二級建築士 平成26年度 学科III(建築構造)解答解説⑤
平成26年度 学科III (建築構造) ー5/5
[ No.21 ]
セメントとそれを使用するコンクリートとの組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
1.早強ポルトランドセメント
ー マスコンクリート
2.低熱ポルトランドセメント
ー 高強度コンクリート
3.中庸熱ポルトランドセメント
ー 高強度コンクリート
4.フライアッシュセメントB種
ー マスコンクリート
5.高炉セメントB種
ー 海水の作用を受けるコンクリート
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
早強ポルトランドセメントは発熱が多いので、マスコンクリートには不適である。
2.◯
低熱ポルトランドセメントは長期強度が優れており、高強度コンクリートに適している。
3.◯
中庸熱ポルトランドセメントは、乾燥収縮が小さい。硫酸塩に対する抵抗性が大きい。長期強度が優れているなどの特徴があり、高強度コンクリートに適している。
4.◯
フライアッシュセメントは、フライアッシュ(石炭灰)を使用したセメントで、流動性に優れており単位水量が低減できるという特徴がある。マスコンクリートに適している。
5.◯
高炉セメントB種は、高炉スラグを 30%を超え 60%以下の比率で混合したセメントで、水を浸透させにくく、硫黄塩にも強いという特徴がある。海水の作用を受けるコンクリートに適している。
[ No.22 ]
コンクリートの一般的な性質等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.コンクリートの圧縮強度は、水セメント比が大きいものほど低い。
2.コンクリートのヤング係数は、圧縮強度が高いものほど大きい。
3.コンクリートの中性化速度は、圧縮強度が低いものほど大きい。
4.コンクリートの調合管理強度は、設計基準強度よりも小さい。
5.コンクリートの短期許容圧縮応力度は、設計基準強度に 2/3を乗じた値である。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
設問のとおりである。水セメント比は、セメントに対する水の質量百分率で表され、水セメント比が大きくなると、コンクリートの強度が低下する。
2.◯
設問のとおりである。ヤング係数が大きいほど、強度は高くなる。
3.◯
設問のとおりである。
4.×
コンクリートの調合管理強度は設計基準強度よりも大きい。
一般的に、設計基準強度 Fcに対して、構造体強度補正値mSnを加えた値
Fc + mSn を調合管理強度とする。
5.◯
設問のとおりである。
[ No.23 ]
鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.鋼材は、瞬間的に大きな負荷がかかったり、低温状態で負荷がかかったりすると、 脆性破壊しやすくなる。
2.鋼材の比重は、アルミニウム材の比重の約3倍である。
3.長さ 10mの棒材は、常温においては、鋼材の温度が 10°C上がると長さが約 1mm 伸びる。
4.一般の鋼材の引張強さは、温度が 200~300°C程度で最大となり、それ以上の温度になると急激に低下する。
5.鋼材を焼入れすると、硬さ・耐摩耗性が減少するが、粘り強くなる。
答え
5
[ 解答解説 ]
1.◯
脆性破壊とは、ほとんど変形せずに突然破壊することである。鋼材は、瞬間的に大きな負荷がかかったり、低温状態で負荷がかかると脆くなり、脆性破壊しやすくなる。
2.◯
鋼材の比重はmアルミニウム材の比重の約3倍である。
3.◯
設問のとおりである。
4.◯
鋼材に引張強さは、約200〜300℃で最大で、約500℃になると半減する。
5.×
鋼材を焼入れすると、硬さ・耐摩耗性が増大し、脆くなる。
[ No.24 ]
ガラスに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.倍強度ガラスは、フロート板ガラスの2倍以上の耐風圧強度を有する加工ガラスで、 加工後の切断はできない。
2.型板ガラスは、ガラスの片側表面に型模様を付けたガラスで、光を柔らかく拡散し、建築物の間仕切りや家具などの装飾用などとして使用される。
3.合わせガラスは、通常、2枚の板ガラスを専用のスペーサーを用いて一定の間隔に保ち、その内部の空気を乾燥状態に保ったガラスで、フロート板ガラスに比べて、断熱効果が高い。
4.熱線吸収板ガラスは、鉄、ニッケル、コバルトなどを加えたガラスで、太陽光線中の熱線を吸収するため、室内の温度上昇を抑える効果がある。
5.強化ガラスは、ガラスを 650~700°Cに加熱して均等に急冷したもので、フロート板ガラスの約 3~5倍の強度を持ち、割れても破片は鋭角状にならない。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
設問のとおりである。強化ガラスと同様に、加工後の切断はできない。
2.◯
型板ガラスは、片側表面に凹凸があるガラスで、光をやわらかく室内全体に採り入れることができると同時に、視界を遮ることもでき、装飾性があるため、室内の間仕切や食器棚の表面などに使われる。
3.×
合わせガラス(laminated glass)とは、複数の板ガラスの間に樹脂などの中間膜を挟み、接着したガラスである。耐貫通性・耐衝撃性に優れ、割れた際の飛散も起きにくい。
4.◯
熱線吸収板ガラスはガラスの原料に微量の鉄。コバルトなどの金属を加えたもので、太陽の日射エネルギーを吸収する。室内に差し込む日射量を抑え室内温度の上昇を抑えることができる。
5.◯
強化ガラスは、板ガラスを約700℃まで加熱した後、急冷したもので、同じ厚さのフロート板ガラスの3〜5倍の強度がある。また、割れた場合にはガラスが小さな粒状になるため、ケガをする危険性が低い。
[ No.25 ]
建築材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.ロックウールは、吸水しても断熱性能が低下しないので、湿度の高い場所においても断熱材として用いられる。
2.花こう岩は、耐久性に優れているので、外装材として用いられる。
3.ステンレスシートは、屋根や庇の防水層に用いられる。
4.テラコッタは、大型のタイルの一種であり、装飾用の外装材として用いられる。
5.テラゾブロックは、壁や床などの内装材として用いられる。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
ロックウールは、吸水すると断熱性能が低下する。湿度の低い場所であれば、断熱材として用いられる。
2.◯
花こう岩は、長石・石英・雲母からなる結晶質の石材で、見た目に美しいだけでなく、硬く耐久性に富んでいるため、建物の外装材として多く用いられる。
3.◯
ステンレスシートは軽量で強度があり、耐食性、耐候性が優れているため、屋根や庇の防水層などに用いられている。
4.◯
テラコッタは素焼のタイルで、装飾用の外装材として用いられる。
5.◯
テラゾブロックは、大理石等を粉砕した粉を白色セメントや樹脂に混ぜて固め、ブロック状にして磨き上げたもので、大理石のような模様の表面になっているもの。耐摩耗性はあるが、酸(酸性雨)や熱に弱いため、屋外ではなく屋内の床・壁の材料として使われる。