50点
名作になる要素がたくさんあるだけに残念です。 “もうちょっとで賞”な出来。 久しぶりの岩井俊二作品(脚本、プロデュースのみですが)ということと、予告編が素晴らしかったので、かなり期待して見に行きました。 しかし、正直ガッカリです。 ただ出演者の演技は素晴らしかった。 特に市原隼人、蒼井優の二人が良かった。 市原隼人は世間では過小評価されていると思います。 彼は声が良いので、今後は声優にもチャレンジして欲しい。 “男女の友情と恋愛”という普遍的なテーマで作られた作品です。 よくあるテーマですが、すごく丁寧に作られていて、この点は好感が持てます。 特に序盤~中盤にかけてはもの凄く完成度が高い。 だからこそ後半の失速が残念で仕方ありません。 親友あおい(上野樹里)の突然の死を知った岸田(市原隼人)が、過去の思い出を回想していく。 この展開は映画“君がいた夏”によく似ているなと感じました。 多分この作品からの影響も受けているのでしょう。 作品の出来はとても及びませんが… この映画の欠点は“構成のミス”だと思います。 全部で7幕で構成され、その都度サブタイトルが挿入されます。 これはあまり効果的では無いように感じられた。 制作サイドの目指しているところは分かりますが… 途中でブツ切られている感じがして、見ていてちょっと感情移入しにくかった。 以下ネタバレを含みます。ご注意ください。 岸田と年上の彼女(相田翔子)のエピソードは蛇足です。 本筋と一切関係ない独立した話です。 このパートはいらなかったんじゃないかと思う。 他のパートが総てあおいと岸田の関係を中心に構成されているので、視聴者は常に二人に感情移入しています。 それなのに突然違うエピソードが挟まれてしまう。 盛り上がってきた気持ちがそこで一気に覚めてしまい、その後に控えているラストの感動が薄くなる。 何であんな余分なエピソードを入れたのでしょうか。 全体の構成を考えずに、入れたかったから入れたのでしょう。 まさに制作者のオナニーでしかありません。 又、肝心のラストにもミスがあります。 ①死んだあおいの携帯の待ち受け画面に、自分が送った虹の写真が設定されているのを見つける岸田。 ↓ ②あおいの書いた手紙を見た岸田が自分の本当の気持ちに気付く。 この順番は絶対に逆の方が良いと思います。 ここがこの映画の最大の失敗です。 視聴者を感動させるには必ず“キッカケ”が必要です。 例えばそれは“言葉”だったり“アイテム”だったり“景色”だったりします。 その“キッカケ”は視聴者の感情がMAXの場面に挿入しなければいけません。 この作品における“キッカケ”は“虹”です。 “一万円で作られた指輪”ではありません。 そして感情が最高潮に達するのは“岸田が自分の気持ちに気付き号泣する場面”です。 それなのにそのシーンの前に“虹”を出してしまうとは… 制作サイドは一体何を考えているのか。 もしこの順番が逆だった絶対もっと感動出来たはず。 だからこそ、このミスには激しく文句を言いたい。 それにしても主題歌は素晴らしい。 本編と完全にシンクロしています。 思わず劇場でCDを買ってしまいました。 「時をかける少女」といい、主題歌の使い方が上手い邦画が、今年は多いですね。 The Rainbow Song / 種ともこ
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