グロー表現のクオリティーを高める3つのポイント
- 2015/07/25
グロー効果は、大変よく使われる視覚表現です。CG映像やアニメーションだけでなく、イラストなどでも用いられます。しかし、いろいろと見ていると、どうやらグローにも「良し悪し」があるようです。
今回は、クオリティーの高いグローを表現する上で個人的に気をつけているポイントを3つ紹介したいと思います。ソフトの使い方ではなく、それ以前の話、「どんなグローにすべきか?」という論点になります。デジタルで画づくりをする初心者の方には、クオリティーアップのヒントになるのではないかと思います。
まず最初に、「グローとは何か?」という確認をしておきましょう。一般的に、光がにじんているグラデーション部分をグローと呼んでいます。つまり、グローをデザインするときには、「芯(コア)」と「グロー」の2つを考える必要があります。
2つの要素に分離して考えるのは、魅力的なグローを「デザイン」する第一歩です。なぜなら、芯とグロー部分を別々の色にしよう、という考え方ができるからです。たとえば、「芯は黄色にして、グロー部分はオレンジにしよう」というような発想ができるわけです。
そのほか、「芯のエッジはもっとシャープにしてみよう」「いや、もっとぼかしてみよう」ということを考えることができます。なんとなくグロー効果を加えるのではなく、はっきりとした狙いを持ってグローをデザインできるようになります。
2つ目のポイントはグロー幅です。美しい発光感を表現したいとき、グロー幅を適切にデザインする必要があります。というのは、グロー幅があまりにも狭いと、光っている感じがしないのです。むしろ「縁どり」のような感じがして、不自然に見えてしまいます。
十分な広さのグロー幅にすると、美しい発光感を得られます。大雑把に言って、芯の幅よりもグロー幅の方が大きければ発光感が感じられるように思います。
ここでもやはり、「芯」と「グロー」です。適切なグロー幅は、芯の幅によって違ってきます。たとえば、小さな粒を光らせるのであれば狭いグロー幅で良いのですが、大きな爆発を光らせるのであれば広いグロー幅が必要だということです。
最後に紹介するのは、光の減衰についてです。3DCGやコンポジット(デジタル合成)の専門書では、しばしば光の逆二乗則(Inverse-square law)が説明されます。光の強度は、距離が2倍になると、(1/2ではなく)1/4になります。光は放射する性質を持っているからです。
一方で、人間の視覚は暗い光ほど敏感にとらえる性質を持っています(しかし眩しい光の違いはよく分りません)。結果的に人間の目には、光源の近くはまぶしく光が飽和して見え、外側に行くと幅広いグラデーションが見えることになります。
グローの減衰も同様に、逆二乗則を意識すると良いと言われます。つまり、芯の近くのグローは狭く強く、外側のグローは広く弱くすれば、本物らしいグローを表現できるということです。
このような減衰を表現する、有名な方法があります。ブラーの量を変えた素材を加算(またはスクリーン)で合成するというやり方です。これはシンプルでありながら有効な方法で、さまざまな書籍でも紹介されています。「ブラー」機能さえあれば、ソフトウェアを選ばないというメリットもあります。
さて、ここで「ブラー量を変えた画像はいくつ作ればいいのか?(こんなにたくさん必要?)」という疑問が生まれます。このあたりの説明は、人によって異なる部分です。
デジタル合成の専門家であるRon Brinkmann氏の著書"The Art and Science of Digital Compositing, Second Edition"では、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』におけるライトセーバーの制作方法が紹介されています。ここではライトセーバーは4つの素材(core, core glow, glow, BIG glow)から作成されています(1)。
一方、マーク・クリスティアンセン氏の著書『After Effects CS4 スタジオテクニック プロが教える効果的なビジュアルエフェクトとコンポジット』の中では、同様のライトセーバーのグローは6~7素材で作成すると説明しています(2)。
結局のところ、「こうしなければならない」という答えがあるわけではないようです。重要なのは、グローの減衰に変化をつけること。内側(芯の付近)のグローと、外側のグローという2つに違いを出すということです。そういう意味では、うまくやれば2~3の画像で十分かもしれません。
今回のポイント。
◆1. 芯とグローを分けて考える
◆2. 理想的なグロー幅を探求する
◆3. 本物らしい減衰に注意する
個人的に整理して3つのポイントにしてみました。しかし、まだ私が知らないだけで、もっと他にもポイントがあるのかもしれません。「どういうグローがキレイに見えるのだろう?」「どうやったらもっと発光感が出るのだろう?」と考えて、美しさやリアリティーを追求してみると面白いと思います!
今回は、クオリティーの高いグローを表現する上で個人的に気をつけているポイントを3つ紹介したいと思います。ソフトの使い方ではなく、それ以前の話、「どんなグローにすべきか?」という論点になります。デジタルで画づくりをする初心者の方には、クオリティーアップのヒントになるのではないかと思います。
ポイント1. 「芯」と「グロー」を分けて考えること!
