恩田陸が贈る、日本版・地獄の黙示録
犯罪者や暗殺者たちが住み、国家権力さえ及ばぬ無法地帯である〈途鎖国〉。特殊能力を持つ〈在色者〉たちがこの地の山深く集うとき、創造と破壊、歓喜と惨劇の幕が切って落とされる――極悪人たちの狂乱の宴、壮大なダーク・ファンタジーをお楽しみください。
読み始めは良かったんです。いつもの恩田ワールドの始まり方でした。
舞台は日本ではなさそうな別の日本。なんだかよくわからない単語が次々と出てきます。
超能力ものは匙加減によっては荒唐無稽で自己陶酔しているだけになる危険性もあります。
ですが、この作品はキャラの造形・世界観とともに見事です。ぐいぐい引き込まれました。
わからなくても読まずにはいられない、そんな感覚で物語を読み進めていきました。
恩田陸作品には珍しくアクション場面も。でも残酷な描写が多くて読むのに苦労しました。
敵役の葛城と黒塚の闘いの中盤位が迫力満点。今後どうなるのかワクワクしました。
多くの登場人物がいて、最後まで書ききるのは大変な作業だったのではと思います。
下巻の後半、なんとか収束するのですが物語を片づけたようで残念です。
最後がガサツだったので、もう少し丁寧に書いてもいいのでは、と思いました。
切れてるキャラ青柳や主人公の実邦の謎の能力、神山の力など、もっと読みたかったです。
最後に葛城という権力者で殺人鬼である人物が良い人みたいに変貌します。
でも沢山人を殺しているのは事実で、それでその行いが帳消しになるわけじゃないはず。
自分の大事な人を殺されているはずなのに、何故か許す主人公の人が良すぎるのが謎。
ちょっといい感じで終わってますが、葛城は正式に法的に裁かれてほしいです。
グロテスクな描写が多いので、読んだ後も印象として引きずることになりました。
どことなく収集のつかないままにラストは無理やり終わらせたような感覚があります。
話を広げ過ぎてとりあえず終わらせた感じです。もやもやする読後感でした。
ラストで諸々のことが一気に流されたようで、これも恩田陸さんらしいかな、と納得。
最後に至るまではすごく楽しめるので結末を期待せず流れだけを楽しむならいいかもです。
とはいえ、恩田陸さんが芳醇なイメージで書いていることを感じさせる魅力ある本でした。
「夜の底は柔らかな幻」恩田陸さんの上下巻一気に読ませる筆力が素晴らしい物語です。


楽天からも購入できます。


「夜の底は柔らかな幻(上・下)」恩田陸
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夜の底は柔らかな幻 上(2013/01/12)恩田 陸商品詳細を見る夜の底は柔らかな幻 下(2013/01/12)恩田 陸商品詳細を見る
う~~~ん、恩田陸、だな。
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
犯罪者や暗殺者たちが住み、国家権力さえ及ばぬ無法地帯である〈途鎖国〉
特殊能力を持つ〈在色者〉たちがこの地の山深く集うとき、創造と破壊、歓喜と惨劇の幕が切って落とさ ...
2日~8日。 久しぶりの恩田さんの長編。 上下巻にわたるこの作品は、ちょっと不思議な世界。 日本だけど日本じゃない、パラレルな世界。 有元実邦は、生まれ育った途鎖国へとやってくる。 この時期は、闇月で先祖を弔うため、多くの人が山へ入る時期。 その山には、「…
夜の底は柔らかな幻(上)(下)
著者:恩田陸
評価:
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
特殊能力を持つ“在色者”たちが、“途鎖国”の山深くに集まる“闇月”。殺戮の風が、次第に暴れ始める―。殺人者たちの宴が、幕を開ける。
2ヶ月続けて恩田さんの新作が読めるって、なんて幸せな事なんでしょう~~
しかも今回は上下巻!その上待ち望んでいたダーク・ファンタ...
夜の底は柔らかな幻 上作者: 恩田 陸出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/01/12メディア: 単行本 国家権力が及ばない無法地帯-<途鎖国>。特殊能力を持つ”在色者”が存在するこの国で、一人の女性が訪れたのを機に殺戮と狂乱の舞台が始まる、ダークファンタジー。恩田さんのダーク色濃いのを久しぶりに読んで、恍惚としてる。最初から不穏な雰囲気で始まり、最後まで緊張感が緩むことなく下巻...
恩田陸の「夜の底は柔らかな幻」を読み終えました
途鎖(とさ)の国、日本から独立した国
色と呼ぶ、異能の力を有するものが多く住む国
異能の力を持つものを在色者と呼んでいる
途鎖は、在色者には生きにくい国で、入国に際して厳しい管理がされている
法を犯して密入国する者にも厳しい。
在色者の一人 実邦(みくに)が、
列車で途鎖に帰るところから物語は始まる
途鎖との国境近くで、列車...
[C19636] 承認待ちコメント