After Effectsのレイヤー合成の仕組み
- 2014/03/18
After Effectsはレイヤー(層)という仕組みで映像を合成します。レイヤーって、本当によく出来た仕組みだと思います。“透明なガラスに描かれた絵を重ねる”ようなイメージはとても分かりやすくて、初心者でも簡単に合成作業を始められます。
でもちょっと待ってください。レイヤーの働き方、正しいイメージで掴めてますか?レイヤーがどういうふうに働いているのか正しく理解すれば、思い通りの画づくりをするのが凄く楽になります。
というわけで、この記事ではとても基本的なことですが、レイヤーの働き方を説明してみます。
レイヤーの働き方は、以下のように説明できると思います。
「2つの画像を1つに統合するレンダリングを、下から上へと、レイヤーの数だけ繰り返す」
(※例外は有ります)
以上。
……ですが、もうちょっと具体的に説明してみます。
まず、レイヤーは一番下から計算が始まります。底のレイヤーがベースになります。
それから、基本的にはレイヤーは下から上へ順番に計算されます。
After EffectsのHelpでは「コンポジションは、タイムラインパネルでレイヤーを重ねることにより構成されています。プレビューでも最終出力でも、コンポジションのレンダリング時には、下のレイヤーから先に処理されます」と説明されています(1)。
ここで私たちが気を付けたいのは「下から1レイヤーずつ順番に画を固めている」というイメージを持つことです。
別の言い方をしてみます。
「あるレイヤーの下には、レンダリング済みの1枚の画像しかない」というイメージです。
このイメージを持つことは極めて重要です。なぜなら、After Effectsの8bit, 16bit色深度におけるコンポジットでは、これは「一度失われた階調は戻らない」という大問題に直結するからです。
階調が戻らないというのはどういうことでしょうか?例として、空の写真を使って検証してみます!
レイヤーを複製して、[加算]ブレンドモードで合成してみます。その結果、明るくなり、白飛び部分が増えました。
さて、ちょっと明るくしすぎてしまったようなので、今度は暗くする処理をしてみましょう。一番上に調整レイヤーを追加して、[トーンカーブ]エフェクトで暗くします。
この結果、べたっぽいグレーな印象になってしまいました。ディティールが不自然に失われていて、美しくありません。
合成結果がこうなった原因ははっきりしていますね。上のレイヤーで暗くする調整をしているというのは、「後から処理している」ということです。一度白飛びした画像を後から暗くしても、すでに階調を失ってしまっているので、グレーのベタにしかなりません。これが、8bit, 16bit色深度におけるコンポジットで起きる「階調が戻らない」という問題なのです。
では、この問題にはどう対処したら良いでしょうか?私は、After Effectsの8bit,16bit色深度で作業するときには以下のような工夫をします。
◆明るくしたり、暗くしたりという調整を無駄に繰り返さない。繰り返しても良いが、その際は階調が振り切れて100%や0%になっていないか注意する。
◆むやみに白飛び、黒潰れさせないようにする。常に階調を残すということに気をつける。
◆白飛びしがちな[加算]ブレンドモードを使うときは、細心の注意を払う。[加算]ブレンドモードを使うのはどうしても必要な場合に限り、基本は[スクリーン]ブレンドモードを使う(※これについては作業用カラースペースがデフォルトの場合の話となります)。
◆画像が統合される順序、レンダリング順序を意識する。「1レイヤーずつ下から画像を固めている」というイメージを強く持つ。
私はこれらを実践していなかった頃、「なぜ思い通りの画になってくれないのだろう」と思いながら、大変な苦労をしてレイヤーを調整していたように思います。今から思えば、手探り状態でした。レイヤーの働きをきちんとイメージするようになってからは、コンポジット作業がずいぶん楽になり、思い通りの画づくりができるようになったと思います!
