二級建築士 平成28年度 学科IV (建築施工) 解答解説⑤
平成28年度 学科IV (建築施工) ー5/5
[ No.21 ]
設備工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.管径 75mmの屋外排水管の主管の勾配は、1/100とした。
2.給水横走り管は、上向き給水管方式を採用したので、先上がりの均一な勾配で配管した。
3.雨水立て管に排水トラップを設けたので、建築物内で汚水排水管と連結した。
4.温水床暖房に用いる埋設方式の放熱管を樹脂管としたので、管の接合は、メカニカル継手とした。
5.空気よりも軽い都市ガスのガス漏れ警報設備の検知器は、その下端が天井面から下方 30cmの位置となるように取り付けた。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
屋外排水管の勾配は各自治体の条例および基準等で定められ、管径により異なり、100mmで2/100以上、150mmで1.5/100以上、200mmで 1.2/100以上とすることが一般的である。管径75mmを使用し、勾配を1/100とすることは一般的ではないが、配管の延長長さが短いことや小規模等の理由により適切は排水が可能な場合もある。最も不適当な設問ではない。
2.◯
下から上へ給水する場合は、管内の空気を蛇口など各器具から逃がすように先上がりの均一な勾配で配管する。
3.×
雨水立て管は、汚水排水管および通気管と兼用および接続させてはならない。
4.◯
設問の内容は適当である。
5.◯
空気よりも軽い都市ガスのガス漏れ警報設備の検知器は、その下端が天井面から下方 30cm以内で、かつ、ガス燃焼機器から水平距離 8m以内に設置する。
[ No.22 ]
改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.天井の改修工事において、天井のふところが 1.5mであったので、軽量鉄骨天井下地の吊りボルトの水平補強と斜め補強を省略した。
2.床の改修工事において、タイルカーペットの張付けに、粘着はく離形接着剤を使用した。
3.タイル張り仕上げの外壁のひび割れ部を改修するに当たって、健全な部分に損傷が拡大しないように、ひび割れ周辺のタイル目地に沿ってダイヤモンドカッターで切り込みを入れた。
4.アルミニウム製建具の改修工事において、かぶせ工法による新規建具の既存枠への留め付けには小ねじを用い、留め付け間隔は、両端を留め付けるとともに中間は
400mm以下の間隔とした。
5.シーリングの再充塡を行うに当たって、既存のシーリング材をできる限り除去するとともに、コンクリートの目地部の軽微な欠損部は、ポリマーセメントモルタルで補修した。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
天井のふところが 1.5m以上の場合は、補強用部材等を用いて、吊ボルトの水平補強、斜め補強を行う。特記がなければ、天井のふところが 3m以下の場合、水平補強は、縦横方向に間隔 1.8m程度に配置し、斜め補強は、相対する斜め材を1組とし、縦横方向に間隔 3.6m程度に配置する。(公共建築改修工事標準仕様書6軽量鉄骨天井下地)
2.◯
床の改修工事において、タイルカーペットの張付けは全面接着工法とし、粘着はく離形接着剤を使用する。(公共建築改修工事標準仕様書6カーペット敷き)
3.◯
タイル張り仕上げを撤去してひび割れ部を改修する場合、ひび割れ周辺をダイヤモンドカッター等で健全部分を縁を切って損傷が拡大しないようにタイル目地を沿って切り込む。(公共建築改修工事標準仕様書4タイル張り仕上げ外壁の改修)
4.◯
かぶせ工法により、既存枠へ新規に建具を取り付ける場合は、原則として小ねじ留めとし、留め付けは、端部は100mm以下、中間の留め付け間隔は 400mm以下とする。(公共建築改修工事標準仕様書5アルミニウム製建具)
5.◯
シーリング再充填工法において、既存シーリング材の除去は、目地被着体に沿ってカッター等で切込みを入れ、できる限り除去し、バフ掛け、サンダー掛け又は清掃用溶剤により清掃を行う。目地部の軽微な欠損部は、ポリマーセメントモルタル等で補修する。(公共建築改修工事標準仕様書3シーリング)
[ No.23 ]
建築工事に用いられる施工機械・器具及び工法に関する次の記述のうち、 最も不適当なものはどれか。
1.土工事において、掘削機械の接地面よりも低い位置の土砂の掘削に、バックホウを使用した。
2.杭地業工事において、既製コンクリート杭の打込みに、振動コンパクターを使用した。
3.鉄筋工事において、鉄筋の継手に、グリップジョイント工法を採用した。
4.鉄骨工事において、ボルトの締付けに、ラチェットレンチを使用した。
