二級建築士 平成27年度 学科I (建築計画)解答解説⑤
平成27年度 学科Ⅰ (建築計画) ー5/5
[ No.21 ]
空気調和設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.変風量単一ダクト方式は、一般に、定風量単一ダクト方式に比べて、室内の気流分布、空気清浄度を一様に維持することが難しい。
2.空気熱源マルチパッケージ型空調機方式では、屋外機から屋内機に冷水を供給して冷房を行う。
3.床吹出し空調方式は、通常の天井吹出しよりも冷房時の給気温度を上げる必要があるので、一般に、夏期に除湿を行う工夫が必要となる。
4.ターミナルレヒート方式は、レヒータ(再熱器)ごとの温度調節が可能であるが、単一ダクト方式に比べて多くのエネルギーが必要となる。
5.10~12°C程度の低温冷風を利用した低温送風空調方式は、送風搬送動力の低減が可能であり、空調機やダクトスペースを小さくすることができる。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
変風量単一ダクト方式は、各室ごとに変風量ユニットを設けることにより送風量を調節することができる。定風量単一ダクト方式に比べ、エネルギー消費量を低減することができるが、一般に、室内の気流分布や空気清浄度を一様に維持することが難しい。
2.×
空気熱源マルチパッケージ型空調機方式では、屋外機から屋内機に、冷水ではなく冷媒を循環させて冷房を行う。
3.◯
床吹き出し空調方式は、居住域に近い位置から給気するため送風温度と室内温度との差が小さくなる。冷房の場合には、天井吹出し方式に比べ給気温度が高くなるため、除湿を行う必要が生じる。
4.◯
ターミナルレヒート方式は、ダクト吹出口にレヒータを設け、熱負荷に応じて再熱量を調節する方式である。室の負荷に応じた室温制御が可能であるが、一般に、消費エネルギー量が多くなる。
5.◯
通常の空調方式より低い温度で送風する低温送風空調方式は、送風温度と室内温度との差が大きくなるため、送風量と送風機の搬送動力が低減され、空調機やダクトスペースを縮小することができる。
[ No.22 ]
給排水衛生設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.大便器の洗浄弁における流水時の最低必要圧力は、一般に、70kPaである。
2.循環式の中央式給湯設備の給湯温度は、レジオネラ属菌対策として、貯湯槽内で 60°C以上に維持する必要がある。
3.タンク式トイレの洗浄水量は、サイホン式で 10ℓ程度、洗い落とし式で 8ℓ程度で あるが、4ℓ以下の節水型が普及しつつある。
4.通気管の横管は、その階の最も高い位置にある衛生器具のあふれ縁より、上方 10cm 以内で横走りさせて配管する。
5.都市ガスの供給方式は供給圧力によって区分されており、低圧供給方式は 0.1MPa 未満とされている。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
給水のための最低必要圧力は、一般水栓で 30kPa、大便器の洗浄弁や浴室のシャワー等は 70kPaである。
2.◯
レジオネラ属菌は、60℃以上の高温に5分以上さらされることにより死滅する。このため、貯湯槽内は60℃以上に保つよう維持管理する必要がある。
3.◯
タンク式トイレの1回の洗浄水量は、サイホン式大便器の節水型で約10ℓ、洗い落とし式の節水型で約 8ℓであるが、節水型の高性能モデルでは、洗浄水量 3.8ℓを実現している。
4.×
通気管の横走り管は、その階の最高位にある衛生器具のあふれ縁より 15cm以上の高さに立ち上げて横走りさせる。
5.◯
都市ガスの供給方式は、低圧、中圧、高圧の3つの共有方式が区分されている。低圧供給方式はガス圧力 0.1MPa未満で一般住宅や小さなビルなどに供給される。中圧供給方式はガス圧力 0.1MPa以上 1.0MPa未満で、一般の事務所ビル等に供給される。中圧A供給方式と中圧B供給方式に再区分されることもある。高圧供給方式はガス圧力1.0MPa以上で、大きな工場などに供給される。
[ No.23 ]
平面形状が長方形の事務室を全般照明で計画し、作業面の平均照度を光束法 により求める場合、その計算に用いない要素は、次のうちどれか。
1.照明率
2.保守率
3.室内反射率
4.昼光率
5.室指数
答え
4
[ 解答解説 ]
・照明率は、光源から出た光が、作業面に到達する割合を示す値である。室指数と室内反射率により求められる。
