情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

表現の自由に無頓着な国民性~インターネットはパブリックフォーラムであるべきではないか

2005-12-29 10:56:56 | ã‚¤ãƒ³ã‚¿ãƒ¼ãƒãƒƒãƒˆã¨ãƒ¡ãƒ‡ã‚£ã‚¢
日本ビデオジャーナルの提訴が突きつけたのは,表現の自由に対する日本人の意識の問題だ。例えば,病院が理由も明らかにしないで診療を拒否した場合,それは,違法となりうる【「第三次救急医療機関である市立病院が交通事故により受傷した救急患者の治療を拒否しその後患者が死亡した場合において、診療拒否に正当事由がないとして市に不法行為責任が認められた事例(神戸地裁平成4年6月30日判決)」判例評論421号(判例時報1479号)】 。公衆浴場が入場拒否して違法とされたことは前にも触れた(ここの5番目の判例)。タクシーが乗車拒否すると,違法とまでは言えないが近代化センターに通報され,注意を受ける。業界としての自主規制に違反するというわけだ。公共性が求められる場では,市場原理が後退することに国民は合意している。

ひるがえって,表現の自由に関する場では,そのような公共性に対する理解があるだろうか?

放送行政を握っている竹中が「なぜ、タイム・ワーナーみたいな大企業が日本にはないのか」と発言することの危険性に声をあげる市民がいかに少ないか…

表現の自由に関する規制を内容面で行うことは,非常に危険だ。政府に批判的な内容は流通させないなどということになりかねないからだ。

そこで,言論の多様性を確保するために,資本の寡占化を防ぐという途を選択しているところが多い。新聞業界内での寡占化を防ぐ法制は,北欧各国,ドイツ,韓国などで整備されている。

テレビを含むメディア全体となるとほとんどの先進国が集中排除規制をかけている。

しかし,日本での集中排除原則はテレビと新聞が系列化しているようにまったく無力なものでしかない。

いま,インターネットの世界は,ほかのメディアに比べると法的には未整備な状態だといえる。

いま,そのインターネットの世界をコントロールするのがグーグルであり,ヤフーである。インターネットがメディアの主流となると,それらの検索サイトに載らない情報は存在しないことと同じこととなる。

未来風景を描いたEPIC2014は,情報の価値が希薄化したインターネット世界が実現したことを受けて,ほかの選択肢があったのではないかという指摘で終わっている。

いまこそインターネットの世界で公共性をいかに確保するかが問われており,それが実現されなかった場合,「多くの人にとって最悪の事態」が来るのはそう遠くない将来なのではないでしょうか?


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