Photoshop & AE 初心者にオススメしたい3つの便利な色調補正機能
- 2015/01/26
「PhotoshopやAfter Effectsには色調補正(カラコレ)の機能がたくさんあるけど、いったいどれを使うのが正解なのだろう?」。初心者ユーザーだったころ、よく疑問に思いました。同じような疑問を持ちながら使っている人も多いかもしれません。
私が初心者にオススメする色調補正ツールは、「レベル補正」「トーンカーブ」「色相・彩度」の3つだけです。なぜなら、これらのツールさえ使うことができれば、困ることはほぼないからです。それどころか、思い通りの色調補正が短時間で出来るようになります。今回は、この3つのツールの、すぐに役に立つ部分だけに絞って紹介をしたいと思います。
まずはレベル補正から始めましょう!
これほど便利な色調補正ツールは他にありません。初心者が真っ先に覚えるべきツールです。レベル補正の特徴はヒストグラムです。ヒストグラムは、画像に含まれるピクセルの量を「明るさ別」に示した柱状グラフです。
ヒストグラムよって、私たちは画像の状態を正しく「診断」し、適切な色調補正ができるようになります。たとえば、以下の画像を見てください。ヒストグラムから、「コントラストが低すぎる」という問題が読み取れるわけです。
画面の中に「暗いピクセル」も「明るいピクセル」もなく、眠~い画になってしまっています。もちろん狙ってコントラストの低い画像をつくることもありますが、一般的には程良くコントラストのある画像が適正とされます。では、レベル補正を使ってコントラストを強めたいと思います。
◆「黒」をつくる
まずは左端にある黒いツマミ(シャドウ)を山の端まで移動します。画面に「黒」が生まれます。
これは「ヒストグラムのココを黒にしますよ」という指定です。
◆「白」をつくる
続けて右端にある白いツマミ(ハイライト)を山の端まで移動します。画面に「白」が生まれます。
これは「ヒストグラムのココを白にしますよ」という指定です。さて、それなりに程よいコントラストになったと思います!これがレベル補正の使い方の基本です。
◆やりすぎ注意!
ちょっと注意しなければならないことがあります。この2つのツマミを山に食い込ませてはいけません。食い込んだ部分は、完全な「白飛び」や「黒潰れ」になってしまいます。
このような強烈な調整では階調が失われてしまいます。画づくりをする場合にはよく注意してください。もっとも、マスク素材をつくる際など、意図的にやることも結構あります。
◆「黒」を持ち上げる
では、逆のことをやってみましょう。もともと暗いピクセルを明るくする場合は、[出力レベル]の黒いツマミを移動します。黒が持ち上がるように明るくなります。
◆「白」を落とす
また、もともと明るいピクセルを暗くする場合は、[出力レベル]の白いツマミを移動します。白が落ちるように暗くなります。
このような調整を行っても、カッコよくならないかもしれません。しかし、合成画像を馴染ませる場合などには役に立つ手法です。
◆中間調を調整する
レベル補正の素晴しいところは、中央にあるグレーのツマミです。このツマミで、中間調を調整できます。これは全体的なイメージを明るくしたり暗くする効果があります。
左に移動すると明るくなります。
右に移動すると暗くなります。
中間調による調整では、「黒」や「白」は触りません。つまり、調整しているうちに勝手に「白飛び」や「黒潰れ」のピクセルが増えてしまうといった問題は回避しやすいのです。このようにレベル補正は、シャドウ、ハイライト、中間調という3点でコントロールするため、狙った画づくりのしやすいツールです。
◆カラーバランス!
レベル補正の凄いところはまだあります。RGBチャンネルを個別に調整できることです。つまり、カラーバランスの調整まで厳密にできるのです。チャンネルを[ブルー]に切り替えて、中間調を下げます。
黄色っぽくなりました。ブルーの値が下がったことで、相対的にレッドとグリーンが強くなりました。つまり、黄色が強くなったのです。
このように、レベル補正は簡単に使える上に高機能です。しかし、レベル補正が苦手とする調整もあります。それを補うのがトーンカーブです。
2つ目はトーンカーブです。レベル補正が苦手とする調整も、トーンカーブではとても簡単にできます。
トーンカーブの見方を説明しましょう。横軸が「入力」、縦軸が「出力」です。つまり「もとの明るさをどのような明るさに変更するか」を表しています。
◆中間調を調整する
実際にカーブに触ってみれば使い方はすぐに把握できると思います。ちょっとやってみましょう!