まず最初に、「グローとは何か?」という確認をしておきましょう。一般的に、光がにじんているグラデーション部分をグローと呼んでいます。つまり、グローをデザインするときには、「芯(コア)」と「グロー」の2つを考える必要があります。
2つの要素に分離して考えるのは、魅力的なグローを「デザイン」する第一歩です。なぜなら、芯とグロー部分を別々の色にしよう、という考え方ができるからです。たとえば、「芯は黄色にして、グロー部分はオレンジにしよう」というような発想ができるわけです。
そのほか、「芯のエッジはもっとシャープにしてみよう」「いや、もっとぼかしてみよう」ということを考えることができます。なんとなくグロー効果を加えるのではなく、はっきりとした狙いを持ってグローをデザインできるようになります。
ポイント2. 理想的なグロー幅を探求すること!
2つ目のポイントはグロー幅です。美しい発光感を表現したいとき、グロー幅を適切にデザインする必要があります。というのは、グロー幅があまりにも狭いと、光っている感じがしないのです。むしろ「縁どり」のような感じがして、不自然に見えてしまいます。
十分な広さのグロー幅にすると、美しい発光感を得られます。大雑把に言って、芯の幅よりもグロー幅の方が大きければ発光感が感じられるように思います。
ここでもやはり、「芯」と「グロー」です。適切なグロー幅は、芯の幅によって違ってきます。たとえば、小さな粒を光らせるのであれば狭いグロー幅で良いのですが、大きな爆発を光らせるのであれば広いグロー幅が必要だということです。
ポイント3. 本物らしい減衰に注意すること!
最後に紹介するのは、光の減衰についてです。3DCGやコンポジット(デジタル合成)の専門書では、しばしば光の逆二乗則(Inverse-square law)が説明されます。光の強度は、距離が2倍になると、(1/2ではなく)1/4になります。光は放射する性質を持っているからです。
一方で、人間の視覚は暗い光ほど敏感にとらえる性質を持っています(しかし眩しい光の違いはよく分りません)。結果的に人間の目には、光源の近くはまぶしく光が飽和して見え、外側に行くと幅広いグラデーションが見えることになります。
グローの減衰も同様に、逆二乗則を意識すると良いと言われます。つまり、芯の近くのグローは狭く強く、外側のグローは広く弱くすれば、本物らしいグローを表現できるということです。
このような減衰を表現する、有名な方法があります。ブラーの量を変えた素材を加算(またはスクリーン)で合成するというやり方です。これはシンプルでありながら有効な方法で、さまざまな書籍でも紹介されています。「ブラー」機能さえあれば、ソフトウェアを選ばないというメリットもあります。
さて、ここで「ブラー量を変えた画像はいくつ作ればいいのか?(こんなにたくさん必要?)」という疑問が生まれます。このあたりの説明は、人によって異なる部分です。
デジタル合成の専門家であるRon Brinkmann氏の著書"The Art and Science of Digital Compositing, Second Edition"では、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』におけるライトセーバーの制作方法が紹介されています。ここではライトセーバーは4つの素材(core, core glow, glow, BIG glow)から作成されています(1)。
一方、マーク・クリスティアンセン氏の著書『After Effects CS4 スタジオテクニック プロが教える効果的なビジュアルエフェクトとコンポジット』の中では、同様のライトセーバーのグローは6~7素材で作成すると説明しています(2)。
結局のところ、「こうしなければならない」という答えがあるわけではないようです。重要なのは、グローの減衰に変化をつけること。内側(芯の付近)のグローと、外側のグローという2つに違いを出すということです。そういう意味では、うまくやれば2~3の画像で十分かもしれません。
まとめ!
今回のポイント。
◆1. 芯とグローを分けて考える
◆2. 理想的なグロー幅を探求する
◆3. 本物らしい減衰に注意する
個人的に整理して3つのポイントにしてみました。しかし、まだ私が知らないだけで、もっと他にもポイントがあるのかもしれません。「どういうグローがキレイに見えるのだろう?」「どうやったらもっと発光感が出るのだろう?」と考えて、美しさやリアリティーを追求してみると面白いと思います!
参考文献
1. Brinkmann, Ron. The Art and Science of Digital Compositing, Second Edition. Morgan Kaufmann, 2008, p.586-588.
2. Christiansen, Mark. Adobe After Effects CS4 Visual Effects and Compositing Studio Techniques. Adobe Press, 2008. (マーク・クリスティアンセン, Bスプラウト訳. 『After Effects CS4 スタジオテクニック プロが教える効果的なビジュアルエフェクトとコンポジット』. ボーンデジタル, 2009, p.438.)
1. Brinkmann, Ron. The Art and Science of Digital Compositing, Second Edition. Morgan Kaufmann, 2008, p.586-588.
2. Christiansen, Mark. Adobe After Effects CS4 Visual Effects and Compositing Studio Techniques. Adobe Press, 2008. (マーク・クリスティアンセン, Bスプラウト訳. 『After Effects CS4 スタジオテクニック プロが教える効果的なビジュアルエフェクトとコンポジット』. ボーンデジタル, 2009, p.438.)
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