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四月の雪
80点

今さらながら見ました。
何故もっと早く見なかったのかと後悔。

元々ホ・ジノ監督の作品は好きだったのですが、世間の評判が悪かったので、敬遠していました。

内容的にはいかにもホ・ジノ作品といった感じでした。
「八月のクリスマス」「春の日は過ぎ行く」同様に非常に丁寧に作られています。

主人公二人の感情の動きを淡々と描いているので、これといった展開も無く、退屈と思われる人も多いと思います。
特に「冬のソナタ」などの劇的展開に慣れている人には物足りないでしょう。

この映画のメインは“事件の展開”ではなく“感情の展開”です。
主人公二人の感情の起伏だけで構成されています。
総てのシーンがそれを表現するために挿入されています。
そのため、画面から二人の感情が痛いほど伝わってきます。

以前「たったひとつの恋」のレビューでも書きましたが恋愛ドラマの魅力は
「視聴者が登場人物に感情移入して、誰かを好きになる気持ちをヴァーチャルに体験出来ること」
だと思います。
この映画はまさにその醍醐味が堪能できる。

全体の構成も素晴らしい。
特にラスト・シーンは秀逸です。

最近のテレビ・ドラマの薄っぺらい恋愛描写に飽き飽きしている人にオススメです。


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テーマ:韓国映画 - ジャンル:映画

【2006/10/30 16:20】 | 映画 | page top↑
武士の一分
80点

試写会で一足早く拝見させていただきました。

公開前なので詳しくは書きませんが、娯楽映画として非常に良く出来ています。
最近の映画には珍しく老若男女総ての人に薦められます。
「山田洋次+木村拓哉」の化学反応が新しい名作を生み出しました。

山田監督の“藤沢周平時代劇映画化三部作”の中で一番分かりやすい映画になっています。
そのため、ちょっと物足りないと思う玄人の方もいるかもしれません。
しかし木村拓哉主演ということで、普段時代劇を見ない層が劇場に来ることを考えると、この難易度で正解だと思います。

他の2作品(「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」)は主人公が傍観者として描かれる部分が多かったのですが、今作は総てが主人公のエピソードです。
そのため、見ている人が感情移入しやすい作りになっています。

出演者の演技も素晴らしかった。

山田監督の力を借りて、木村拓哉は自身の新しい魅力を見出すことに成功しています。
この作品は彼の代表作になることでしょう。

脇を固める“壇れい”“笹野高史”“坂東三津五郎”“桃井かおり”らの助演陣も、それぞれの持ち味を十分に出していて、とても見ごたえがありました。

特に壇れいが素晴らしい。
あんなに綺麗な女優さんだったとは…
今後の活躍に期待です。

今年の映画賞は多分この作品が総ナメにするでしょう。
(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞は当確でしょう。)
平易な内容なので海外での高評価も期待できます。

“泣きたい”人は是非見に行ってください。


武士の一分(12月1日公開)

テーマ:武士の一分 - ジャンル:映画

【2006/10/30 19:06】 | 映画 | page top↑
虹の女神 Rainbow Song
50点

名作になる要素がたくさんあるだけに残念です。
“もうちょっとで賞”な出来。

久しぶりの岩井俊二作品(脚本、プロデュースのみですが)ということと、予告編が素晴らしかったので、かなり期待して見に行きました。
しかし、正直ガッカリです。

ただ出演者の演技は素晴らしかった。
特に市原隼人、蒼井優の二人が良かった。
市原隼人は世間では過小評価されていると思います。
彼は声が良いので、今後は声優にもチャレンジして欲しい。

“男女の友情と恋愛”という普遍的なテーマで作られた作品です。
よくあるテーマですが、すごく丁寧に作られていて、この点は好感が持てます。

特に序盤~中盤にかけてはもの凄く完成度が高い。
だからこそ後半の失速が残念で仕方ありません。

親友あおい(上野樹里)の突然の死を知った岸田(市原隼人)が、過去の思い出を回想していく。
この展開は映画“君がいた夏”によく似ているなと感じました。
多分この作品からの影響も受けているのでしょう。
作品の出来はとても及びませんが…

この映画の欠点は“構成のミス”だと思います。

全部で7幕で構成され、その都度サブタイトルが挿入されます。
これはあまり効果的では無いように感じられた。
制作サイドの目指しているところは分かりますが…
途中でブツ切られている感じがして、見ていてちょっと感情移入しにくかった。

以下ネタバレを含みます。ご注意ください。

岸田と年上の彼女(相田翔子)のエピソードは蛇足です。
本筋と一切関係ない独立した話です。
このパートはいらなかったんじゃないかと思う。

他のパートが総てあおいと岸田の関係を中心に構成されているので、視聴者は常に二人に感情移入しています。
それなのに突然違うエピソードが挟まれてしまう。
盛り上がってきた気持ちがそこで一気に覚めてしまい、その後に控えているラストの感動が薄くなる。

何であんな余分なエピソードを入れたのでしょうか。
全体の構成を考えずに、入れたかったから入れたのでしょう。
まさに制作者のオナニーでしかありません。

又、肝心のラストにもミスがあります。

①死んだあおいの携帯の待ち受け画面に、自分が送った虹の写真が設定されているのを見つける岸田。

②あおいの書いた手紙を見た岸田が自分の本当の気持ちに気付く。

この順番は絶対に逆の方が良いと思います。
ここがこの映画の最大の失敗です。

視聴者を感動させるには必ず“キッカケ”が必要です。
例えばそれは“言葉”だったり“アイテム”だったり“景色”だったりします。
その“キッカケ”は視聴者の感情がMAXの場面に挿入しなければいけません。