5.木工事において、木材の表面を平滑に仕上げるために、サンダーを使用した。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
バックホウとは、油圧ショベルと総称される建設機械のうち、ショベル(バケット)をオペレーター側に向けて取り付けた形態である。オペレーターはショベルを自分に引きつけるように操作する。地表面より低い場所の掘削に適している。
2.×
振動コンパクターとは、起振装置を取り付けた打撃板によって地面を振動打撃して締め固める機械のことをいう。既製コンクリート杭の打込みには、ディーゼルハンマー、アースオーガーなどの機械を使用し、振動コンパクターは用いない。
3.◯
グリップジョイント工法とは、継手用鋼管の両端部分を油圧機械で締付け、間に挟んだ鉄筋を接続する。冷間工法の一種である。
4.◯
ラチェットレンチとは、ラチェット機構を用いたレンチの一種。ラチェット機構により、回転方向が一方向に制限され、逆回転させると空回りするため、ボルトやナットを素早く絞めることができる。
5.◯
サンダーは、木材の表面を平滑に研磨する電動工具である。
[ No.24 ]
建築積算の用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.工事原価は、純工事費と現場管理費とを合わせたものである。
2.複合単価は、材料費や労務費など、2種類以上の費用を合わせたものである。
3.共通費は、共通仮設費、一般管理費等及び現場管理費とを合わせたものである。
4.計画数量は、設計図書に表示されていない施工計画に基づいた数量である。
5.設計数量は、定尺寸法による切り無駄及び施工上やむを得ない損耗を含んだ数量である。
答え
5
[ 解答解説 ]
1.◯
工事原価は、純工事費と現場管理費を合算した費用をいう。なお、純工事費は、直接工事費と共通仮設費を合算した費用をいう。(公共建築工事積算基準の解説)
2.◯
複合単価とは、材料、労務、機械器具等の各要素と単位施工当たりに必要とされる数量(所要量)から構成される歩掛りに各要素の単価等を乗じて算定したものである。(公共建築工事積算基準の解説)
3.◯
共通費は、共通仮設費、現場管理費及び一般管理費等を合算した費用をいう。(公共建築工事積算基準の解説)
4.◯
計画数量とは、設計図書に表示されていない施工計画に基づいた数量をいい、仮設や土工の数量等がこれに該当する。(建築数量積算基準・同解説)
5.×
設計数量とは、設計図書に表示されている個数や、設計寸法から求めた正味の数量をいい、大部分の施工数量がこれに該当し、材料のロス等については単価の中で考慮する。(建築数量積算基準・同解説)
[ No.25 ]
建築工事の請負契約書に、建設業法上、記載を要しない事項は、次のうちどれか。
1..工事着手の時期及び工事完成の時期
2.工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
3.主任技術者又は監理技術者の氏名及び資格
4.注文者が工事の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
5.契約に関する紛争の解決方法
答え
3
[ 解答解説 ]
請負契約書に記載を要する事項は、
①工事内容
②請負代金の額
③工事着手の時期及び工事完成の時期
④請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
⑤当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
⑥天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
⑦価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
⑧工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
⑨注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
⑩注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
⑪工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
⑫工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
⑬各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
⑭契約に関する紛争の解決方法
(建設業法第19条)
主任技術者又は監理技術者の氏名及び資格は含まれない。