中央にポイントを打ってカーブを持ち上げると全体的に明るくなります。
カーブを下げると全体的に暗くなります。
これはちょうどレベル補正の中央のツマミと似ています。「黒」や「白」は変更せずに、中間調を変化させます。
◆「黒」や「白」を調整する
基本的に、トーンカーブではレベル補正と同じことが可能です。シャドウ・ハイライトのポイントを左右に移動すると、「明るいピクセル」や「暗いピクセル」をつくることができます。
シャドウのポイントを横に動かすと、画面の中に「黒」が生まれます。
ハイライトのポイントを横に動かすと、画面の中に「白」が生まれます。
シャドウのポイントを上げると、「黒」が持ち上がります。
ハイライトのポイントを下げると、「白」が落ち込んでいきます。
◆複雑なカーブにする
しかし、トーンカーブの本当の実力は「特定の明るさ」にアクセスできる点にあります。たとえば「暗いピクセルだけ明るくする」という調整が、トーンカーブなら簡単にできるのです。カーブの上の方は固定し、下の方だけ曲げてみます。
このような絶妙な調整は、レベル補正では難しいですが、トーンカーブでは簡単にできてしまいます。また、トーンカーブもRGBチャンネルを個別に扱えるため、カラーバランスの調整も可能です。トーンカーブは直感的に使える優秀なツールです。しかしトーンカーブでは感覚的になりすぎる傾向もあるので、レベル補正とうまく使い分けるのが良いのではないかと思います。
最後にオススメする色調補正ツールは色相・彩度です。レベル補正やトーンカーブは光の三原色(RGB)で調整するツールですが、このツールは色の三属性と呼ばれる色相、彩度、明度(HSL)という3つのパラメーターで調整します。
基本的な使い方は説明するまでもないでしょう。3つのパラメーターをスライドするだけです。
◆特定の色を変える
色相・彩度の本当に便利な機能は、特定の色味だけを変更できる点です。たとえばちょっと大げさな例ですが、「緑っぽい色だけを彩度を落とす」といった調整も可能です。やってみましょう。
チャンネルを[グリーン系]に切り替えて、彩度を[-100]にします。緑だけ、彩度が変わりました。
もし変更される色相の範囲を調整したい場合は、下部にある[調整スライダー]で4つのツマミを左右にスライドしてください。
このように、全体で調整することもできますし、特定の色だけを変更することもできます。合成作業に必須の機能です。
◆色付けする
色相・彩度にはまったく別の使い道もあります。「色彩の統一」のチェックを入れると、単一の色に変換できます。
カラコレにも使えますが、光の効果などの合成エフェクトに色を付けたいときに活躍する非常に便利な機能でもあります。
今回は3つの色調補正ツールを紹介しました!
◆レベル補正
◆トーンカーブ
◆色相・彩度
今回の内容で、ほとんどの色調整は思い通りにできるようになると思います。ツールはたくさんありますが、まずはこれらの3つのツールを基本にしてみてはどうでしょうか?また、この3つのツールを覚えているといろいろ良いことがあります。実は、これらによく似たツールは他のグラフィックソフトにもだいたいあるので、他のソフトを使ってカラコレやカラーグレーディングを行うときに応用が利くわけです。よく分からないツールをアレコレと使うよりも、ずっと効率よく、思い通りの色調整ができるようになると思います!
私が初心者にオススメする色調補正ツールは、「レベル補正」「トーンカーブ」「色相・彩度」の3つだけです。なぜなら、これらのツールさえ使うことができれば、困ることはほぼないからです。それどころか、思い通りの色調補正が短時間で出来るようになります。今回は、この3つのツールの、すぐに役に立つ部分だけに絞って紹介をしたいと思います。
1. レベル補正
まずはレベル補正から始めましょう!
これほど便利な色調補正ツールは他にありません。初心者が真っ先に覚えるべきツールです。レベル補正の特徴はヒストグラムです。ヒストグラムは、画像に含まれるピクセルの量を「明るさ別」に示した柱状グラフです。
ヒストグラムよって、私たちは画像の状態を正しく「診断」し、適切な色調補正ができるようになります。たとえば、以下の画像を見てください。ヒストグラムから、「コントラストが低すぎる」という問題が読み取れるわけです。
画面の中に「暗いピクセル」も「明るいピクセル」もなく、眠~い画になってしまっています。もちろん狙ってコントラストの低い画像をつくることもありますが、一般的には程良くコントラストのある画像が適正とされます。では、レベル補正を使ってコントラストを強めたいと思います。
◆「黒」をつくる
まずは左端にある黒いツマミ(シャドウ)を山の端まで移動します。画面に「黒」が生まれます。
これは「ヒストグラムのココを黒にしますよ」という指定です。
◆「白」をつくる
続けて右端にある白いツマミ(ハイライト)を山の端まで移動します。画面に「白」が生まれます。
これは「ヒストグラムのココを白にしますよ」という指定です。さて、それなりに程よいコントラストになったと思います!これがレベル補正の使い方の基本です。
◆やりすぎ注意!
