)
③施工15年後
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
④施工20年後:小規模メンテナンス
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
・併用するシール材及びウレタン防水の再施工(有償)
⑤施工25年後:保証完了
・施工状態をチェックし保証を完了する(無償)。
(3)カシワバラ Kプラスルーフガード30
1)工法
●機械固定カバー工法
・既存防水層を撤去せず、その上に専用固定具で、部分的にシートを固定するワンピース式の機械固定カバー工法。
・ポリオレフィン樹脂に、最先端の紫外線吸収剤と光安定剤を配合し、国際規格である2mmの厚みを持つ防水シート。
●防水層の機械固定
〇専用固定部品
・鍛造処理したバネ性のある高強度な専用部品で防水シートを固定。
〇ディスク
・鍛造処理したバネ性のあるディスクは、アールがかった形状は接地面が少なく、風圧力がかかっても反り返らない。
〇スパイク
・鍛造処理したバネ性のある高強度なスパイクの形状は、スクリュー型ではなく風圧力がかかっても緩む力が加わらないように設計。
※一般的な塩ビシート機械固定の固定はプラグビス。溝のあるスクリュー型であるビスは、風圧力で徐々に回転し緩み、プラスチック樹脂のプラグは経年劣化する。
●笠木部分
〇笠木用専用鋼板
・亜鉛めっき鋼板の表面にポリオレフィン樹脂1㎜を特殊コーティング。
・専用鋼板とシートは熱溶着で固定。
〇ポリオレフィン両面テープ
・専用鋼板と躯体のすき間を強固に埋め、経年劣化が少なく、剥離しない。
・ドリルで穿孔しても、穴径は広がらない。
●立上がりのアゴがある場合
・既存アゴ下防水層を撤去せず、アゴした下地調整材を埋設する。
・既存防水層を撤去しないため、工事中の仮防水下での降雨による漏水リスクを回避できる。
●溶着部
・熱溶着で均一に溶着させ、ジョイント部のシートを完全に一体化させる。
・一般的な施工方法である接着剤を使用しないため、接着剤の経年劣化によるジョイント部の剥離が少なく漏水の心配がない。
(1)ポリオレフィン樹脂を使用したシート防水の高耐久性
1)可塑剤フリー
●従来の弾性防水材
・可塑剤が大量に配合されているが、この可塑剤には樹脂となじむ性質である相溶性があり、これが配合された樹脂からの他の素材への移行を招き、樹脂の硬化や収縮を引き起こす。
→屋上防水材中の可塑剤は徐々に雨水等へ移行し防水材の硬化や収縮の原因となる。特に高温時にこの現象が起こりやすくなる。
●ポリフィン
・素材自体に大きな弾性があるため可塑剤が含まれておらず、経年で弾性の低下が起こらない。
2)不飽和結合、加水分解ゼロ
・ポリオレフィン樹脂は炭素同士の多重結合がない飽和化合物で、飽和化合物は化学的に安定し水や酸との反応が起きない。
・屋上の水溜まりは、加水分解の現象により強度が低下するが、ポリオレフィン樹脂は加水分解せず、水溜まりを気にする必要がない。
●アスファルト
・アスファルトは天然物であるため炭素同士の多重結合のある不飽和化合物。
・多重結合の量は製品毎にバラつきがある。
●ポリ塩化ビニル
・製造時には不飽和結合はないが、経年で脱塩酸という現象が起こると不飽和結合ができ急速に劣化が起こる。
・金属との接触や高温により脱塩酸は促進される。
3)耐紫外線性
・最先端の紫外線吸収剤(UVA)と光安定剤(HALS)が配合されている。
・紫外線の光化学反応が全くなく、経年劣化しない。
●紫外線吸収剤(UVA)
・紫外線には強い化学的作用があり、有機物の分子結合を開裂し劣化させる(光化学反応)ため、樹脂の退色、クラックの発生、抗張力及び伸びの低下など防水性を低下させる様々な現象が起こる。
・紫外線吸収剤は光化学反応を防止する代表的な添加剤で、紫外線光子のもつエネルギーを無害な熱、光、振動などに変換し放出することにより有機物を基底状態に保つ作用がある。
●光安定剤(HALS)
・紫外線吸収剤だけでは防ぎきれない光化学反応を無害化する働きのある添加剤を光安定剤という。
・紫外線吸収剤と相乗作用があるため通常併用される。
4)通気性
・通気性があり、脱気装置は不要。
(2)カスター社のポリフィン
1)工法
●カバー工法
・既存の防水層を撤去しない機械固定カバー工法。
・下地の状態を問わない。
●防水層の機械固定
〇専用スパイク
・通常のビスは緩む方向に力が加わり、プラグビスはプラグが潰れることにより引抜強度が経年で低下してしまうが、ポリフィン専用スパイクは長期間高い引抜強度を保持する。
〇鍛造処理
・スパイク、 ディスクとも動きや大きな温度変化のある屋上に対応するため鍛造処理されたバネ性の高い鋼材を使用。
2)25年間防水保証
①施工後0~10年
・施工1、3、5年後に定期点検。
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
②施工10年後:小規模メンテナンス
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
・併用するシール材及びウレタン防水の再施工(有償)
③施工15年後
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
④施工20年後:小規模メンテナンス
・必要に応じ手直しを行う(無償)。
・併用するシール材及びウレタン防水の再施工(有償)
⑤施工25年後:保証完了
・施工状態をチェックし保証を完了する(無償)。
(3)カシワバラ Kプラスルーフガード30
1)工法
●機械固定カバー工法
・既存防水層を撤去せず、その上に専用固定具で、部分的にシートを固定するワンピース式の機械固定カバー工法。
・ポリオレフィン樹脂に、最先端の紫外線吸収剤と光安定剤を配合し、国際規格である2mmの厚みを持つ防水シート。
●防水層の機械固定
〇専用固定部品
・鍛造処理したバネ性のある高強度な専用部品で防水シートを固定。
〇ディスク
・鍛造処理したバネ性のあるディスクは、アールがかった形状は接地面が少なく、風圧力がかかっても反り返らない。
〇スパイク
・鍛造処理したバネ性のある高強度なスパイクの形状は、スクリュー型ではなく風圧力がかかっても緩む力が加わらないように設計。
※一般的な塩ビシート機械固定の固定はプラグビス。溝のあるスクリュー型であるビスは、風圧力で徐々に回転し緩み、プラスチック樹脂のプラグは経年劣化する。
●笠木部分
〇笠木用専用鋼板
・亜鉛めっき鋼板の表面にポリオレフィン樹脂1㎜を特殊コーティング。
・専用鋼板とシートは熱溶着で固定。
〇ポリオレフィン両面テープ
・専用鋼板と躯体のすき間を強固に埋め、経年劣化が少なく、剥離しない。
・ドリルで穿孔しても、穴径は広がらない。
●立上がりのアゴがある場合
・既存アゴ下防水層を撤去せず、アゴした下地調整材を埋設する。
・既存防水層を撤去しないため、工事中の仮防水下での降雨による漏水リスクを回避できる。
●溶着部
・熱溶着で均一に溶着させ、ジョイント部のシートを完全に一体化させる。
・一般的な施工方法である接着剤を使用しないため、接着剤の経年劣化によるジョイント部の剥離が少なく漏水の心配がない。