この作品における“キッカケ”は“虹”です。
“一万円で作られた指輪”ではありません。

そして感情が最高潮に達するのは“岸田が自分の気持ちに気付き号泣する場面”です。

それなのにそのシーンの前に“虹”を出してしまうとは…
制作サイドは一体何を考えているのか。

もしこの順番が逆だった絶対もっと感動出来たはず。
だからこそ、このミスには激しく文句を言いたい。 

それにしても主題歌は素晴らしい。
本編と完全にシンクロしています。
思わず劇場でCDを買ってしまいました。
「時をかける少女」といい、主題歌の使い方が上手い邦画が、今年は多いですね。


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【2006/11/02 00:53】 | 映画 | page top↑
デスノート the Last name
50点

“長い原作を時間内にまとめることのみを考えて作られているな”というのが正直な感想です。
もっと思い切り良く、自由に映画化すれば良かったのに。
ただ前編よりは出来が良くなっています。

漫画「デスノート」の映画化という作業はもの凄くハードルの高いものだと思います。
映画の出来としては50点ですが、制作スタッフには及第点ギリギリの60点をあげたいと思います。

それにしても金子修介は相変わらず女優の魅力を引き出すのが上手いですね。
さすがロマンポルノ出身の監督です。

特に弥海砂役の戸田恵梨香はとても魅力的でした。
この作品で彼女のファンになる人も多いのでは。
又、片瀬那奈(高田清美)や上原さくら(西山冴子)もかなりセクシーに撮られていました。
(この監督は脚に思い入れがあるらしく、必要以上に二人の美脚が露出しています。)

以下完全なネタバレです。原作、映画を未見の方はご注意を!!

今回も前編同様に、不満点がたくさんあります。

まずラストですが、正直ガッカリです。

キャッチコピーが“誰も知らない結末へ”だっとのと、個人的には漫画のラストに納得いっていなかったので、一体どんな結末になるのかとても楽しみにしていました。
それなのに原作と全く同じラストでした。

確かに細かい設定は変わっています。
特にL(松山ケンイチ)が命と引き換えにキラ(藤原竜也)の正体を突き止める件は秀逸です。
正直この展開にはビックリしました。
漫画でのLは呆気なく死んでしまったので、映画の方が彼らしい死に様です。
ファンも納得でしょう。
でもこれはあくまでもラストへの架け橋でしかありません。

本質的なところは何も変わっていません。
原作で言うとL編のラストにメロ編のラストを無理矢理くっ付けた構成になっています。
キラは志半ばでリューク(中村獅童)に殺されてしまいます。
原作のラストが“最悪”なのに、どうしてそのまま映画化したのでしょうか。

原作は少年誌に連載しているので、“連続殺人鬼の主人公にカタルシスを感じるようなラスト”にすることが出来ないのはしょうがないのかもしれません。
でも映画に関してはそういった制約が少ない分、もっと思い切り良く作って欲しかった。

又、最後にオマケのように付いている“1年後のエピローグ”は完全な駄作です。
この映画は“Lが命を落とすシーン”で終わるべきでした。
どうしてああいう無理矢理感動させようとするシーンを入れるのでしょうか。
しかも結果的にあまり感動出来ず、観客が興醒めするだけの効果しかありません。
こういう“中途半端な感動至上主義”が最近の日本映画を駄目にしていると思います。

劇中の登場人物の行動に関してもいくつか疑問点があります。

どうして月はLを殺した(正確にはそう思った)後すぐに、証拠の映像を処分しなかったのでしょうか。
すくなくともその時点で監視カメラはオフにすべきでは。
それどころか証拠になるような行動や会話を延々と続け、カメラに記録させます。
これは冷静な彼がするとは考えられない行動です。
又、ノートに父親の名前を書く時も、どうして他の捜査員の名前を書かないのでしょうか。
冷徹な月なら必ず全員の名前を書くと思うのですが。

次に、レム(池畑慎之介)は自分が死ぬ時にどうしてノートを処分したのでしょうか?
月への恨みからそうしたという設定ですが、ミサの分と合わせてすでに二冊ノートがある以上、ノートを始末することに意味があるとは思いません。

これらの疑問点は全て脚本の辻褄を合わせる為に、無理矢理作られた設定です。
そういう意味ではただのご都合主義です。

「デスノート」は理詰めで展開していく作品です。
その映画版がこんなご都合主義では、原作ファンは興醒めしてしまうでしょう。

最後に全体の構成ですが、かなり詰め込み過ぎという印象を受けました。
前編がスカスカだったので特にその印象が強かったです。
最初から同時進行で制作したにも関わらず、どうして二本でこんなにも差が出てしまうのでしょうか。
これだったら前編でもっとエピソードを消化しても良かったのでは。
これは完全な構成のミスですね。

長々と不満を述べてしまいましたが、イベント・ムービーとしては良く出来ています。
私の評価はあくまでも「デスノート」の映画版としての評価です。
その点を考慮した上で参考にしてください。


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【2006/11/05 01:14】 | 映画 | page top↑
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