二級建築士 平成28年度 学科IV (建築施工) 解答解説③
平成28年度 学科IV (建築施工) ー3/5
[ No.11 ]
鉄筋コンクリートの耐久性を確保するための材料・調合等に関する次の記述 のうち、最も不適当なものはどれか。
1.構造耐力上主要な部分に用いられるコンクリートに含まれる塩化物量は、特記がなかったので、塩化物イオン量として 0.35kg/m3とした。
2.コンクリートは、骨材のアルカリシリカ反応に対して、抑制効果のある日本工業規格(JIS)による高炉セメントB種を使用した。
3.ひび割れの発生を防止するため、所要の品質が得られる範囲内で、コンクリートの単位水量はできるだけ小さくした。
4.海岸に近い地域において、塩化物の浸透による鉄筋の腐食を防止し、耐久性を確保するために、水セメント比を小さくし、密実なコンクリートとした。
5.コンクリートに幅 0.4mmのひび割れが発生したので、耐久性上支障のないよう適切な処置を施したうえで、工事監理者の承認を受けた。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
コンクリートに含まれる塩化物量は、塩化物イオン量として、0.3kg/m3以下とする。(JASS5 耐久性を確保するための材料・調合に関する規定)
2.◯
アルカリ骨材反応の抑制対策として、
①反応性骨材を使用しない。
②コンクリート中のアルカリ量を低減する。
③アルカリシリカ反応に対して抑制効果のある混合セメントを使用する。
の3点が考えられる。
高炉セメントB種・C種、フライアッシュセメントB種・C種は、対策として有効である。(JASS5 耐久性を確保するための材料・調合に関する規定)
※日本工業規格は、令和元年7月1日施行の法改正で日本産業規格に名称変更
3.◯
単位水量は 185kg/m3以下とし、所要の品質が得られる範囲内で、できるだけ小さくする。コンクリートの単位水量が大きくなると、乾燥収縮、ブリーディング、打込み後の沈降などた大きくなり乾燥収縮ひび割れがおこるなど、品質上・耐久性上好ましくない。(JASS5単位水量)
4.◯
海岸に近い地域においては、塩化物の浸透による鉄筋の腐食を防ぐため、
①かぶり厚さを増し、所定の精度を保つ。
②水セメント比を小さくし、密実なコンクリートとする。
③水密性のよい仕上げを施す。
といった対策を講じる必要がある。
(JASS5 特殊な劣化作用に対する耐久性)
5.◯
コンクリートの許容ひび割れ幅は、特記がない場合は、計画供用期間の級が長期および超長期のコンクリートでは 0.3mmとし、この幅を超えるひび割れは、耐久性上支障のないように適切な処置を施し、工事監理者の承認を受ける。(JASS5 ヤング係数・乾燥収縮率および許容ひび割れ幅)
[ No.12 ]
鉄骨工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.高力ボルト用の孔あけ加工は、接合面をブラスト処理した後にドリルあけとした。
2.完全溶込み溶接において、板厚が 22mmの鋼材相互の突合せ継手の溶接部の余盛りの高さは、特記がなかったので、2mmとした。
3.隅肉溶接の溶接長さは、有効溶接長さに隅肉サイズの2倍を加えたものとした。
4.ナット回転法によるM16(ボルトの呼び径)の高力六角ボルトの本締めは、1次締付け完了後を起点としてナットを 120°回転させて行った。
5.錆止め塗装において、鋼材表面の温度が 50°C以上となったので、塗装作業を中止した。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
高力ボルト用孔の孔あけ加工は、ドリルあけとする。接合面をブラスト処置する場合は、ブラスト前に孔あけ加工する。(JASS6 孔あけ加工)
2.◯
完全溶込み溶接の突き合わせ継手の余盛り高さの最小値は 0 mmとする。裏当て金付きのT継手の余盛の高さの最小値は、突き合わせる材の厚さの1/4とし、板の厚さが 40mmを超える場合は10mmとする。(JASS6 完全溶込み溶接)
3.◯
隅肉溶接の溶接長さは、有効長さに隅肉溶接のサイズの2倍を加えたものであり、その長さを確保するように施工する。(公共建築工事標準仕様書7溶接接合)
4.◯
ナット回転法による本締めは、1次締め完了後を起点としてナットを120°(M12は60°)回転させて行う。ただし、ボルトの長さがねじの呼び径の5倍を超える場合のナットの回転量は特記による。(JASS6 高力ボルトの締付け)
5.◯
錆止め塗装において、炎天下で鋼材表面の温度が50℃以上と高く、塗装に泡を生ずるおそれがあるときは、塗装作業を中止する。(JASS6 塗料および工法)
[ No.13 ]
鉄骨工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.架構の倒壊防止用に使用するワイヤーロープを、建入れ直し用に兼用した。
