二級建築士 平成26年度 学科II(建築法規)解答解説①
平成26年度 学科II(建築法規) ー1/5
[ No.1 ]
用語に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
1.日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)において、「平均地盤面からの高さ」とは、当該建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面からの高さをいう。
2.構造耐力上主要な部分である基礎は、「主要構造部」である。
3.建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために当該外壁又は軒裏に必要とされる性能を、「防火性能」という。
4.長屋又は共同住宅の隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能を、「遮音性能」という。
5.鉄道のプラットホームの上家は、「建築物」ではない。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
法第56条の2第1項、別表第4により、正しい。
2.×
法第2条第5号により、誤り。
3.◯
法第2条第8号かっこ書きにより、正しい。
4.◯
設問のとおりである。法第30条第1項第1号により、長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、必要とされる性能基準に適合するものでなければならない。
5.◯
建築基準法第2条第1号かっこ書きにより、正しい。
[ No.2 ]
次の行為のうち、建築基準法上、全国どの場所においても、確認済証の交付を受ける必要があるものはどれか。
1.木造平家建、延べ面積 110m2、高さ6mの倉庫の大規模の修繕
2.木造2階建、延べ面積 100m2、高さ8mの飲食店の改築
3.鉄筋コンクリート造平家建、延べ面積 300m2の美術館から図書館への用途の変更
4.鉄骨造平家建、延べ面積 200m2の一戸建住宅の大規模の模様替
5.鉄骨造、高さ8mの高架水槽の築造
答え
1
[ 解答解説 ]
全国どの場所においても確認済証が必要なのは、法第6条第1項第1号から第3号に該当する建築物の建築・大規模の修繕・大規模の模様替および法第6条が準用される建築物の用途変更(法第87条)、建築設備の設置(法第87条の4)、工作物の築造(法第88条)の場合である。なお、令和元年6月の改正法施行で、確認済証の交付を要する特殊建築物は、法第6条第1項第1号に規定する、200m2を超えるものが対象となった。
1.◯ → ×
出題当時は、法第6条第1項第1号に該当し、確認済証の交付を受ける必要があったが、令和元年6月の改正法施行で法第6条第1項第1号の特殊建築物の床面積が 200m2を超えるものとされたため、現在は必要がない。倉庫は法別表第1(い)欄(5)項に該当する特殊建築物である。
2.×
法第6条第1項第1号~第3号に該当しないので、確認済証は必要としない。
3.×
法第87条[ 用途変更の準用 ]第1項により法第6条が準用されるが、本問は令第137条の18第6号で類似の用途となるため、確認済証は必要としない。
4.×
法第6条第1項第1号~第3号に該当しないので、確認済証は必要としない。
5.×
法第88条[ 工作物への準用 ] 第1項により法第6条が準用されるが、本問は令第138条第1項第4号に該当しないので、確認済証は必要としない。高さ 8mを超える場合に必要となる。
[ No.3 ]
建築基準法上の手続に関するイ~ニの記述について、正しいもののみの組合せは、次のうちどれか。
イ.建築基準法第6条第1項の規定による確認の申請書に添える付近見取図には、方位、道路及び目標となる地物を明示しなければならない。
ロ.鉄筋コンクリート造2階建、延べ面積 250m2の共同住宅の新築工事について確認済証の交付を受けた後に、当該建築物の計画において国土交通省令で定める軽微な変更を行おうとする場合、建築主は、改めて、確認済証の交付を受けなければならない。
ハ.建築主は、建築物の用途の変更に係る確認済証の交付を受けた場合において、当該工事を完了したときは、建築主事に届け出なければならない。
ニ.建築物の新築工事の完了検査の申請が受理された後において、当該建築物の完了検査の検査済証の交付を受ける前の仮使用の承認をするのは、特定行政庁である。
1.イとロ
2.イとハ
3.イとニ
4.ロとハ
5.ハとニ
答え
2
[ 解答解説 ]
イ.◯
規則第1条の3第1項第1号イ表1により正しい。
ロ.×
法第6条第1項本文後段かっこ書きで、軽微な変更は除かれている。
ハ.◯
法第87条第1項により、正しい。
ニ.×
出題当時の法第7条の6第1項第1号によれば、完了検査の申請が受理された後においては、仮使用の承認は建築主事が行うため、誤りであった。
平成27年6月の改正法施行により、完了検査の申請の受理いかんにかかわらず、特定行政庁・建築主事等が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めた場合には、仮使用が認められており、現在でも誤り。
よって、正しいものの組み合わせは選択肢2である。
[ No.4 ]
平家建の建築物に設ける便所の設計を次のようにした場合、建築基準法に適合しないものはどれか。ただし、建築物は下水道法第2条第八号に規定する処理区域内にあるものとする。
1.排水のための配管設備の汚水に接する部分は、不浸透質の耐水材料で造った。
2.床を木造とし、直下の地面からその床の上面までを 40cmとした。
3.天井の高さを、2mとした。
4.排水のための配管設備の末端は、公共下水道に排水上有効に連結した。
5.水洗便所とし、直接外気に接する窓及び換気設備を設けなかった。
答え
5
[ 解答解説 ]
1.◯
令第129条の2の4第3項第4号に適合する。
2.◯
令第22条第1号に適合する。便所は居室ではない。
3.◯
令第21条第1項に適合する。
4.◯
令第129条の2の4第3項第3号に適合する。
5.×
令第28条ただし書きに適合しない。
[ No.5 ]
2階建、延べ面積 100m2の一戸建住宅の計画に関する次の記述のうち、建築基準法に適合しないものはどれか。ただし、国土交通大臣が定めた構造方法及び国土交通大臣の認定は考慮しないものとする。
1.建築物の高さが 12m、軒の高さが9mで、主要構造部を木造とした。
2.居間と廊下が常時開放された開口部を通じて相互に通気が確保されているので、廊下に所定の機械換気設備を設けた。
3.居室に設ける開口部で、公園に面するものについて、採光に有効な部分の面積を算定する場合、その公園の反対側の境界線を隣地境界線とした。
4.回り階段の部分における踏面の寸法を、踏面の狭い方の端から 30cmの位置において、15cmとした。
5.居室以外の室において、密閉式燃焼器具のみを設けたので、換気設備を設けなかった。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
法第21条第1項に適合する。
2.◯
令第20条の8第1項第1号イに適合する。なお、設問の状況は令第20条の7第1項第1号かっこ書きである。
3.×
令第20条第2項第1号かっこ書きでは、公園の幅の1/2だけ隣地境界線が外側に移動するので、適合しない。
4.◯
令第23条第1項ただし書き、同条第2項に適合する。
5.◯
令第20条の3第1項第1号に適合する。