2017年08月13日
和風のハイ・ファンタジーって、結構貴重だ。
今回ご紹介するのは荻原規子さん作の日本の古代のような世界を舞台にしたファンタジー小説。
「空色勾玉」「白鳥異伝」「薄紅天女」の3作からなる、いわゆる「勾玉三部作」です。
世の中に「ファンタジー小説」というものは数多くありますが、その中で「和風ファンタジー」の割合は、そう多くはありません。
さらにその「和風ファンタジー」も時代で見れば平安時代(以降)が主で、古代を扱ったファンタジーというものは意外と少ないのです。
(古代になると「和風ファンタジー」というより「倭風ファンタジー」の方がしっくり来る気もしますが、そんなジャンルはたぶん存在しないので「和風ファンタジー」で通します。)
個人的には日本の古代な魅力的な八百万の神々アリ、まだ謎が多く残された時代であるがゆえのロマンがたくさんアリで、かなり魅力的な時代だと思うのですが……。
まぁ、ともかくそんな日本の古代を舞台にした和風ファンタジー小説の中でも群を抜いて面白いのが、この「勾玉三部作」なのです。
この作品は初めは現ベネッセである福武書店から児童文学として出版されたもので、ボリューム(文章量)はかなりのものですが、児童文学であるがゆえにとても読みやすい物語になっています。
しかしながら読んでいてドキドキ・ハラハラするサスペンス性、予想を裏切る意外なストーリー展開は大人、それもミステリー好きな大人でも充分楽しめるものです。
さらにそこに日本神話ベースのファンタジー要素が加わることで、物語に神秘的な深淵さをプラスしているのです。 三部作は世界観や勾玉というキー・アイテムは共通しているものの、時代が異なる独立した3つの物語になっていますので、それぞれ単独でお読みいただいても充分楽しめます。
(三部作通して読んでいただくと、さらに“深く”楽しめますが。)
神名などはオリジナルのものになっていますが、日本神話ベースですので、古事記・日本書紀がお好きな方なら思わずニヤリとしてしまうような神様・キャラクターも出て来ます。
また、そうでない方でも、日本の古代に思いを馳せられる貴重なファンタジー作品ですので、興味をお持ちの方はぜひ読んでみてください。
夏休みの読書にも最適です!
ちなみに管理人が始めてネット上に発表した小説(「花咲く夜に君の名を呼ぶ」)も日本の古代と日本神話(風土記含む。←と言うより常陸国風土記がベース)をモチーフにした和風ファンタジーですが、気づけば勾玉三部作とは全く違う出来になっています。
(悪い意味ではありませんが…。)
ちなみに勾玉三部作、現在は新書版や文庫版やKindle版も出版されているようです。
<新書版はこちら>
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<文庫版はこちら>
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<Kindel版はこちら>
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