●隣の課の課長が自分のことを好きらしいと聞いた陽子は、全く好意はないが変に意識するようになる。その後課長は若い部下との結婚が決まって、陽子は微妙に“振られた女”という目で見られるように。最初に課長の話を振ってきた後輩・亜里沙の作為を疑う陽子。だが後輩の行動はそれだけではなかった…「三つ、惚れられ」 ●会社の後輩と居酒屋で飲んでいる女性の独白。連想ゲームのように次々と話題が出てくるなか、彼女の儚く終わった...
帝都に忍び寄る不穏な足音。良家の令嬢・英子の目に、時代はどう映るのか。昭和十一年二月、雪の朝、運命の響きが耳を撃つ―。第141回直木賞受賞作品。華族主人の失踪の謎を解く「不在の父」、補導され口をつぐむ良家の少年は夜中の上野で何をしたのかを探る「獅子と地下鉄」ほか、昭和十一年二月、運命の偶然が導く切なくて劇的な物語の幕切れ「鷺と雪」の三篇を収録した、昭和初期の上流階級を描くミステリ“ベッキーさん”シリ...
昭和初期の帝都を舞台に、令嬢と女性運転手が不思議に挑むベッキーさんシリーズ第二弾。犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を解く「幻の橋」、手紙の暗号を手がかりに、失踪した友人を探す「想夫恋」、ステンドグラスの天窓から墜落した思想家の死の真相を探る表題作の三篇を収録。ベッキーさんの過去が少し明らかになります。素直でしっかり者の英子お嬢様。ベッキーさんとの繋がりも自然です。短く引き締まった文章。...
士族出身の上流家庭・花村家にやってきた若い女性運転手。令嬢の「わたし」は『虚栄の市』のヒロインにちなんで、彼女をひそかに「ベッキーさん」と呼ぶ。そして不思議な事件が…。待望の新シリーズ。昭和七年「時代」という馬が駆け過ぎる。「円紫さんと私」、「覆面作家」に続く第三シリーズの一作目。 花村英子がベッキーさんの力を借りて謎を解いていく連作中編集。英子の一人称。理屈っぽいのも青春小説らしいです。 ベッキー...