・保守率は、ランプの経年劣化による光束減少や、室や器具の汚れによる効率低下を見込んだ係数である。
・室内反射率は、その室の天井、壁、床が光を反射する割合を示す値である。
・昼光率は、室内のある位置における水平面照度と、全天空からの直射日光を除いた全天空照度との百分比をいう。
・室指数は、室の形により定まる指数で、室の間口、奥行および作業面から光源までの高さにより求められる。
光束法による照明器具の作業面の平均照度Eは、
F:ランプの光束( lm )
N:ランプの本数
U:照明率
M:保守率
A:室の面積(m2)
したがって、4が正答
[ No.24 ]
防災・消防設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.閉鎖型スプリンクラー設備には、湿式、乾式及び予作動式がある。
2.非常警報設備の非常ベルは、音響装置の中心から1m離れた位置で 90dB以上の音圧が必要である。
3.避雷設備は、高さ 20mを超える建築物において、その高さ 20mを超える部分を雷撃から保護するように設ける。
4.連結散水設備は、地階の火災に備えて天井に散水ヘッドを設置し、火災時に消防ポンプ自動車から送水口・配管を通じて送水を行い、消火する設備である。
5.水噴霧消火設備は、油火災の消火には適さない。
答え
5
[ 解答解説 ]
1.◯
閉鎖型スプリンクラー設備の湿式は、配管内に常時水を充満しており、火災の熱によりスプリンクラーヘッドの感熱部が融解して自動的に散水する方式である。乾式は、配管内の凍結防止のため、水の代わりに圧縮空気を充填している。火災時には、加圧空気を放出させ、これに連動して配管内に通水して散水する。予作動式は、火災感知器とスプリンクラーヘッドの両方が作動したときに放水する方式である。誤作動による被害が大きい電算機室などに適している。
2.◯
昭和48年消防庁告示第6号に、非常警報設備の非常ベルの音響装置の定格電圧における音圧は、無響室で音響装置の中心から前方1m離れた地点で測定した値が 90dB以上であることと定められている。
3.◯
避雷設備は、20mを超える高さの建築物の、高さ 20mを超える部分を雷撃から保護するように設ける。避雷針が保護できる範囲を保護角といい、一般の建築物で 60°とされている。
4.◯
連結散水設備は、地階の火災の際に、消防隊が消防ポンプ車の水を建物外部に設けた送水口から送水し、天井に設置した散水ヘッドから放水することにより消火する設備である。
5.×
水噴霧消火設備は、噴霧ヘッドから水を微細な霧状にして放射し、酸素供給遮断による窒息効果と、水滴による冷却効果で消火する。油火災や電気設備の火災に適する。
[ No.25 ]
我が国における環境・省エネルギーに配慮した建築・設備計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.夏期の冷房時における窓面からの日射負荷を低減するために、西面の窓には可動式垂直ルーバーを計画した。
2.CASBEE(建築環境総合性能評価システム)におけるBEE(建築物の環境性能効率) を高めるため、建築物の環境品質(Q)の数値を大きく、かつ、建築物の環境負荷 (L)の数値が小さくなるように計画した。
3.雨水利用システムにおける雨水の集水場所を、屋根面とした。
4.配電線路における電力損失を低減するために、配電電圧を高めた。
5.空気熱源マルチパッケージ型空調機は、成績係数の小さい機器を採用した。
答え
5
[ 解答解説 ]
1.◯
夏期において、南向き窓面の日射負荷を軽減するためには、太陽高度が高いため水平ルーバーが効果的であるが、西向き窓面は太陽高度が低いため垂直ルーバーを設置することが有効である。
2.◯
BEE(建築物の環境性能効率)は室内環境とサービス性能、敷地内の室外環境を総合した「建築物の環境品質・性能」(Q)を、エネルギーや資源・マテリアル、敷地外環境を総合した「建築物の外部環境負荷」(L)で除して求める。建築物の環境品質の数値が大きいほど、環境負荷の数値が小さいほど建築物の環境性能効率が高く評価される。
3.◯
雨水利用システムの雨水の集水場所は、屋根面や屋上が一般的である。
4.◯
電線の太さや長さが同一であれば、配電電圧を高くするほど配電線路における電力損失を少なくすることができる。送電線の電圧が高電圧なのはこのためである。
5.×
成績係数は、空気調和設備の熱源機器のエネルギー効率を表す指標である。冷暖房容量を空気調和に要した圧縮仕事の熱当量で除した値であり、成績係数の値が小さい機器は熱源効率が悪い。