〜揺られ揺られる、日々の思いを、君へ、あなたへ〜
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-題詠100首2024を完走いたしました- 

2024, 10. 17 (Thu) 03:54

今年は久しぶりに題詠100首を完走いたしました。

今年は、ゆったりとマイペースに時間をかけて完走できたように思います。

今年も一年を通して、陰に日向に、ありがとうございました。

短歌そのものとの向き合い方も、数年前に地元の歌人会に入会したり、今年からは、ご縁があって、地元の短歌教室に通い始めたり、様々な変化のある昨今の日々です。

そうした一つ一つのご縁が、より自身の短歌を味わい深いものにしてくれていることを、我がことながら、実感しております。

題詠100首は、Facebookの公開グループとして開催されており、その会場にて、それぞれの作品は見ることができます。

以下、今年の100首となります。

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2024-001:言
言の葉の魔力を侮りなさんなと心のどこかで歌人の住まう

2024-002:置
傍らの濡れた木製の傘置きにしっかり居場所を見つけたらしい

2024-003:果
へらへらと笑って過ごした成れの果て鉛筆消しゴム黒板と雨

2024-004:吸
人ごみの汚いワクチン吸い込んでいよいよ世界を愛してしまう

2024-005:大切
手のひらにぎゅっと握りしめていたこと忘れなの花の枯れる大切さ

2024-006:差
ライバルに差をつけてやれオーディオの変換プラグを新しくした

2024-007:拭
からがらのよからぬ噂を払拭しきれない日暮れの吾ここに帰す

2024-008:すっかり
寒空もすっかり小春となりまして芽吹きの季節と呼ばれる頃に

2024-009:可
春雨の降るは季節の可否を問うこのまま冬を閉じるでしょうか

2024-010:携
トレンドの小さな電話を携えて孤独を尚さら背中に纏う

2024-011:記
はかりごと心のありかを記したらテレパシーでもいい声にして

2024-012:ショック
あのときはショックでしたと他人事のようにあなたを透明にした

2024-013:屈
さすればと逃げつ追われつ鬱屈をいよいよ未来に投げかけようか

2024-014:外国
絵空のような外国の風刺画をそっと己の恥じらいとする

2024-015:見
あの人をよく見てみればあの人はよくよくわたしを見つめていたり

2024-016:叡
ある人の叡智を称えるある人はそのままある人の晩年を見送る

2024-017:いとこ
あの人のいとこみたいと言われおり涼しげな顔をしてもありなん

2024-018:窮
人生の今この場所が窮地だと我が身をつねり羽ばたけよほら

2024-019:高
あの向こう光の射しているところ高望みですか希望でしょうか

2024-020:夢中
今ひとつ夢中になれない幻想をいちいち現実に落とす暮らし

2024-021:腰
あの人とあの人が腰を振っている傍らで吾は和歌を詠もうか

2024-022:シェア
あの人の軽口を君とシェアしたら孤独の魂こそこそ震え

2024-023:曳
暗闇に乗り出す船を曳いている君はどこかにきちんと向かう

2024-024:裏側
あの人の汚い素ぶりの裏側で心やさしいこと知られてる

2024-025:散
いつだって散々な日々を過ぎてきた夜風にあたれば小春の星も

2024-026:頁
あの人の人生の一頁にはわたしの名前は書かれていない

2024-027:おでん
今度また一緒におでんでもどうですかあまりに不器用な誘い文句

2024-028:辞
あの人はお世辞にもいい人でなしそこがまた尚のこと尊し

2024-029:金曜
あゝ月夜それは金曜の夜のこと始まりのような終りのような

2024-030:丈
空をみて身の丈に合わぬ夢をみた現実的な空想のあと

2024-031:けじめ
闇月夜けじめをつけたら星空にきらりと光るような気がした

2024-032:織
錦織のサーブが光る八月に絶妙な間合いの影を連れて

2024-033:制
ぼんやりと規制されたる人生の片道切符で往復したい

2024-034:感想
それはもう誰かの感想だとしても季節の変わり目に吾は生きる

2024-035:台
真っ黒な闇夜の台車に乗っかって未来の何かを教えてほしい

2024-036:拙
拙者には御婦人方の思惑はわからず知らずの他人で在れる

2024-037:ゴジラ
若き日にゴジラのゲームを百円でプレイしていたスーパー跡地

2024-038:点
あの日から点と点とを繋ぐよう歩んできたのはしがらみの日々

2024-039:セブン
追いかけたセブンイレブンを行き過ぎる君は笑顔でローソンに待つ

2024-040:罪
この浮きの世の中を愛す罪人の苦手なコーヒーカフェラテと成す

2024-041:田畑
耕した田畑も無下に踏みつけにされる毎日のくり返す日々

2024-042:耐
患難と忍耐の先によく練りに練られた品性と紅いフィラメント

2024-043:虫
どうしても虫の居所がわるいのか背中を刺した藪蚊が笑う

2024-044:やきもち
やきもちを焼いたギターが密やかな歌曲を奏でる糸口となり

2024-045:桁