2.柱の溶接継手におけるエレクションピースに使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付けた。
3.耐火被覆の吹付け工法において、施工面積 10m2当たり1箇所を単位として、被覆層の厚さを確認しながら施工した。
4.デッキプレート相互の接合を、アークスポット溶接により行った。
5.建方の精度検査において、高さ5mの柱の倒れが5mmであったので合格とした。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
架構の倒壊防止用ワイヤーロープを使用する場合、このワイヤロープを建入れ直し用に兼用して良い。(JASS6 建方)
2.◯
溶接継手におけるエレクションピースなどに使用する仮ボルトは、高力ボルトを使用して全数締め付ける。(JASS6 建方)
3.×
耐火材の吹付け厚さは確認ピンや厚さ測定器を用いて確認する。吹付面積 5m2ごとに 1箇所以上を単位として、厚さの確認をしながら施工する。
4.◯
デッキプレート相互の接合は、溶接(アークスポット溶接、隅肉溶接)、タッピンねじ、嵌合、かしめまたは重ねによる。(JASS6 デッキプレートと頭付きスタッド)
5.◯
柱の倒れの建て方精度は、管理許容差は、高さ/1000以下かつ 10mm以下、限界許容差は、高さ/700以下かつ15mm以下とする。(JASS6 付則6 鉄骨精度検査基準)高さ5mの場合、管理許容差 5mm以下、限界許容差 7,15mm以下となり、倒れ 5mmは合格である。
[ No.14 ]
補強コンクリートブロック造工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.各ブロックの水平を測るために、足場、型枠と連結しない自立式の縦遣方を設置した。
2.直交壁のない耐力壁の横筋の端部については、壁端部の縦筋に 180°フックによりかぎ掛けとした。
3.特記がなかったので、臥梁の直下のブロックには横筋用ブロックを使用し、臥梁へのコンクリートの打込みを行った。
4.耐力壁の縦筋は、ブロック空洞部に重ね継手を設けて配筋し、上下端をそれぞれが臥梁、基礎等に定着した。
5.特記がなかったので、日本工業規格(JIS)における圧縮強さ 16の空洞ブロックを用いた。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
縦遣方は、自立する構造とし、移動しないように正確に設け、足場、型枠等と連結させない。(公共建築工事標準仕様書8補強コンクリートブロック造)
2.◯
壁横筋は、壁端部縦筋に180°フックによりかぎ掛けとする。ただし、直交壁がある場合は、直交壁に定着又は直交壁の横筋に重ね継手とする。(公共建築工事標準仕様書8補強コンクリートブロック造)
3.◯
臥梁の下端は、原則として、横筋用ブロックを使用して、コンクリート打込みを行う。
4.×
壁縦筋は、原則として、ブロックの空洞部の中心部に配筋する。また、壁縦筋の上下端は、臥梁、基礎等に定着する。なお、壁縦筋には、継手を設けない。(公共建築工事標準仕様書8補強コンクリートブロック造)
5.◯
ブロックはJISに適合するもにより、圧縮強さ、正味厚さ、モヂュール呼び寸法及び種類は、特記がなければ、断面形状及び圧縮強さによる区分は、空洞ブロックC(16)とする。(公共建築工事標準仕様書8補強コンクリートブロック造)
※日本工業規格は、令和元年7月1日施行の法改正で日本産業規格に名称変更
[ No.15 ]
木工事の用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
1.ひき立て寸法
木材を製材した状態の木材断面寸法
2.仕上り寸法
かんな掛け等で木材表面を仕上げた後の部材断面寸法
3.たいこ材
構造用製材のうち、丸太の髄心を中心に平行する2平面
のみを切削した材
4.仕口
2つ以上の部材に、ある角度をもたせた接合
5.本ざね加工
板材等の側面に溝を彫り、その溝に細長い木片をはめ込む加工
答え
5
[ 解答解説 ]
1.◯
ひき立て寸法とは、通常、製材工場出荷時の寸法を意味する流通段階における呼称寸法である。(住宅金融支援機構木造住宅工事仕様書4木工事一般事項)
2.◯
仕上り寸法とは、加工後の実寸法である。したがって、かんな掛け等の加工工程や木材の乾燥収縮色により、ひき立て寸法と仕上がり寸法との間に差が生じる場合がある。(住宅金融支援機構木造住宅工事仕様書4木工事一般事項)
3.◯
設問のとおりである。
4.◯
2つ以上の部材が直角、あるいはあつ角度をなして結合される場合、その結合部分を「仕口」という。(住宅金融支援機構木造住宅工事仕様書4木工事一般事項)
5.×
木ざね加工とは、板材等の接合において、片方の側面を凹に加工することである。設問の内容は、雇い実はぎの加工に関するものである。