ちょっと注意しなければならないことがあります。この2つのツマミを山に食い込ませてはいけません。食い込んだ部分は、完全な「白飛び」や「黒潰れ」になってしまいます。
このような強烈な調整では階調が失われてしまいます。画づくりをする場合にはよく注意してください。もっとも、マスク素材をつくる際など、意図的にやることも結構あります。
◆「黒」を持ち上げる
では、逆のことをやってみましょう。もともと暗いピクセルを明るくする場合は、[出力レベル]の黒いツマミを移動します。黒が持ち上がるように明るくなります。
◆「白」を落とす
また、もともと明るいピクセルを暗くする場合は、[出力レベル]の白いツマミを移動します。白が落ちるように暗くなります。
このような調整を行っても、カッコよくならないかもしれません。しかし、合成画像を馴染ませる場合などには役に立つ手法です。
◆中間調を調整する
レベル補正の素晴しいところは、中央にあるグレーのツマミです。このツマミで、中間調を調整できます。これは全体的なイメージを明るくしたり暗くする効果があります。
左に移動すると明るくなります。
右に移動すると暗くなります。
中間調による調整では、「黒」や「白」は触りません。つまり、調整しているうちに勝手に「白飛び」や「黒潰れ」のピクセルが増えてしまうといった問題は回避しやすいのです。このようにレベル補正は、シャドウ、ハイライト、中間調という3点でコントロールするため、狙った画づくりのしやすいツールです。
◆カラーバランス!
レベル補正の凄いところはまだあります。RGBチャンネルを個別に調整できることです。つまり、カラーバランスの調整まで厳密にできるのです。チャンネルを[ブルー]に切り替えて、中間調を下げます。
黄色っぽくなりました。ブルーの値が下がったことで、相対的にレッドとグリーンが強くなりました。つまり、黄色が強くなったのです。
このように、レベル補正は簡単に使える上に高機能です。しかし、レベル補正が苦手とする調整もあります。それを補うのがトーンカーブです。
2. トーンカーブ
2つ目はトーンカーブです。レベル補正が苦手とする調整も、トーンカーブではとても簡単にできます。
トーンカーブの見方を説明しましょう。横軸が「入力」、縦軸が「出力」です。つまり「もとの明るさをどのような明るさに変更するか」を表しています。
◆中間調を調整する
実際にカーブに触ってみれば使い方はすぐに把握できると思います。ちょっとやってみましょう!
中央にポイントを打ってカーブを持ち上げると全体的に明るくなります。
カーブを下げると全体的に暗くなります。
これはちょうどレベル補正の中央のツマミと似ています。「黒」や「白」は変更せずに、中間調を変化させます。
◆「黒」や「白」を調整する
基本的に、トーンカーブではレベル補正と同じことが可能です。シャドウ・ハイライトのポイントを左右に移動すると、「明るいピクセル」や「暗いピクセル」をつくることができます。
シャドウのポイントを横に動かすと、画面の中に「黒」が生まれます。
ハイライトのポイントを横に動かすと、画面の中に「白」が生まれます。
シャドウのポイントを上げると、「黒」が持ち上がります。
ハイライトのポイントを下げると、「白」が落ち込んでいきます。
◆複雑なカーブにする
しかし、トーンカーブの本当の実力は「特定の明るさ」にアクセスできる点にあります。たとえば「暗いピクセルだけ明るくする」という調整が、トーンカーブなら簡単にできるのです。カーブの上の方は固定し、下の方だけ曲げてみます。
このような絶妙な調整は、レベル補正では難しいですが、トーンカーブでは簡単にできてしまいます。また、トーンカーブもRGBチャンネルを個別に扱えるため、カラーバランスの調整も可能です。トーンカーブは直感的に使える優秀なツールです。しかしトーンカーブでは感覚的になりすぎる傾向もあるので、レベル補正とうまく使い分けるのが良いのではないかと思います。
3. 色相・彩度
最後にオススメする色調補正ツールは色相・彩度です。レベル補正やトーンカーブは光の三原色(RGB)で調整するツールですが、このツールは色の三属性と呼ばれる色相、彩度、明度(HSL)という3つのパラメーターで調整します。
基本的な使い方は説明するまでもないでしょう。3つのパラメーターをスライドするだけです。
◆特定の色を変える
色相・彩度の本当に便利な機能は、特定の色味だけを変更できる点です。たとえばちょっと大げさな例ですが、「緑っぽい色だけを彩度を落とす」といった調整も可能です。やってみましょう。
チャンネルを[グリーン系]に切り替えて、彩度を[-100]にします。緑だけ、彩度が変わりました。
もし変更される色相の範囲を調整したい場合は、下部にある[調整スライダー]で4つのツマミを左右にスライドしてください。
このように、全体で調整することもできますし、特定の色だけを変更することもできます。合成作業に必須の機能です。
◆色付けする
色相・彩度にはまったく別の使い道もあります。「色彩の統一」のチェックを入れると、単一の色に変換できます。
カラコレにも使えますが、光の効果などの合成エフェクトに色を付けたいときに活躍する非常に便利な機能でもあります。
まとめ
今回は3つの色調補正ツールを紹介しました!
◆レベル補正
◆トーンカーブ
◆色相・彩度
今回の内容で、ほとんどの色調整は思い通りにできるようになると思います。ツールはたくさんありますが、まずはこれらの3つのツールを基本にしてみてはどうでしょうか?また、この3つのツールを覚えているといろいろ良いことがあります。実は、これらによく似たツールは他のグラフィックソフトにもだいたいあるので、他のソフトを使ってカラコレやカラーグレーディングを行うときに応用が利くわけです。よく分からないツールをアレコレと使うよりも、ずっと効率よく、思い通りの色調整ができるようになると思います!
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