誰かの「いい日」に、ともしびを。たくさんの買い物客がうごめいています。みんなあんなに生きている。スーパーマーケットの白くあかるい照明にひとしく照らされている。たくさんの人生の「一日」を、著者ならではの語り口で描く、吉川英治文学新人賞受賞後、初の書き下ろし小説。自己破産した男、片思い中の中学生、行き遅れた中年女性──ここ「ともしびマーケット」で、いろいろな人生が重なり合う。それぞれの「いい日」を夢見て...
四十三歳の宇津井茂美はいまだに男性経験がない。自分と似た境遇の伯母が入院してしまい、独り身の行く末を案じていた。両親が伯母を見舞いに行ったため、代わりに父親の知人を接待することに。おくての茂美は、訪ねてきた三人が素敵な男性だと分かり、狼狽えるが…(「小包どろぼう」より)。大人の恋愛は複雑で苦い。だけど、どこか甘い。心にしみわたるアラフォー女性への応援歌。目次 グラン・トゥーリズモ/誦文日和(ずもんび...
地味な性格だが男の目をひく体を持つアカリ。静かに暮らすために、大きな街へ引っ越し。美容関係の仕事を見つけた。屈託のない親友さくらちゃん、奇妙な客ティナ、奇妙な彼氏飛沢郁夫との交流。痛いヒロインが多い、朝倉かすみ作品。流されていくアカリも痛いです。ロコモーションとは移動(力)。背負った鬱積。卑猥さ、暗転。まるで別の物語でした。選ぶロコモーション。朝倉かすみさんの、アカリの自立物語。最後にほっとしました...
"このままでいいのかな…"って思わない日はない。「ねえ、わたしたちって、いま、なんか、すごくOLっぽくない?」ふかくうなずき、おどろき、わらい、ほろっとなける―ザッツ・オーエル・エンターテイメント。地味なOLたちの地道な日常を描く短編集。年齢は多彩ですが、みんなクール。毎日の様々な仕事、暮らしの中で揺れ動く気持ち、思惑がリアルで面白かったです。言葉で表現しにくい感覚を上手く文章にしています。何度か共感...