2025年、企業のESG経営は日米の政策転換によって大きく影響を受ける。曖昧なESGの時代は終わり、ESGを企業価値につなげた企業が競争に勝つ。クリーンエネルギーの活用や脱炭素といった大きな流れは止まらない。人的資本は企業価値につなげるべく強化が進む。人権対策は待ったなしだ。ガバナンスの評価は市場に委ねられ、低迷企業は買収や市場退出が待ち受ける。激動の年にどう備えるか。注目すべきキーワードを専門記者が徹底解説する。経営者の羅針盤として、ESG実務の手引として、本特集を活用してほしい。
<特集全体の目次>
・[ESG徹底予測2025]専門記者が選ぶESG番付 2025年の注目ワードは
・[ESG徹底予測2025]トランプ2.0 ESGに逆行、機会にもリスクにも
・[ESG徹底予測2025]排出量取引制度、300社超にCO2削減を要請
・[ESG徹底予測2025]ゼロエミッション・データセンター 再エネ100%かつ同時同量へ
・[ESG徹底予測2025]CO2データの連携 供給網の排出把握が急務
・[ESG徹底予測2025]新しい資源調達 リサイクル材確保へ連携始まる
・[ESG徹底予測2025]リジェネラティブ 「持続可能」から「現状改善」へ
・[ESG徹底予測2025]TNFD開示第2フェーズ 自然の移行計画が求められる
・[ESG徹底予測2025]世界サステナビリティ開示 SSBJとCSRDへの対応が軸
・[ESG徹底予測2025]データドリブンHR 人材投資は効率重視に
・[ESG徹底予測2025]アクセシビリティ 障がい者の視点で商品改革
・[ESG徹底予測2025]日本発・業界再編 お買い得ニッポン企業はどれだ
・[ESG徹底予測2025]TOPIX絞り込み 改革か退場か、さらに500社
E
トランプ2.0
ESGに逆行、機会にもリスクにも
トランプ政権は化石燃料の供給増を目指すが、エネルギー価格への影響は不透明だ。高率の関税を軸に自国産業を保護する一方、インフレ抑制法の見直しが懸念される。
2025年、ESGを巡る世界の動向を予測するに当たって無視できないのが、次期米国大統領となるドナルド・トランプ氏の政策だ。「米国第一主義」の下、自国の利益優先の政策を押し進める。選挙活動中は、石油や天然ガスなど化石燃料の国内生産を増やす方針を示した。燃料輸入量を抑える「エネルギー自立」を果たし、就任後1年以内にエネルギーコストを半分にするという。
エネルギー価格の押し上げも
ただ、実際にエネルギー価格を押し下げるかどうかは不透明だ。米国内で化石燃料を使う自動車や設備の利用が進んで需要が膨らみ、価格を押し上げかねない。またトランプ氏は、バイデン政権下で縮小させた石油備蓄を拡充する方針だ。これにより需要が増し、エネルギー価格が上がるとの見方もある。また忘れてはならないのが、中東やウクライナを巡る情勢が、エネルギー市場に影響していることだ。米国での増産が、世界のエネルギー価格を抑制するかは不透明である。
日経ビジネス電子版有料会員になると…
- 専門記者によるオリジナルコンテンツが読み放題
- 著名経営者や有識者による動画、ウェビナーが見放題
- 日経ビジネス最新号13年分のバックナンバーが読み放題