でもちょっと待ってください。レイヤーの働き方、正しいイメージで掴めてますか?レイヤーがどういうふうに働いているのか正しく理解すれば、思い通りの画づくりをするのが凄く楽になります。
というわけで、この記事ではとても基本的なことですが、レイヤーの働き方を説明してみます。
レイヤーの働き方
レイヤーの働き方は、以下のように説明できると思います。
「2つの画像を1つに統合するレンダリングを、下から上へと、レイヤーの数だけ繰り返す」
(※例外は有ります)
以上。
……ですが、もうちょっと具体的に説明してみます。
まず、レイヤーは一番下から計算が始まります。底のレイヤーがベースになります。
それから、基本的にはレイヤーは下から上へ順番に計算されます。
After EffectsのHelpでは「コンポジションは、タイムラインパネルでレイヤーを重ねることにより構成されています。プレビューでも最終出力でも、コンポジションのレンダリング時には、下のレイヤーから先に処理されます」と説明されています(1)。
ここで私たちが気を付けたいのは「下から1レイヤーずつ順番に画を固めている」というイメージを持つことです。
別の言い方をしてみます。
「あるレイヤーの下には、レンダリング済みの1枚の画像しかない」というイメージです。
このイメージを持つことは極めて重要です。なぜなら、After Effectsの8bit, 16bit色深度におけるコンポジットでは、これは「一度失われた階調は戻らない」という大問題に直結するからです。
階調が戻らないという問題
階調が戻らないというのはどういうことでしょうか?例として、空の写真を使って検証してみます!
レイヤーを複製して、[加算]ブレンドモードで合成してみます。その結果、明るくなり、白飛び部分が増えました。
さて、ちょっと明るくしすぎてしまったようなので、今度は暗くする処理をしてみましょう。一番上に調整レイヤーを追加して、[トーンカーブ]エフェクトで暗くします。
この結果、べたっぽいグレーな印象になってしまいました。ディティールが不自然に失われていて、美しくありません。
合成結果がこうなった原因ははっきりしていますね。上のレイヤーで暗くする調整をしているというのは、「後から処理している」ということです。一度白飛びした画像を後から暗くしても、すでに階調を失ってしまっているので、グレーのベタにしかなりません。これが、8bit, 16bit色深度におけるコンポジットで起きる「階調が戻らない」という問題なのです。
対策
では、この問題にはどう対処したら良いでしょうか?私は、After Effectsの8bit,16bit色深度で作業するときには以下のような工夫をします。
◆明るくしたり、暗くしたりという調整を無駄に繰り返さない。繰り返しても良いが、その際は階調が振り切れて100%や0%になっていないか注意する。
◆むやみに白飛び、黒潰れさせないようにする。常に階調を残すということに気をつける。
◆白飛びしがちな[加算]ブレンドモードを使うときは、細心の注意を払う。[加算]ブレンドモードを使うのはどうしても必要な場合に限り、基本は[スクリーン]ブレンドモードを使う(※これについては作業用カラースペースがデフォルトの場合の話となります)。
◆画像が統合される順序、レンダリング順序を意識する。「1レイヤーずつ下から画像を固めている」というイメージを強く持つ。
私はこれらを実践していなかった頃、「なぜ思い通りの画になってくれないのだろう」と思いながら、大変な苦労をしてレイヤーを調整していたように思います。今から思えば、手探り状態でした。レイヤーの働きをきちんとイメージするようになってからは、コンポジット作業がずいぶん楽になり、思い通りの画づくりができるようになったと思います!
参考文献
1. Adobe Systems Incorporated. "Adobe After Effects * プリコンポーズ、ネスト化およびプリレンダリング" http://helpx.adobe.com/jp/after-effects/using/precomposing-nesting-pre-rendering.html (参照 2014-03-17).
1. Adobe Systems Incorporated. "Adobe After Effects * プリコンポーズ、ネスト化およびプリレンダリング" http://helpx.adobe.com/jp/after-effects/using/precomposing-nesting-pre-rendering.html (参照 2014-03-17).
- 関連記事
-
- After EffectsにおけるOCIOを使ったACESシーンリニアワークフロー (2024/04/25)
- After Effectsの調整レイヤーを使いこなすためのTips (2017/01/29)
- After Effectsのマスクカラーを変更するTips (2016/11/28)
- Photoshop & AE 初心者にオススメしたい3つの便利な色調補正機能 (2015/01/26)
- After Effectsのプロジェクトを把握する方法まとめ (2014/12/02)
- After Effectsのコラップスを使ってはいけない? (2014/08/23)
- After Effectsの作業スピードを上げるコンポジションの組み方 (2014/07/13)
- After Effectsで綺麗なグローをつくるテクニック (2014/03/29)
- After Effectsのレイヤー合成の仕組み (2014/03/18)