三桁のウッドベースを弾いていた彼はいつでも光で在れる

2024-046:翻訳
あなたへの怒りを翻訳してくれた彼は今でも草原に立つ

2024-047:接
あまりにも丁寧すぎる接客をショーウィンドウが冷やかしていた

2024-048:紐
手繰り寄せた小さな紐を心の中の一番大事なところにしまう

2024-049:コロナ
我々にとって何より大切な瞬間はこのコロナ禍の真ん中にある

2024-050:倍
やられたら倍返しだと言う人の八倍くらいのやさしさをあげる

2024-051:齢
年齢なんて気にしないよと言う人の気にする余命を教えてあげない

2024-052:圧力
蒼白の心にかかる圧力はやがて小降りの雨となろうか

2024-053:柄
春の日に柄にもないと無視をした桜木が少し色めいていた

2024-054:朧
あの人の記憶も確かに朧げな四年と三月の日々を思えば

2024-055:データ
無機質なデータをこつこつ集めては未来の自分の日々を占う

2024-056:紋
世界図にまだらの波紋を広げては我一陣の夏風となる

2024-057:抑
どこまでも抑えつけられた感情をコロナ禍のせいにできればよしと

2024-058:反対
争いに反対しているあの人は小さな小言をくり返してる

2024-059:稿
まっさらな原稿ならばこれからはいかようにもなる新作の初稿

2024-060:ユーロ
あなたなら円でもドルでもユーロでも手品のように失くしてくれる

2024-061:老
漆塗りのお椀をゆっくり傾けて初老の小さな責務を果たす

2024-062:嘘つき
嘘つきと呼ばれて裏垢を表のアカウントとしてぶち上げてやる

2024-063:写
あのときの記憶を写した一枚の写真が残した黄昏の日々

2024-064:素敵
裏庭の小屋で話したあの人は今でも素敵な追憶の人

2024-065:家
いつからか知らない人の家をみて夕飯のときを想像してみる

2024-066:しかし
哀しみは黄昏のようでいやしかしやさしい明かりを灯してくれた

2024-067:許
あの人の乱れた風紀を今さらに許しているかと問いかける夜

2024-068:蓋
真っ直ぐに歩いてきたような気がして蓋を閉じてはまた開きかけ

2024-069:ポテト
半生のポテトをケチャップ増し増しで嬉しい予感の白シャツに落つ

2024-070:乱
この浮きの世の中といえば乱世の激しい人々をパスでかわす

2024-071:材料
この秋の音楽なんかの材料に金木犀などいかがでしょうか

2024-072:没
いつからか没個性だと囃されて輪郭だけの友人となる

2024-073:提
最高の提案をしよう八月は冬となるには早いだろうか

2024-074:うかつ
あのときはうかつだったね七月の終わりに夏を見つけようなんて

2024-075:埒
いつまでも埒のあかない中傷をじっくり見つめて抱きしめている

2024-076:第
絶世の落第点をつけられていよいよ明るい未来を見たり

2024-077:オルガン
夕凪の電子オルガンを聴きながら未来と小さな過去を愛でれば

2024-078:杯
いつになく小さな未来の祝杯を回転テーブルの前で笑う

2024-079:遺
あの人の遺品を整理していたら私も遺品なのかしらんと

2024-080:なかば
俺たちはいつでも決まって夢なかば延長戦を続けてみようか

2024-081:蓮
郊外のあの公園の蓮の花それはどちらかと言えばひと雨

2024-082:統一
巷では統一性がないと言われてる私の自我を教えてほしい

2024-083:楼
密やかに夢を見ていた楼閣はいやでも記憶を綺麗に保つ

2024-084:脱
あれからは脱力できておりますか秋風のような涼しさのなか

2024-085:ブレーキ
あくせくとブレーキを磨く夕間暮れいずれ勢いよく踏むために

2024-086:冥
この頃の暮らしを冥土の土産にはなかなかどうして日が暮れすぎる

2024-087:華やか
ともすれば華やかな世界ばかりを抱きしめそうでふと手を止める

2024-088:候
爽やかな気候の季節となりました真夏の夜の夢を忘れて

2024-089:亀
歩めども歩めども亀の歩みだと愚痴ることなく歩みなさいよ

2024-090:苗
この日々の小さな苗を植えるにはいささか季節は爽やかすぎた

2024-091:喪
さみしくも喪に服している秋の日に郵便ポストは姿を消した

2024-092:休日
誰からも音沙汰もない休日に秋の夜風を感じてみたい

2024-093:蜜
あの人のさみしさならば蜜の味にやにや笑える虚しさのあと

2024-094:ニット
飴色のニットを着ているあの人は数年前にもこの町にいた

2024-095:祈
誰の目にも明らかなのにと囃されて今でもわたしは光りに祈る

2024-096:献
この町に貢献してると思えないそれでも二円の募金はしたし

2024-097:たくさん
もうたくさんもうたくさんだと笑われて春には日傘を雨傘にした

2024-098:格
秋の空それは夜空の月影に格別な冬の風など感じた

2024-099:注
ワインレッドの舞台袖から見る景色そっと注意を逸らして逃げた

2024-100:思
鈍色のスポットライトの向こうには思い思いの暮らしがみえた


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